ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.29】B.Dさん

掲載日:2026年02月11日 フォトTOPICS    

取材・写真・文/森下 光紹

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Vol.29 B.D

自分にとって初めてのバイクって、特別な存在だ
それはきっと、人生の分岐点でもあるはずなのだ

人生を66年もやってきて、もし戻れるのならどの時代が良いのかと考えると、やっぱり最初のバイクに乗り出した時代なのかなぁ。と思う。そこはある意味で子どもと大人との分岐点だったような気もするし、明確なスタートラインに立ったような自覚もあったからだ。僕は16歳でバイク乗りになったから、それ以前が子供時代という明確な色分けがあるのだが、その点は人それぞれ違うのだろう。しかし、共通なのは、やはり自分の側にバイクがあるという事実。この金属の塊から学ぶことは意外なほど多いのだ。

乗り始めがどんな年齢であっても、初めてバイクに乗り出した時の気持ちは忘れられないはず。自分にとって、何だか特別な乗り物。それがバイクなのだから。

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今回紹介するBDさん。彼はゲーマーで、このニックネームが最も自分らしいということなので、そのままの表記で失礼する。愛車はカワサキの250TRだ。かなりカスタムが施されているので、ベース車が何であるのか分かりにくいシルエットなのだが、骨格もエンジンも主要パーツはノーマルのまま、外装や補機類を自分好みに変更していったスペシャルになっている。ガソリンタンクは兄弟車のエストレヤからの移設で、無改造にて装着できるから、彼自身がペイントして仕上げた。ビキニカウルもエストレヤ用の純正品をモディファイしたものだという。そしてクリップオンハンドルにバックステップを装着した、言わばカフェレーサースタイルである。

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「少年時代からバイクには乗りたかったですけど、身内から猛反対されていてなかなかバイク乗りにはなれなかったですね。でも、きちんと社会人にもなったからもう良いよねと思って免許を取りました。このバイクは一昨年の10月に友人から譲ってもらったのですが、ノーマルのスタイルは興味が無くてね。でもカスタムベースには良さそうだと思って購入したんです」

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確かに、初めて会った時には、ほぼノーマルのTRだった。僕は健康のために毎週月曜から水曜日までガソリンスタンドのスタッフとして働いているのだが、彼はそのスタンドによく現れる人だったのだ。そして、給油に訪れる度にバイクの仕様が変化していた。しかも、朝給油に来たかと思ったら、夕方にもまた来店。「本当に良く走ってるね」と声をかけると、いつも満面の笑顔を返してくれたのだ。

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「毎日乗っていますからね。通勤でもツーリングでも、そしてとにかく自分流のカスタムがやりたくて、家に帰るとバイクを分解しています。TRって、ガソリンタンクが小さいからすぐに使い切ってしまうので、そこが大きな問題なんだけど、エストレヤのタンクに換装して解決しました。実は長旅の計画があるんですよ。それまでに、とにかく仕上げないと気がすまないから毎日忙しいです。あははは」

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少年時代は、やはりクルマやバイクが趣味だった父親の後追いだったと笑う。家には古いジムニーがあって、メンテナンスやカスタムに目がない父親の手伝いが楽しかった。だから工具は幼い頃から手にしているし、就職してもクルマのメカニックになった。そして現在、彼の乗るクルマはやっぱり古いジムニーなのだという。

「バイクやクルマを降りると現代的なゲーマーなんですけどね。でもそのゲームの中で知り合った仲間とのオフ会にもバイクのつながりが出来て、モトミーティングとかやっているんですよ。実は、自分のバイクが仕上がったらその仲間を訪ね歩きながら九州まで長旅をする計画をしているんです」

出発は1月の終盤。約1ヶ月かけての長旅に出るのだと、楽しそうに話す。真冬にバイクの長旅とはなかなかのチャレンジャーだと思うが、この時期の太平洋側は晴天続きとなるし、基本的に観光地巡りという目的ではないようなので、良い決断なのかもしれない。彼はこの長旅のために会社を退職して、随分残った有給休暇を消化させることで長距離ランを考えたのだ。

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出発の当日、給油のため筆者が勤めるガソリンスタンドに現れた彼は、いつもの革ジャンスタイル。荷物の積み方に少しだけアドバイスをしてあげたが、満面の笑顔で出発して行った。途中の宿泊は、キャンプや野宿等は考えずに、友人宅やネットカフェ等に泊まるという現代っ子である。荷物は最小で、機動力優先という考え方なのだ。

この原稿を書いている最中に、「これから山口から九州に渡ります」という一報と、山口県の角島をバックに撮られた写真が送られてきた。天気は快晴。行く先で地元のライダーとも一緒にツーリングを楽しんでいる様子である。

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「のんびり長旅なので、高速道路はまったく使わずに一般道路だけで走っています。まぁ、ちゃんと帰って来ますから、また話を聞いてくださいね」

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彼が出発してから、僕は関西から西の天気予報が気になってしかたがない。そろそろ季節の変わり目だから小春日和の所もあれば、大寒波に見舞われることもあるだろう。しかし、彼は毎日前に進んで行くしかない。過酷な環境も存分に楽しんで。時にはゆっくり休息しながら。初めてのバイクで初めての長旅を謳歌してもらいたい。そして、笑って無事に帰って来てほしい。途中でオイルの交換が必要かもしれないし、少し減り気味だったリヤタイヤも限界を迎えるかもしれない。予期せぬパンクや細かいトラブルもきっと色々経験するはずだ。しかしそのどれもこれもが、BDさんにとって大切な経験となり未来への栄養になっていくはずである。それに彼の笑顔には、様々な出来事を優しく受け入れる柔軟性がある。相棒もシンプルでタフなカワサキだ。僕は彼が帰って来てからの土産話を、楽しみに待つとしよう。

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ライター プロフィール
森下 光紹(モリヤン)
旅好き野宿好きで日本全国を走り回り、もう足を踏み入れていないエリアがほとんど残っていないと笑う。とにかくバイクで行かないと気が済まないから、モンゴルとカザフスタンの国境まで気の合う友人と行ってしまったこともある。乗って行くバイクはいつの時代もポンコツで、メンテも得意な自称ポンコツ大魔神。本業はカメラマンで、人生行く先々のどんなシーンでも写真に収めるのがライフワークのひとつ。その人生訓は「我が生命は水が如き」という。

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