掲載日:2012年08月17日 フォトTOPICS
取材・写真・文/小林 ゆき 取材協力/マン島TTレース公式サイト
もっとも有名なバンテージポイント(見晴らしのよい地点) 『バラフブリッジ』。小さな川の上を通る小さな橋なのですが、その形状からマシンは必ずジャンプする地点となっています。
「世界でもっとも過酷で難関なコース」と言われる TT マウンテンコース。このコースは FIM 公認のロードレース(公道レース)コースで、1周は約 60km と、世界でもっとも長いコースとなっています。マウンテンコースの歴史は古く、2輪の TT レースに使われるようになったのは1911年から。コースはバラエティに富んでいて、スタート&ゴール地点は、マン島の首都ダグラス中心部から丘の上へ徒歩で 20 分ほど上がったあたりの、ノーブルズ公園にあるグランドスタンド前です。まず住宅街を抜けて、いくつかの牧場地帯と住宅街を交互に走り、マン島の第3の街 『ラムジー』 の市街地を抜けたあと、スネイフェル山の頂まで一気に標高 422m を駆け上がり、再びダグラスの街まで一気に下るという、マシンにとってもライダーにとっても限界を試されるようなコースとなっています。
レース中はマン島の法律で道路閉鎖されることになっており、立ち入りも禁止されます。ボランティアのマーシャルは警察と同じ権限を持ち、もし不用意にコース内に立ち入ったり横断したり、家畜やペットを離したりすると、何十万円もの罰金やら逮捕拘束などの罰が待っています。公道コースなので、一部のグランドスタンドを除いて基本的には観戦無料。しかし、安全に対しては観客側も自己責任です。マシンやライダーにとっては過酷なコースですが、美しい風景の中、世界最高峰のマシンとライダーたちが駆け抜ける様はまさにスペクタクル。その一部を、写真でお楽しみください。
01スタートやゴールを見ることができるグランドスタンド。この場所の住所にもなっています。決勝レース時のチケットは前売りで購入する必要があります。
02スタート地点の向かい側は住宅地になっていて、地元の人が多数詰めかけるポイントになっています。
03ツーリングに疲れたライダーたちではありません。スタートを待つライダーが、歩道に座り込んでリラックスしている光景です。
04スタート時にはスカウトの子どもたちがこうして国旗を持って並び、大会を盛り上げます。向こう側に見える白いテントは、個人のお宅の庭に個人的に建てられたホスピタリティ。
05ライダーとメカニックが交わす固い握手。こうした光景が見られるのもまた、スタート&ゴール地点の醍醐味です。
06グランドスタンドの向かい側にあるスコアボードには、コース図の看板も。右側上の時計のようなものは、各ライダーがどの地点にいるかを示しており、例えば「G」なら 『グレンヘレン』 を指します。
07グランドスタンドからの眺め。コースだけでなく、ピットインの様子、スコアボードなどを眺めながら観戦することができます。
08リーダーボードに数字を描いているのは、ボランティアのペインターさんたち。白いペンキでラップタイムなどを書くんですが、次のレースまでに黒いペンキで塗りつぶして消してしまいます。
09スコアボードの上には、ストレート通過速度を示すデジタル時計が設置されていて、どのマシンやライダーがどれくらいの速度で通過しているかが一目瞭然です。
10ピットワークは給油、タイヤ交換、ヘルメットのシールド交換(虫の付着が酷いため)が行われます。TTはタイムトライアル方式とはいえ、ピットワークの速さが着順を左右することもあり、眼が離せません。
11ピットワークを終え、再びコースインするイアン・ハッチンソン選手。ピットロードは今年から制限速度が設けられたので、マシンにリミッター装置が付けられています。
12スタート直後のバンテージポイント 『ボトム・オブ・ブレイヒル』 。坂を一気に駆け下りるため、最高速度付近まで加速したあと、いったんなだらかになる勾配でマシンに縦Gが激しくかかって、路面にカウル下部が擦るような場所です。
13『グリーバブリッジ』 。スポンジバリアがなければ、なんの変哲もない町の曲がり角ですが、TTになると攻略の難しいハイスピードコーナーとしてライダーに知られている場所です。
14脚立を用意してまで人だかっている人気のバンテージポイント、それが 『バラフブリッジ』。レース期間中、公共交通機関で向かうのは難しく、みんな朝からずーっとこの場所にとどまるか、自力やタクシーなどで移動してきます。
15バラフブリッジは人気のバンテージポイントですから、カメラマンもご覧の通り。
16モトクロスのように飛距離が長いライダーもいれば、そおっとナメるように通過していくライダーもいます。
17バラフブリッジ通過後の右コーナーも見どころの一つ。ライダーによっては、右側の壁に肩を擦っていくようなラインを通ることも。
18バラフブリッジはマーシャルにも人気のバンテージポイント。左から3人目は元観光大臣で、現内務大臣のデイビッド・クレトニー議員、サムアップしている人も元観光大臣のエイドリアン・アーンショー元議員。
19ここがいわゆる 『グースネックコーナー』 です。ガチョウの首のような形のコーナーなので命名されました。スズキのグースの車名の由来にもなっています。
20これがマン島最高峰のスネイフェル山。標高は610mです。山の頂を斜めに走っているのは山頂につながる山岳鉄道で、TTコースを横断するので、レース中は山頂行きと下山行きをふたつに分けて運行します。
21眼下にラムジーの街を望むギャスリーメモリアルからの眺め。水平線の向こうは、スコットランドの島影が見えます。
22マウンテンコース最高標高地点近くのバンガローにある、ジョーイ・ダンロップの銅像。レース前、ジョン・マクギネス選手もここを訪れました。
23ケッペルゲートからケイトコテージに向かいます。眼下にはダグラスの街、海の向こうはイングランドです。ここは一般的には観戦に不向きな場所なので、写真で眺めるしかありません。
24ケイトコテージから一気に下ってきて右高速コーナーとなる 『クレッグ・ニ・バー』 。ダグラスの街とクルマやバイクで行き来できるのと、グランドスタンドやホスピタリティがあるため、たいへん人気のスポットとなっています。
25クレッグ・ニ・バーを過ぎ、『ブランディッシュコーナー』 までさらに一気に下ります。ゴールはもうすぐですが、まだ気が抜けない場所です。
26最終コーナーとなる 『ガバナーズブリッジ』 を立ち上がると、ストローベイルに覆われたイギリス風の赤い電話ボックスが。
27ピットレーンはチームクレデンシャルパス所持者しか入れないのですが、パレード走行時には、関係者だけでこんなにごった返してしまいます。
28表彰式はピットで行われます。ものすごい金額の保険がかけられているという本物のトロフィー(選手にはレプリカが渡される)には、警備員さんが厳重警備に付いています。
29まだレース中ですが、表彰式が始まっています。この光景が見られるのはグランドスタンドのみ。お約束の、「スピードの女神」にキスをするジョン・マクギネス選手。
30レースが終わったら、レース関係者も観戦客も、グランドスタンド裏の特設パブで一杯やりましょう。ビールが1パイント(570ml)で300円強。
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