『ウェア屋さんのひとりごと』

最近の “ライテク” を見て思うこと

掲載日:2013年01月24日 タメになるショートコラム集ウェア屋さんのひとりごと    

Text/Junichi FUJIMOTO ( RS TAICHI )

オートバイに乗っていて、「ああ、もっと上手に乗れたら、あんない怖い目に遭わずに済んだかもしれない」と思ったことはありませんか? 当然のことながら私も、自分の未熟さを呪ったことは数知れず、まあ大体は痛い思いをしてからなんですが、できるだけ怖い思いや痛い思いをすることなく、モーターサイクルライフを楽しんでいただきたいですね。で、最近では多くの専門誌で「これでもかっ」といわんばかりに “ライテク” にまつわる記事が掲載されているのを目にする様になりましたが反面、「なんか凄いこと書いてるんやろうけど、よく分からん」という声も、少なからず耳にする様になりました。確かに、読み手のレベルによっては真似をするのも危険では? と感じる内容も見られるので、例えば「このテクニックはこういうレベルで悩んでいる方に」といった TPO を明確にする必要性があるのかなぁ、と感じているのは自分だけでしょうか。

私がショップに居た頃は時々、「藤本さんは普段、どんな練習をしてますのん?」と聞かれることがありました。その時、最初に答えていた方法を簡単にお話ししてみます。ちなみに “普段の練習” と言っても、通勤の時間帯という限られた時間なので大したことはできないのと、私は難しいことが苦手なので、簡単なことしかしていないので念のため。

まず、最初は普通に走り出してから、少し体が馴染んだ? ところで左腕の力を抜きます。クラッチ操作が必要な場合はレバーに軽く指を添えますが、何も無ければ左手は添えているだけ。もちろん、必要に応じて左手がすぐ機能する様に意識しておくのは当然ですが、左腕には一切の力を掛けていない状態でライディングします。これは、ハンドルに加わる余計な力を最小限にすることで、旋回時にハンドルが自然に切れようとする “セルフステア” の効果を自然に発揮する練習なのですが、これはただ単に力を抜けばいいという訳ではありません。まず下半身、左右のステップを軽く踏んづけて両膝でタンクを挟む、いわゆるニーグリップした状態から背筋と腹筋で上半身を支える(立てる)様にしてみてください。腕で上体を支える必要が殆ど無くなることで、旋回時にはバンク角に応じた舵角が付いてオートバイが自然に曲がってくれるのですが、普段はライダーが無駄な力を加えてそれを邪魔していることが、意外に多いんですよね。教習所でもよく「ニーグリップして」と言われたと思いますが、それとは逆に腕の力を先に抜いて、必然的にニーグリップしてしまう。一見すると地味な練習ですが、いきなり一般道でやると危ないので、広い駐車場などで8の字を走ったりしながら “セルフステア” を実感してみてはどうでしょう。

「曲げる」というテクニックも色々と紹介されていますが、まずはオートバイが自然に「曲がる」ということを理解し、実践できる様になってからの方が、意外と早く上手になる近道かなと、私は思います。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索