ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.6】 淺田 秀男さん

掲載日:2025年01月30日 フォトTOPICS    

取材・写真・文/森下 光紹

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Vol.6 淺田 秀男(あさだ ひでお)

普段の姿からは想像できないバイク乗り
でもそのバイク熱は、かなり本物なんですよ

世の中には様々なバイクフリークがいるもので、いかにもハーレー乗りなんていう人々から、ロングツーリングフリーク、キャンプ大好きライダー。その他にも、ホンダスーパーカブが命なんていう拝もいるし、根っからのレースフリークという人もいるだろう。そうそう、オフロードが三度のメシより大好きなライダーもいるよね。でもそんな人達はみな、共通して分かりやすい見た目だったりする。

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もちろん、四六時中ライディングウェアを着込んでいるはずもないのだが、なんとなく分かるのだ。臭うと言ったほうが正確かもしれないが、ライダー特有のどこからか醸し出す雰囲気があって、少し話をすると、「あ、なーるほどね」と納得してしまう場合が多いのだ。

淺田さんは、その「なーるほどね」を感じない人である。知り合ったのはもう30年以上も前のことで、筆者がよく顔を出すバイクショップだったのだが、そこに集う、いかにもバイク乗りという面々の中でまったく違うオーラを放っていたのが彼だった。なんとも小綺麗な普段着で爽やかな笑顔が実に印象的な好青年。清潔感のある雰囲気に包まれていて、いわゆるバイク乗りというステレオタイプに当てはまらない人だと思ったのだ。

実はその当時創刊されたハーレー専門誌の表紙イメージコンセプトにぴったりだったので、声をかけて登場してもらった。他にあと2名のライダーと共に、「ごく普通の日本人」として、新しいハーレー専門誌の撮影を、都内のスタジオで行ったことを鮮明に覚えている。彼の衣装は自前のスーツで、もちろん満面笑顔の自然体。そんな淺田さんに久しぶりに会ったのだが、びっくりするほど、彼の雰囲気は以前とまったく同じだった。

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現在の愛車は、日本で20台しか販売されなかったドゥカティの998Sベン・ボストロムレプリカと、スズキのGSX-R600の2台。取材を引き受けてくれた当日は、筑波サーキットで開催されていたウィズミー主催の走行会に参加されていた。

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「今は単身赴任で愛知県に居るんです。ドゥカティは世田谷の家に置いてあるんだけど、向こうでもバイクに乗りたいから、国産のスポーツバイクを買ったんですよ。これが乗りやすくて速くて良いんですよね。正月休みで関東に帰るから愛知県から乗ってきて、今日はサーキットを走る予定なんです」

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実は、強烈に個性的な限定車のドゥカティオーナーだということにまず驚かされた。さらに、2台共にスーパースポーツである。以前はもっとトラディショナルなハーレーのスポーツスター883に乗っていたので、その選択は意外だった。しかし、彼のバイク歴を伺うと、納得できる内容なのだ。

淺田さんの少年期。まず幼少期はドイツで暮らしていて、その後日本に帰ってきたものの、父親はまたも海外勤務になってしまい、中学時代には寮で生活していたという。その当時の先輩がバイク乗りで憧れの存在だった。その後高校生になるとバイク好きの友人ができて免許を取得する。その友人は、現在彼のバイクライフを支えるバイクショップ「伊東二輪」を営む伊東 哲さんで、2台の愛車はそこでメンテナンスされている。

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「最初は50のスクーターですよ。その後、車とバイクの免許をほぼ同時に取りました。教習所の前にあるバイクショップでホンダのVT250Fを買ったのが本格的なバイクデビューですね。その店のスタッフだった大原さんという人が新たにバイクショップを開店すると言うからその準備を手伝ったり、レースのサポートをしたり、どんどんバイクの世界に引き込まれていきました。ハーレーのスポーツスターカップに自分も参加したり、とにかく走ることが大好きなんですけど、そこは今も全然変わらないですね」

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少年期に父親との接点があまりなかったという淺田さんは、大原さんの存在を「まるで父親のようだった」と回想する。その大原さんは、生粋のバイカーで、普段は古いハーレーのローライダーに乗り、スポーツスターの改造車でレースにも参戦。カワサキのレーサーを持ち込んで、鈴鹿の8耐にもチームで参戦した人だった。そして同級生の伊東さんは、そのお店のスタッフとなり、なんと国際A級のライセンスを取得し125ccクラスの有力ライダーとなり、ワールドグランプリにもスポット参戦するという活躍を見せる人物に成長する。現在は、昨年亡くなった大原さんのお店を引き継ぎ、「伊東二輪」としてドゥカティのメンテナンスが得意なショップを切り盛りしている。

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「僕がドカ乗りになったのは、大原さんの時代に851でレースをやっている人がいて、とても興味があったんですね。それで乗ってみたかった900SSを購入したら、乗りにくいのに上手く乗れると楽しいということを発見して、それ以来ドゥカティ道まっしぐらになってしまいました」

現在の愛車である998Sは、ご自身3代目のドゥカティだが、強烈なイメージの外観なので、どこを走っていても目立ってしまい、知り合いに見つかりやすいと笑う。

「最近、1年間オランダに単身赴任していることがあって、バイク抜きの生活だったのですが、向こうの中年から老年バイカーが皆カッコ良くてですね、そんなライダーを目指したいなぁと思ってます」

淺田さんの職業は、大学教授。創造表現学部、建築インテリアデザイン専攻という肩書を持つ、言わば環境デザインのプロだ。自宅も自身で設計し、自然の力を上手く取り入れた木造建築となっている。それは省エネルギーかつ住み心地の良さを追求したもので、愛車のドカはその1階に収まっている。

彼にとってバイクライディングは、きっと自分自身の人生の環境デザインなのかもしれないと思うのだ。何しろ心地良さという点で、大好きなバイクを走らせることは、この上ない幸福感がある。きっとこの先何年経っても、一見バイクなどまるで乗ったこともないような爽やかな笑顔のまま、誰にも負けないほど個性的なバイクを駆るライダーであるに違いないのだろう。

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最近は、息子さんもバイクの免許を取得してドカ乗りになった。時には親子でツーリングを楽しむこともあるそうだ。スズキのGSX-Rは単身赴任先の愛知県に持っていくための愛車だが、まだ愛知県周辺を走らせたことは少ないようで、その地はバイク乗りにとってパラダイスのような場所であることを伝えておいた。筆者は愛知県出身で、三河地方は庭のようなものである。自然豊かな環境の中を1日中走り回っても飽きないほど、バイク乗りにとって最高のエリアが沢山あるのだ。春になったら、是非一緒に走ってみたいと思うのだ。

ライター プロフィール
森下 光紹(モリヤン)
旅好き野宿好きで日本全国を走り回り、もう足を踏み入れていないエリアがほとんど残っていないと笑う。とにかくバイクで行かないと気が済まないから、モンゴルとカザフスタンの国境まで気の合う友人と行ってしまったこともある。乗って行くバイクはいつの時代もポンコツで、メンテも得意な自称ポンコツ大魔神。本業はカメラマンで、人生行く先々のどんなシーンでも写真に収めるのがライフワークのひとつ。その人生訓は「我が生命は水が如き」という。

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