【ロイヤルエンフィールド ベア650 試乗記】シリーズ最強のエンジンと前後サス採用でスポーツ性能を大幅に向上!

掲載日:2025年02月06日 試乗インプレ・レビュー    

取材協力・写真/ロイヤルエンフィールド・ジャパン(総輸入発売元:ピーシーアイ株式会社)
取材・文/河野 正士
衣装協力/KUSHITANI

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Royal Enfield BEAR 650

ロイヤルエンフィールドはツインプラットフォームに新型車「BEAR 650」を追加した。並列2気筒エンジンとダブルクレードルフレームを組み合わせたツインプラットフォームは、これまでブリティッシュテイストでまとめられてきた。しかし「BEAR 650」は、アメリカの砂漠を走るスクランブラーをイメージし、スタイルもパフォーマンスも一新。ここでは、その詳細を紹介する。

米国デザートレース育ちの
スクランブラー

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ロイヤルエンフィールド(以下RE)が、初めて並列2気筒エンジン搭載モデルを発表したのは2018年。新規開発したそのエンジンにオーセンティックなダブルクレードルフレームを合わせてツインプラットフォームと名付け、セパレートハンドルを装着したカフェスタイルの「CONTINENTAL GT 650(コンチネンタル・ジーティ・ロクゴーマル)」と、アップハンドルを装着したロードスタースタイルの「INT 650(アイエヌティ・ロクゴーマル/日本と北米以外ではモデル名はINTERCEPTER 650 インターセプター)」をラインナップした。また2023年には、ループフレームと呼ばれる、リアに湾曲したフレームを持つ新開発フレームに並列2気筒エンジンを搭載したクルーザープラットフォームを開発。クルーザーモデルの「SUPER METEOR 650(スーパーメテオ・ロクゴーマル)」にくわえ、2024年にはネイキッドモデルの「SHOTGUN 650(ショットガン・ロクゴーマル)」を発表。並列2気筒エンジン搭載モデルを拡充していった。

新たにラインナップに加わった「BEAR 650(ベア・ロクゴーマル)」は、そのツインプラットフォームを採用した新型車だ。一見、ツインプラットフォームをベースにしたスクランブラースタイルの兄弟車のようだが、じつはINT650から構成部品の3分の2を新しくしたブランニューモデルである。

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またREはイギリスに起源を持つこと、さらに自らの歴史的モデルからインスピレーションを受けたモデルが多くラインナップされていることから、英国テイストのモデルキャラクターが現REラインナップの中核を成している(クルーザーモデルのSUPER METEORおよびMETEORシリーズも、長距離ツーリングを前提に開発された過去モデルがイメージソースになっている)。しかし「BEAR 650」は、REがデザートレースで活躍し、それによって躍進した1960年代のアメリカのバイクシーンを起源に持っている。

したがって「BEAR 650」が採用するスクランブラースタイルは、現在のトライアルレースの起源となるISDT(インターナショナル・シックスデイズ・トライアル)に出場していた欧州のスクランブラーとは違う、アメリカのデザートレースを戦っていたスクランブラーが、そのネタ元であることはじつにユニークである。

ロイヤルエンフィールド ベア650 特徴

アップデートしたエンジンとシャシー
モダンな装備で固める

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エンジンはツインプラットフォームおよびクルーザープラットフォームと同じ、排気量648ccの空油冷4ストロークSOHC4バルブ並列2気筒。最高出力は2気筒エンジンモデル共通だが(正確には、発表されている各モデルの数字は違うがごく僅かだ)、最大トルクを約10%アップするとともに、全域にわたって10%程度のトルクを上乗せ。REツインモデル初となる2in1マフラーを採用している。

フロントにはSHOWA SFF-BP倒立式フロントフォークの装着とともに、それに合わせてトップブリッジおよびアンダーブラケットを変更。19インチのスポークホイールを採用している。もちろんこれはオフロードでの走破性を強く意識したディテールであり、それらフロントサスペンション周りの変更に合わせて、INT650およびCONTINENTAL GT650から受け継いだダブルクレードルフレームは、ステアリングヘッド周りに専用ガセットを追加し、フレーム剛性を高めている。

またフロントフレーム周りの剛性アップに合わせて、シート下で左右のリアフレームパイプを連結。さらにリアサスペンション取付位置以降を新設計してリア周りのフレーム剛性を高めている。この新設計のリアフレームは、アクセサリーとしてラインナップされるパニアケースおよびソフトケース用ステーが簡単に装着できるようになっていて、大きな荷物を搭載して長距離を走るツアラーとしてのパフォーマンスも向上させることができる。

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モダンな装備も「BEAR 650」の特徴だ。倒立式フロントフォークはその象徴的なアイテムだが、まだまだある。「HIMALAYAN450(ヒマラヤ・ヨンゴーマル)」や「GUERRILLA450(ゲリラ・ヨンゴーマル)」というモダンな装備とパフォーマンスの450シリーズに採用されている6インチの丸型TFTモニターと、そのメニューを操作するための左スイッチボックス内のジョイスティック、フルLED化された灯火類、リアのみABSをカットする走行モードの採用などだ。ブリティッシュ・クラシックにまとめられた他のツインプラットフォームモデルとの差は大きい。

ロイヤルエンフィールド ベア650 試乗インプレッション

キレの良いエンジンで
ワインディングが楽しい

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トルクがアップしたエンジンは、想像以上に走りのパフォーマンスに良い影響を与えている。アクセル操作に対する車体の反応が向上。分かりやすく言うと、ライダーがイメージする通りに車体が前に出て行く感じだ。これに新たに採用した2in1のサイレンサーから聞こえる歯切れの良い排気音がリンクするから心地が良い。REの並列2気筒エンジンは、270度クランクを採用しているが、不等間隔爆発クランクの切れの良い加速感より滑らかさが際立っていると感じていた。しかし「BEAR 650」は全域にわたるトルクアップと歯切れの良い排気音によって、加速感が磨かれていると感じた。

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その加速感を味わいながらのワインディングはじつに楽しい。フロント19ホイールのハンドリングは大らかだが、旧車のフロント19インチホイール装着モデルとは違う、かっちり感というか剛性感を感じることができるのだ。それには剛性を高めたフレームとともに、倒立フォークなどサスペンションユニットのパフォーマンスアップも大きく影響しているだろう。今回の試乗ルートのほとんどはワインディングだったが、バンク角が深くなったときにブロックパターンタイヤのエッジが揺れて、それがハンドルに伝わってくることはあったが、それでも大きな不安を感じることなく、たっぷりとワインディングを楽しむことができた。タイヤを厳選すればロードでのパフォーマンスはさらに高まり、ツーリング時の快適性も向上するだろう。

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唯一気になったのは、サスペンションのセッティングだ。INT650にくらべフロント20mm/リア27mm、サスペンションストロークを伸ばしているのに、そのストロークをもっと活かしたセッティングにして欲しかった。簡単に言えば、もっとサスが動いて欲しい、のである。とはいえ、現状のセッティングだからこそ、ハイペースのワインディングも楽しめ、フロント19インチながらモダンなハンドリングを楽しめるのだが……贅沢な要望であるのは、重々承知している。この辺りは体格や乗り方でも感じ方は変化するので、「BEAR 650」が日本上陸の際は、ぜひ実際に試乗車を走らせてチェックしてみて欲しい。

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ベア650足付き (身長170cm/体重65kg)

ロイヤルエンフィールド ベア650 詳細写真

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エンジンは、RE2気筒モデル共通の、排気量648cc空油冷並列2気筒SOHC4バルブ270度クランク。ブラックアウトしたエンジンは、シリンダーヘッドのみシルバーで仕上げられている。全域にわたる約10%出力トルク向上は、エンジンマッピングの変更のみで実現している。

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RE2気筒エンジンシリーズ初の2in1タイプのサイレンサーを採用。1本サイレンサーでエンジン周りは大幅に軽量化したが、フレーム補強や倒立フロントフォークなどの採用により、車体重量はINT650比で−1kgにとどまる。

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SHOWAブランドの倒立フォーク/インナーチューブ径43mmのSFF-BPを採用。ストローク長は130mmで、INT650比でストローク長は20mm伸びている。

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ステアリングステム周りのフレームガセットは他のツインプラットフォーム車両にも見られるが、BEAR650は燃料タンク下も含めて専用のガセットが入り、倒立フロントフォークや大径19インチフロントホイール、それに合わせた高剛性の三つ叉類の採用に合わせてフレーム前側の剛性を高めている。

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リアフェンダーが始まるあたりに、左右のリアフレームパイプを繋げる補強を追加。リアサスペンション取付位置から以降も新造されている。リアショックユニットはSHOWAで、プリロードのみ5段階で調整可能。115mmストロークで、INT650比でストローク長は27mm伸びている。

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灯火類はすべてLED化。丸型のヘッドライトやテールライト、大型のウインカーなど、灯火類のデザインそのものはクラシカルだが機能は最先端という、REが得意とする手法を採用している。

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HIMALAYAN450やGUERRILLA450にも採用されている丸型5インチTFTモニターをセット。専用アプリと連携することで、ナビ画面も表示することができる。このメーターの下側にUSB-Cコネクターも装備。

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モニターに表示されるさまざま機能を操作するために、左グリップのスイッチボックスにはジョイスティックを装備する。

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