ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.4】 小平 直さん

掲載日:2024年12月27日 フォトTOPICS    

取材・写真・文/森下 光紹

ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.4】 小平 直さん メイン画像

Vol.4 小平 直(こだいらなおし)

こだわりの強いバイクライフ
強烈な趣味って、良い意味で柔軟性無しね

趣味ってものには、本当に呆れる。これは、もうどうにもならないものなのだ。簡単に言うとコントロール不可能。なぜって? そんなことは分からない。だれか教えてくれないかなぁ。と、みんな思っているに違いない。バイクなどという乗り物は、その趣味性の強さが強烈なほど進化が激しくてライダーのハートを揺さぶる存在になる。その点では、イタリアンバイクは揺るぎのない存在であり続けていると思う。特にスポーツ性の高いモデルは、なおさらだ。

趣味ねぇ。たとえば釣りが趣味だとして、釣りなんて行ってる場合じゃない状況や生活環境だったとしても、大好きな釣りは止められない。「お父さん、頼むから釣りよりもこちらを優先して」と奥さんに怒られても、「あぁ、わかったわかった」とか言いながら、やっぱりこっそり釣りに出かけてしまう。それが、趣味なのだ。そしてバイクが趣味な場合は……まったく同じことだよね。

ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.4】 小平 直さん 画像01

今回紹介する小平 直さんは、心の髄までドゥカティストである。実はもうそれで、長々と文章を書くまでもなく、アウトなのだ。最初の1行で、すべて言い尽くしている。とは言うものの、それではあまりにも可愛そうだから、その1行の意味を紐解いていくことにしたい。

「もう、何しろドゥカティのスタイルが大好きで、他のバイクにはほとんど興味がありません。いや、違うかな。興味はあっても自分で乗るのはドゥカティだけですという感じですかね」

ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.4】 小平 直さん 画像02

人生最初のバイクが、ドゥカティのストリートファイターV2という彼は、18歳の時に免許を取得するが、大学の4年間は他のバイクに目もくれず、ひたすらドゥカティを手に入れるためのバイトに明け暮れた。そして卒業するとすぐに憧れのドゥカティを手に入れたのだ。

「実は1098の見積もりをお店で取っていたんですけど、眼の前に現れたストリートファイターに一目惚れしちゃって、心変わりしてしまいました。何しろスタイルが超個性的でかっこいい。未来志向のデザインだし、街で乗るにもこちらのほうが良いと思って購入しました」

ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.4】 小平 直さん 画像03

当時の小平さんは、モトGPやスーパーバイク選手権の映像などにも衝撃を受けていて、とにかく走ることに特化した性能やデザインであるドゥカティこそがバイクの究極とばかりに、完全一択という状態だった。加えて彼はバレンティーノ・ロッシの大ファンでもある。ロッシと言えばヤマハの印象が強いのだが、ドゥカティのワークスライダーだった時期もあり、それがまた小平さんのハートに火がついた要因でもあるのだろう。ロッシ好きも強烈で、レプリカヘルメットやブーツ、グローブのコレクションは彼の宝物となっている。ついにはモトGPで本人からサイン入りのキャップもゲットして、嬉しそうに見せてくれたのだった。

ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.4】 小平 直さん 画像04

ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.4】 小平 直さん 画像05

「バイクに乗る時はダイネーゼのウェアしか着ませんね。これもまぁ絶対です。僕にとっては特別な時間だから、そこにもこだわりが強いですね」

ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.4】 小平 直さん 画像06

なるほど、実にわかりやすいハマり方である。こういう人はもう絶対に趣味の沼から抜け出すことはできない(一応良い意味で)。

ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.4】 小平 直さん 画像07

そんな小平さんは、1年半前に2台目のドカティを手に入れた。少し年代物の996だが、メンテナンスでお世話になっているバイクショップで出会ってしまったと笑う。まだ20代の彼からすれば旧車。とはいうものの、916系のデザインはシンプルで潔さを感じるものでもあったのだろう。極端に前傾ポジションとなるライディングフォームは、現代のモデルよりもさらにレーシングスピリッツを掻き立てるものだったし、何しろ時代を超越して美しいのだった。

ついに2台のドカティを所有する人となったが、その使い分けを重要視するわけではなさそうで、気分で乗り分けているという。

「乗るだけじゃなくて、眺めているのも好きなんですよ。夜の都会とかに走り出すのがいいですね。あまり長距離は乗らず、気持ちよく走りを楽しんで帰るという使い方なのかな僕は」

そんな都会的なライディングシーンが好みの彼だが、やはり乗ってみると強烈な2台の個性に気付かされることにもなる。やはり996は、少し乗りにくい一面があるものの、ワインディング・ロードに連れ出すと楽しさが倍増してくるのだ。そこで、12月はサーキットデビューすることにした。まだレースに参戦するというわけではないのだが、ウィズ・ミー主催のサーキット走行会に参加したのである。

ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.4】 小平 直さん 画像07

開催場所は茨城県の筑波サーキットで、彼は996を自走してきた。早朝にはサーキット入りして走行前のブリーフィングに参加。初めてのサーキットランということで最初はグリーンのビブスを身に着けて先導者の後ろを走行。その後はフリー走行となって、いつものダイネーゼのツナギを着込んで、思う存分走り込んだ。

ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.4】 小平 直さん 画像08

「最初は走行ラインとかまったく分からなかったけど、自分のペースで走れるようになってからは楽しくなってきました。何だかドキドキするけどライディングが積極的になりますよね」

走り終わった彼は満面笑顔だった。この先もきっとサーキットランは続けることになるのだろう。なにしろドカティ996はコーナリングマシーンとして計り知れないポテンシャルを秘めている。サーキットを走り込めば走り込むほど、楽しさは増大していくに違いないのだ。

ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.4】 小平 直さん 画像10

ドゥカティを手に入れて7年。今年はサーキットデビューも果たした小平さん。自宅前で自分の愛車を2台並べて「何だかニヤニヤしちゃうんですよねー」と笑うその顔は、もうどうにもならない趣味人のそれだった。きっと彼は今後の人生においても他のメーカーのバイクには目もくれず、ドゥカティにしか乗らないことは間違いないし、5年後10年後にはその台数が増えているのかもしれない。

愛車のためとか言って、ガレージ付きの家を借りたり建てたりするのかもしれない。今はまだ独身だが、良き伴侶が見つかって生活を共にするようになっても、きっと彼のマインドはちっとも変化しないだろう。それほどドゥカティが好きって、顔に書いてあるのだ。

ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.4】 小平 直さん 画像11

ドゥカティ・ザン・パラダイス。理由なんて説明できない。ただ確かなことは、没頭できる趣味があるというのは、最高に幸せだということだ。

ライター プロフィール
森下 光紹(モリヤン)
旅好き野宿好きで日本全国を走り回り、もう足を踏み入れていないエリアがほとんど残っていないと笑う。とにかくバイクで行かないと気が済まないから、モンゴルとカザフスタンの国境まで気の合う友人と行ってしまったこともある。乗って行くバイクはいつの時代もポンコツで、メンテも得意な自称ポンコツ大魔神。本業はカメラマンで、人生行く先々のどんなシーンでも写真に収めるのがライフワークのひとつ。その人生訓は「我が生命は水が如き」という。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

愛車を売却して乗換しませんか?

2つの売却方法から選択可能!

方法1.オークション

出品前買取相場が分かる!
3000社の中から最高入札店のみとやり取りで完結。

方法2.買取一括査定

業界最大級の加盟店数!
最大12社一括査定
愛車が高く売れるチャンス

メーカー

郵便番号

タグで検索