【新型コロナに負けるな!ガレージライフ】ガレージ、中庭、それらをつなぐ生活空間、すべてにぬくもりを感じさせる“すぎのいえ”

掲載日:2020年11月11日 フォトTOPICS    

写真・文/小松 男
※この記事はガレージのある家32号(ネコ・パブリッシング発行)にて掲載したものを再編集しています。

この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。バイクブロスマガジンズでは「新型コロナに負けるな!」というコンセプトにより、パソコンやスマホを使い自宅で楽しめる記事として、バイクのガレージライフを楽しむオーナーインタビューをご紹介。憧れのガレージライフに夢を馳せていただければと思います。
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福島県 W邸

バイクもクルマもとことん楽しみつつ、普段の生活も快適かつ過ごしやすい空間を求めるのはあたりまえ。プラスαのポイントを様々な部分に散りばめることで、オリジナリティのあるガレージハウスが完成した。

独り身ならいざ知らず、家庭を持つ人にとって、ガレージのある家を建てる際、重要になってくるのは家族の理解だ。その点、W邸の場合、ご夫婦そろってバイクやクルマを趣味にしており、普段からアクティビティ溢れる日々を送っているようだ。

Wさんが家を建てたのは2007年のこと。それまで社宅暮らしだったご夫婦は意を決してガレージハウス造りに着手した。もともとガレージありきの家を考えていたが、なかなか自分の思いが伝わる建築会社に巡り合うことができなかった。そんな時、愛読していた『ガレージのある家』で、地元にも素敵なガレージハウスを建てる『ATELIER MALM』があることを見つけ相談することにした。

壁材にはパネルなどではなく木材を使うこと、ゆとりを持ったガレージにすること、薪ストーブの設置など、事細かに希望を出し、さらには雑誌のスクラップなどを用意してATELIER MALMの佐藤氏へ相談すると、それらの希望をすべて叶える図面を作ってくれたという。“杉”をふんだんに使ったその家は、想像をしていた以上のもので、その家で生活することに夢が膨らんだ。基本コンセプトに一発でOKをだし、その後約半年に渡る打ち合わせを重ねたうえで着工させた。

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昨年整備したという中庭スペースは四季折々の美しさを演出してくれる植物たちを揃えた。ガレージ、リビング、浴室などから中庭が望める。

「しかし、家ができてからすぐにドイツへの転勤が決まってしまったのです。最初2年ほどは妻を残して単身で。その後一旦帰国をしたのですが、今度は再び妻を連れてまた2年。結局4年ほど海外生活を送り昨年5月に帰ってきました。ドイツでの暮らしも快適で、妻の方はテニスや習い事も楽しんでいたため、日本に戻りたくなさそうでしたが(笑)、今は自分たちで建てたこの家がやっぱり最高だね。と二人で話しています」とWさん。

ガレージの中にはご夫婦共通の趣味だと言う2台のバイク、BMW R1150GSアドベンチャーと同BMW F650GSと、子どもの頃から憧れだったという356(インターメカニカ)が収まる。そんなガレージは寝室をはじめ家のどこにいても様子が分かるように設計されている。中に収まる車種やオートモビリアなどからもわかるように、全体的にドイツテイストが溢れる空間となっている。

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ご夫婦で楽しむ2台のGS。ご主人はドイツ滞在中もバイクを所有していたことがある。

「50年代、60年代のものが好きで、特にドイツのものが大好きなんです。蚤の市なんかで買い付けてきたものもたくさんあります。他にも実家で昔使っていたものを飾ったりして雰囲気を楽しんでいます。アンティークな雰囲気がこの家には似合うと思うんですよね」。

リビングとガレージで挟むように設けられた中庭には、落葉樹などが植えられ、常日頃から季節感を肌で感じ取ることができる。リビングには吹き抜けがつくられ、階段、渡り廊下などの動線がすべて集約されている。ひとつにまとめることで、解放感を得ているようだ。

「杉の素材が活かされていて柔らかさを感じるため、とてもくつろげます。最後まで悩んだのは、外壁の色くらい。主人は和室の部分は色を変えようと言っていたのですが、全部黒にした方が良いよ、という私の意見を通してくれました。結果的にはこれでよかったと2人で話しています。週末は念願だった中庭を眺めながら、テラスでの食事を楽しんでいます」と奥様は話す。

ガレージにこもったり、庭の手入れや、DIYなどで日々楽しんでいるWさんは、あとから色々といじることができるのも、家を建てて良かったと思える大きなポイントだと語る。夫婦の豊かな生活を送る姿が、全体の空気から伝わってくるすぎのいえだった。

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外の駐車スペースの屋根は、一般的な波板を上下逆にして色味を家にあわせたり、採光用のクリアタイプを追加するなどで趣を持たせている。実際に完成するまで家に似合うか少々心配だったが、今では気に入っていると奥様。

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杉を使った太い梁が特徴的なガレージ。玄関はもちろん、リビングや中庭、寝室などともつながっており、ガレージを大切に考えていることが伺える。

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左_356の前はマツダ・ロードスターに乗っていた。オープンカーにはガレージは必須と言える。右_広々としたガレージは、356と同等のサイズなら3台は入る余裕がある。

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左_ガレージ内から直接2階の部屋に入ることができ、2階の寝室からもガレージを見下ろすことができる。右_ガレージの天井には採光窓が使われており、日中はとても明るい。

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メンテナンススペースもしっかり用意されている。絶妙なサイズで使い勝手がよさそうだ。

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左上_ライディングウエア類もガレージの中に用意され、ここで準備してすぐにバイクで出かけることができる。左下_ガレージドアは3枚のパネルで構成した引き戸スタイル。開度の調整が容易でお気に入り。右_約80cmの深さのメンテナンスピットも設けられている。

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リビングは吹き抜けとされている。逆にキッチン部分などの天井は、210cmとあえてやや低めにされ、吹き抜けによる開放感を助長する。

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左_吹き抜け部には渡り廊下が設置されている。片側の手すりは倒れて、壁面に備え付けた書棚の本を取れるような工夫がされている。右_中庭に面したテラスでくつろぐひとときは至福の時間だ。ガレージの奥になることで、プライバシーも保っている。

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玄関部分にも大きなガラス窓を使い、まるでガレージの中のようなスタイルだ。手洗いにも直接行けるような動線がとられている。

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左_和室も設けられている。ご実家から持ってきたというアンティーク家具も落ち着いた雰囲気に合っていた。右_檜張りの浴槽。当初は浴槽まですべて檜で作ることも考えたが、さすがに浴槽だけはメンテナンスを考慮してユニットに。

■OWNER'S CHECK
●ここがお気に入り
すみからすみまで気に入っています。
●ちょっと失敗
まったくありません。
●これからの夢
この家といっしょに、いい感じに歳を重ねてゆくことですね。
●読者へのアドバイス
家は、建てるまではもちろんですが、建ててからが本当の楽しみの始まりです。そこに住む自分たちのために、思う存分夢を詰め込んでください。

■PLANNING DATA
施主●Wさん
構造●木造在来工法
敷地総面積●324㎡
ガレージ延床面積●43.47㎡
外装仕上げ●杉板
内装仕上げ●杉板、一部しっくい等
収納車種●インターメカニカ356、BMW R1150GSA、BMW F650GS、YAMAHA DT125

株式会社ATELIER MALM  佐藤 大さん
「施主の要望をしっかりと受け入れつつ、オリジナリティを持たせたガレージハウスを作ることができました。今回は杉という素材にこだわったことが一番大きく、素材は地元福島の杉を使いました。その上でガレージをはじめとした快適な住環境づくりを心がけました。ひとりひとり理想とする家のカタチは違います。だからこれまで手掛けてきた家は同じものがありません。施主がどんな性格をしており、どんな生活がしたいのかをよく考慮した家づくりが大切だと思います」。
設計事務所
株式会社 ATELIER MALM
福島県いわき市内郷御厩町番匠地15-2
phone/0246-88-8531
ライター プロフィール
小松 男
BMWバイクス/DUCATIバイクス/Gooバイクなどの雑誌編集長を務めた後、フリーランスエディターへ転身。国内外ブランドを問わず、大型クルーザーからEVスクーターまで、2輪の乗り物ならば何でも乗りたがる性分の元祖雑食系。広く深くがモットーで、他人からは助平な性格と言われることもしばしば。出不精かつ出たがりという二面性を持つ。

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