掲載日:2025年09月04日 フォトTOPICS
取材協力/ロイヤルエンフィールドジャパン 取材・写真・文/小松 男
世界最古のモーターサイクルメーカーの一つに挙げられるロイヤルエンフィールド。ここ数年、矢継ぎ早にニューモデルを排出しており、世界的にも注目されるブランドとなった。先だって満を持して日本でのデリバリーがスタートした【CLASSIC650(クラシック650)】の発表試乗会が開催されたので、その内容と実際に乗ったインプレッションをレポートしよう。
クラシック650の発表試乗会に合わせて、ボバースタイルのメーカーカスタマイズモデルとなるゴアン・クラシック350の展示も行われた。クラシック650と合わせ注目されている一台である。
8月26日、都内にてロイヤルエンフィールドの新型「クラシック650」発表試乗会が開催された。当日は多くのメディア関係者が集まり、会場は同ブランドへの注目度の高さを感じさせる熱気に包まれていた。
さらに今回は、プロダクトマネージャーのグレン・コーベット氏が来日し、自ら商品プレゼンテーションを行ったことも特筆すべき点である。ブランドの歩みから最新モデルの魅力まで、熱を込めて語る姿に、参加者は真剣な表情で耳を傾けていた。
ロイヤルエンフィールドは、世界で最も長い歴史を持つモーターサイクルメーカーのひとつとしても知られている。その象徴的なモデルである「ブリット」は、世界で初めてスイングアームを採用した車両としても有名であり、それは同社が現代のモーターサイクルのベースとなるポイントの一つを生み出したことを物語っている。近年ではグローバルマーケットでの存在感を大きく高めてきており、日本国内でもインポートブランド販売台数でトップ5に入るなど、確かな支持を獲得している。
そうした中で2008年に誕生した「クラシック」シリーズは、伝統的なデザインと現代的な乗り味を融合させ、多くのライダーを魅了してきた。そして今春のモーターサイクルショーでお披露目された「クラシック650」が、いよいよ正式に日本市場へ導入される運びとなった。
今回の発表会では、クラシック650の車両展示に加え、開発背景やコンセプトについて詳細な説明が行われた。クラシック650は「純粋なモーターサイクルの魅力を突き詰める」ことをテーマに開発されたモデルであり、伝統的な造形美と最新技術が絶妙に調和している。イベント後半には実際の試乗も組み込まれ、参加者は新型モデルの世界観をいち早く体感することができた。
歴史と革新を織り交ぜながら進化を続けるロイヤルエンフィールド。その歩みを象徴するクラシック650の発表会は、ブランドの現在地と未来を強く印象づける場となった。
2022年にロイヤルエンフィールドへ入社したグレン・コーベット氏。650cc二気筒エンジンを搭載するショットガン650、ベア650、コンチネンタルGT650のプロダクトマネージャーを務め、今回のクラシック650も担当している。
今回のクラシック650発表試乗会には、二輪専門メディアを中心に様々な参加者が列席した。英国を発祥とするロイヤルエンフィールドは、インドに本拠地を移してから技術力をさらに高め、世界有数のバイクブランドとなった。
60年代のヒッピームーブメントをインスパイアして開発されたボバースタイルのメーカーカスタマイズモデル、ゴアン・クラシック350。扱いやすさに定評のあるクラシック350をベースにファッション性が高められている。
イベント会場内のあちらこちらにロイヤルエンフィールドのアートフレームが飾られていた。このような世界観の打ち出し方をするところなどもロイヤルエンフィールドの大きな魅力となっている。
それでは、クラシック650に実際に試乗して得た手ごたえや方向性をお伝えしていこう。先に述べたように、量産モーターサイクルにおいてスイングアームを初採用したのは、ロイヤルエンフィールドが1948年に世に送り出したモデルG2であり、その系譜こそが現在のクラシックシリーズへと連なっている。
スタイリングにおいてもモデルG2に通じる部分は多い。メーターケースと一体化したヘッドライトまわりや、フロントフォークカバーなど、古き良き時代のモーターサイクルのエッセンスがしっかりと受け継がれているのだ。
実際に跨ってみると、想像していたほど足つき性は良くない。シート高は抑えられているものの、股下の車幅が広いためだ。しかし走り出すと、それがむしろ良い方向に作用していることが分かる。幅広でふくよかなシートは素晴らしい快適性をもたらし、長時間走っても疲れにくいだろうと感じられた。さらにゆったりとしたライディングポジションも相まって、幅広い体格のライダーが自然に扱える仕上がりとなっている。
決して軽いとは言えない車体を起こし、発進する。停車中はフロント周りに重量感があるものの、いざ走り出すと嘘のようにバランスが良い。軽快とも重厚とも言い切れない、ごく自然なハンドリングで、コーナーをひとつ抜けるごとに不思議な幸福感が込み上げてくる。心臓部の648cc空油冷SOHC並列2気筒エンジンは、低回転から粘り強いトルクを発揮し、好印象を残す。スーパーメテオ650やショットガン650と同系統のユニットだが、速さを競うものではなく、車体のキャラクターとの相性で考えれば、むしろそれら以上に気持ち良い仕上がりと感じられた。
さらに特筆すべきは、スロットル操作に対する自然なレスポンスである。どうやらエンジンマネジメントのセッティングには日本人技術者が深く関わっているとのことで、その本気度が随所に伝わってきた。
2時間ほどの限られた試乗ながら、クラシック650の持つ懐の深さは十分に体感できた。いつ、どんな状況で乗ってもライダーを幸せな気分にさせてくれるキャラクターは、まるで寝心地の良い布団に身を委ねるような感覚に近い。多くのライダーに薦められるだけでなく、私自身も「欲しい」と素直に思える一台に仕上がっていた。
速度、ハンドリング、乗り心地、すべてにおいて素晴らしい出来栄えのクラシック650。モーターサイクルが元来備えている楽しさや自由さを、しっかりと乗り手に伝えてくれるモデルである。
身長178cm、体重70kgのライダーが乗っても、大きすぎず、小さすぎない丁度良いサイズ。毎日乗っても飽きることは無いだろうし、もちろん長旅の相棒としても良い。シンプルだからこそ味わい深いのだ。
オーソドックスな丸型ヘッドライトでありながら、LEDを採用するなどの現代的なエッセンも取り入れている。タイガーアイと呼ばれるポジションランプや、バイザーはクラシックシリーズのアイデンティティだ。
排気量648ccの空油冷SOHC並列2気筒エンジンは、最高出力47馬力、最大トルク52Nmとスペック的には平凡だが、エンジンマネジメントが良く煮詰められており、フィーリングは実に素晴らしく良い。
クラシックシリーズ特有のヘッドライトケースが一体となったメーターディスプレイ。角度的に上を向いているため、人によっては見えにくく思うこともあるかもしれないが、それも個性。簡易ナビのトリッパーも装備する。
クラシック650の車両本体価格は94万9300円(税込み)からとなっている。新車価格が上昇しつづけているこのご時世で、100万円を切るプライス設定としたのは、かなり努力されているのではないかと思える。
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