ライダーインタビュー【モーターサイクル・ザン・パラダイス Vol.1】 金子 友弥さん・朋嗣さん

掲載日:2024年10月24日 フォトTOPICS    

取材協力/アーリーマウンテンワークス 取材・写真・文/森下 光紹

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Vol.1 金子 友弥(かねこ ともや) 金子 朋嗣(かねこ ともつぐ)

親見て育つは我が息子。それ見て笑顔の朗らか親父
楽しまなくちゃ、バイクに乗る意味なんてないよ!

タイトルの、モーターサイクル・ザン・パラダイスって何? と聞かれたから、「何よりかにより、バイクが大好きってことさ」と答えた。略して「ザンパラ」でも良いよね。これから連載が続くってことだから、今後は「俺、ザンパラに出ちゃったよー」てな具合に話題になっていくと楽しいなぁ。

さて、そんなわけで第一回目に登場するのは、かくも楽しき親子なり。

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お父さんは、叩き上げの革職人でデザイナーの金子友弥さん。アーリーマウンテンワークス代表で、一生物のライダース革ジャンやバッグ、ウォレット等を完全ハンドメイドで製作販売する人。このブランド、昔はハーレー等が集まるミーティングに出店して知名度を上げてきた老舗で、現在の販売拠点は大手のデパートなのだ。ヘビーデューティー&高級志向なブランドイメージは定着していて、高い人気を誇っている。本人は長年バイク乗りだし、特にハーレーは様々なモデルを乗り継いで、かなりの旧車から新型モデルも気に入れば何でも乗り倒す人なのだ。

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「でもね、今はカブのフルカスタムの製作中なんだー。俺さ、別にハーレーだけが生きがいみたいな人じゃないし、何だかこう、だんだん息苦しくなってきちゃった感じなんだよ。バイクは大好きでいつでも乗っていたいけど、楽しけりゃ何でもいいじゃんっていうのが実は基本なの。フランクに長く付き合えるっていうイメージならね。あ、それって俺の作る製品にも反映されているかもなーアハハハ!」

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金子さん、実は数年前にちょいと身体を壊して、現在はリハビリ中でもある。あまりに重たいハーレーは、少し脇に置いといて。……でもバイクは止められないという話を、そうは言わずに笑い話ですっ飛ばすのだ。「カブも良いけど、トライアンフのスクランブラーも良いなぁ」とか言いながら。

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息子のともつぐ君はというと、大学を卒業してから一度運送会社に就職したものの、その業界の闇に触れ、巻き込まれる前にさっさと退職して現在は親父さんの後を継ぐ2代目となった。僕が初めて会ったのは彼がまだ高校生の時代だが、高身長を折りたたむようにして、ホンダのGB250を改造したカフェレーサーに乗っていた。ファッションはロッカーズ調なんだけど、少し違う。キメキメのブリティッシュではなくて、やっぱり父親譲りのフランクさがあったのだ。バイクは全部自分でカスタムした粗削りな仕上がりで、そこがまた良い。さすがに大学生になってさらに背丈が伸びると、もうGBの車体に収まりきれなくなって手放し、その後は徹底的にオリジナリティの高いチョッパーやらクルマのカスタムやらを数多く手掛ける人になった。これはまぁ、そうだね。血だね。親から受け継いだ血だ。

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「もうじきジャズのカスタムが完成しますよ。これはカミさん用に製作したんだけど。元はジャズじゃなくてマグナ50なんだ。でもどうみてもジャズのカスタムですねぇ。まぁこれ以上僕の流儀で改造して乗りにくくなったら彼女が可愛そうだから、こんな感じでまとめておきます。実はあと数日で以前製作したモンキーベースのチョッパーが戻ってくるんですよ。モンキーだからちっこいですけど、そばに大きさを比較できる何かを持ってこないとその小ささが分からないくらいバランス良く作りました。あ、僕や親父がまたがると、分かりますよ。めっちゃ小さいから。でも本格チョッパーっていう感じ」

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何だろう、この親子は。とにかくジョークやシャレが大好きなのだ。自宅兼工房でもある建物の一階ガレージには様々な工作機械が置かれていて、それはいっぱしのカスタムビルダー並。だから溶接だろうが塗装だろうが何でもできる。それなら、いっそバイクのカスタムビルダーを目指してはどうかとも思うが、それは一切否定された。

「自分で好きなものを作り出したいだけだから、お客のニーズとか、そこに反映したくないんですよ。でもバイクやクルマをカスタムしていると、本業へのアイデアも浮かんできますからね。徹底的に遊びながら仕事も充実させていく。苦労しながらも楽しくやってきた親父の背中をずっと見てきたから、もうガキのころから学んでいるわけですよ。だからまぁ。きっと親父が悪いんですよ、アハハハハ」

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彼が最近製作した乗り物は、カブベースのスリーホイラーだったり、1950年代のアメ車をちっちゃくしたようなローバーミニベースのホットロッドカーだったりと、ポップでアメリカンジョークがいっぱいのものばかりだ。ミニは、ペイントだけでなくドアの開閉方式を逆にしたり、屋根の雨樋を全部無くしてスムージングする等、「なるほど!」と手を叩きたくなるほど細かく大胆なアイデアに溢れているのだ。

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最近は、ついに見つけて手に入れたシボレーのC20のデッキにトタンで屋根を付け、商売道具を積み込んで各種イベントに出向き、出店し続けている。仲良しの奥さんと製品を自分の手で売るという苦労を自ら買って出ていく姿を、お父さんは少し心配ながらも嬉しく思っているのだそうだ。そりゃ、そうだよね。彼はあなたの息子だから。そして、さっそく大ヒット商品を生み出した。1960年代に流行ったエナメル革のボーリングバッグをサイズダウンして復刻した「ミニチュアボーリングバッグ」だ。素材はビニールではなくて、もちろん本革だから耐久性や防水性は抜群だ。東京の下町にある素材製作職人の元をしつこく訪ねて、ついに完成させた。彼がプロデュースした第一号である。

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「カブベースで遊んでいると、また大きいバイクにも乗りたくなりますよ。でもやっぱり70年代のCB750とかが良いかなぁ。セパハン付けて少しカスタムして乗りたい。親父もまたカブのカスタムだけじゃなくて、きっとトライアンフとか乗りますよ。振り回して楽しそうなやつをね」

ともつぐ君の夢は、趣味で溢れたアメリカンダイナーを開くこと。フランクでふざけたイメージにモーター系アイテムやヘビーデューティーなグッズとウェアは欠かせない。そんな楽しいスペースを、きっと彼なら近い将来実現させてしまうだろう。それは、「あの親父の息子。だから」だ。

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撮影当日は雨模様の天気だった。「せっかく走れるようにセッティングしたのになぁ」と大きな身体をジャズのチョッパーに乗せて笑う親子。ふたりとも180センチを超える身長ゆえに、小さなバイクとのバランスはかなり漫画チックで面白い。遊び道具がいっぱいのガレージで話し込んでいたら、本格的に土砂降りになったが、「アッハッハ、こりゃだめだぁー」と笑いながら、そんな状況も楽しそうだった。

自分の日常には常にバイクがあって、普段着で乗る。でもその普段着にはこだわりがあるスタイルを曲げないところが彼らの流儀だ。その基本は、「ヘビーデューティーに楽しくやろうぜ!」ということなんだね。

ライター プロフィール
森下 光紹(モリヤン)
旅好き野宿好きで日本全国を走り回り、もう足を踏み入れていないエリアがほとんど残っていないと笑う。とにかくバイクで行かないと気が済まないから、モンゴルとカザフスタンの国境まで気の合う友人と行ってしまったこともある。乗って行くバイクはいつの時代もポンコツで、メンテも得意な自称ポンコツ大魔神。本業はカメラマンで、人生行く先々のどんなシーンでも写真に収めるのがライフワークのひとつ。その人生訓は「我が生命は水が如き」という。

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