【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!!

掲載日:2024年11月09日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/小松 男

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! main画像

YAMAHA MT-07

アニメや映画の世界から飛び出してきたかのような大胆なスタイリング。軽量コンパクトで扱いやすく、それでいて大胆な走りを楽しめる運動性能。ヤマハ・MT-07は世界に誇る極上のストリートスポーツモデルだ!

スポーティでアグレッシブ
それでいて過剰過ぎない性格

2014年の初代モデル発表から10年を迎えた『MT-07』。ヤマハのスポーツネイキッドモデルであるMTシリーズは現在125~1000ccまで幅広いレンジで取り揃えられているが、その中でもMT-07はミドルクラスを担う中心的な存在の一つとなっている。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 01画像

特にストリートでの扱いやすさには定評があり、大型自動二輪免許を取得したばかりのようなビギナーでも手足のように乗り回すことができる従順なキャラクターであり、一方で走りの質はとてもソリッドで刺激的なものであるためにエキスパートライダーであっても満足させるものだ。

今年、小変更が加えられて登場した『MT-07』をじっくりと乗り、パフォーマンスをはじめとした内容、手にするユーザー層を踏まえた現在の立ち位置、そして今後予想できる進化などを探ることにした。

ヤマハ MT-07 特徴

CP2(クロス・プレーン・ツイン)の魅力を
存分に発揮するパッケージング

2014年、MT-09にやや遅れる形で発表されたMT-07。同じMTシリーズとして矢継ぎ早に登場したわけだが、MT-09はCP3(クロス・プレーン・トリプル)、つまり並列3気筒エンジン(846cc)が採用されたのに対し、MT-07はCP2(クロス・プレーン・ツイン)という並列2気筒エンジン(689cc)が搭載されていた。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 02画像

つまり同門兄弟モデルとしてその地位を築いていくことになるわけだが、登場して間もなくは大方の予想通り当時、いや現在もマーケット的にみて数少ないトリプルエンジンを新開発して用いていたこともあり兄貴分となるMT-09の方が注目を浴びる節が見られたが、実際の市場動向を見てみるとMT-07もしっかりとユーザーから支持され、ヤマハを代表するスポーツモデルの2枚看板となり現在も高い人気を誇るものとなっている。

MT-07の人気の秘密は何よりも低く抑えられた車重による軽快感と、数値的には抜きんでているわけではないものの、想像以上に刺激的な印象を与えてくれるCP2エンジンの組み合わせからなる暴れ馬のようなキャラクターである。さらに価格面に関しても歴代MT-07だけで比べたら値上がりしてきたが、それでもライバルモデルと比べてコストパフォーマンスの良さは秀でている。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 03画像

これまでMT-07は2014年の初代から、2018年、2021年とビッグモデルチェンジが施され現行モデルとなっているが、2024年モデルでは小変更が加えられているので、その点も注視しつつ試乗インプレッションを書き記していきたいと思う。

ヤマハ MT-07 試乗インプレッション

持ち前の荒々しさは助長されつつ
手足感覚の扱いやすさも進化!!

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 04画像

現行MT-07のデザインは基本的に2021年に登場したモデルからほとんど変更がない。というか、実は2018年に行われたビッグマイナーチェンジ後、ヘッドライトやタンクカバーなど外観こそパッと見の印象は変わっているものの、フレームや足まわりの構成は大きな手が加えられていないでここまで来ている。

私は今シーズンに入り新型MT-09/SP、XSR900GPをはじめヤマハCP3エンジンを搭載したすべてのモデルの試乗テストを行ってきた。特にMT-09 SPは今回のMT-07のテスト車両と入れ替えるところまで乗っていたこともあり、MT-07で走り出した瞬間から、目指すところこそMT-09と同じ方角を向いているものの、キャラクターの味付けの違いというものを強く感じた。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 05画像

まずMT-07は車体を起こした瞬間にMT-09 SPより格段に軽く感じる。実際に10kgもMT-07の方が軽いのだが、その数値以上だと思えるほどだ。軽いクラッチレバーを操作して走り出す。2024年モデルではハンドルが10mm高くセットされていること、元々低速トルク重視傾向型のエンジンキャラクターでありギア比も低めの設定となっていることから、まるでオフロードバイクを操っているかのような気分にさせられる。スロットルワークひとつでポンポンとフロントタイヤが宙に浮くことが楽しい。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 06画像

ギアチェンジ時のシフトフィールが渋めの印象だがそれも慣れものであるし、昨今のモデルでは珍しくスリッパークラッチが標準装備されていないようでシフトダウンでリアのハーフロック状態なども簡単に生み出すことができる。そう、この感覚はスーパーモタードマシンかのようだ。

一般公道メインの試乗テストであるため周囲に他者がいなくてもあまり無茶なコトは出来ないが、それでもただ単に走らせているだけでも楽しいというのがMT-07の率直な感想である。特にライディングスキルに対する許容範囲の広さと言う点については秀逸なものであり、多くのライダーが乗って楽しむことができ、しかも運転が上達したかのような錯覚を得ることができるだろう。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 07画像

その要因としては、実は最大出力は73馬力に抑えられているし、一瞬倒立タイプに見えるフロントフォークもオーソドックスな正立タイプが装備されているため、全体的なしなり感とちょっとスパイシーな味付けのバランスが良く、扱い切れる気持ちよさが演出できているのである。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 08画像

プロジェクターと面発光LEDを組み合わせた独特なヘッドライト形状に関しては好みが分かれるところであるが、燃料タンクまわりのパネルが描くボディラインや艶々しいペイントなど、以前のモデルと比べて質感が向上しているのも好印象を受ける部分。2024モデルではスマートフォンと連携できる5インチTFT液晶ディスプレイが装備され、クイックシフターもオプション設定されている。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 09画像

初代MT-07の開発時から一貫してきた馬力やスピードなどの数値的な部分よりも、誰でもスポーツライディングを満喫できるテイスティ路線をしっかりと熟成させてきた現行MT-07。来期あたりに登場することが噂されている次期モデルは、もしかすると荒々しさが削がれてくるのではないかと予想しているが、そうなるとむしろ現行最終モデルのフィーリングに再度スポットがあてられることも十分に考えられる。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 10画像

初代モデルは70万円を切る価格設定で世間を驚かせたが(ABS装着車は74万9520円)、現在の88万円という価格もライバルモデルを見れば手を出しやすい設定であるし、現行のデザインにこだわらなければ価格のこなれた旧モデルを物色するのも良いと思う。

ヤマハ MT-07 詳細写真

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 11画像

排気量688cc並列2気筒、ヤマハのクロス・プレーン・コンセプトのもと開発されたCP2エンジンを搭載。最高出力73馬力、最大トルク67Nmという数値以上に元気な吹け上がりを楽しめる快活なキャラクターとなっている。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 12画像

φ41mmの正立式フロントフォークに対向ピストン4ポットキャリパーをダブルで装備。オーソドックスなパーツ構成と言えるが、走らせてみるとこれで十分であり、むしろ過度でない設定に扱いやすくすら感じる。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 13画像

タイヤサイズはフロント120/70ZR17、リア180/55ZR17とされており、タイヤメーカーや銘柄の選択が幅広い。湾曲型両持ちスイングアームは肉抜きデザインとされており、見るからに軽量でスポーティな印象を受ける。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 14画像

プロジェクターとLEDを組み合わせ独特なデザインを持たされたヘッドライト。なおフロントフォークの上部にブラックのパーツが使われているため、一見すると倒立タイプのように思えるのも面白い。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 15画像

2024年モデルでは新たに5インチTFTメーターを採用している。 専用アプリ「Y-connect」と接続することができ、YRCのセッティングや電話やメールの着信通知などもできるので便利だ。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 16画像

シート高は805mm。身長178cm、体重71kgの私はべた足で、跨ったままバタバタと足を使って取り回しをするのも容易だった。シート形状が細身であることも大きなポイント。タンデムシートもしっかりしておりタンデムライドも楽しめる。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 17画像

MT-07に限った話ではないが、CP2+同系ミッションの組み合わせを用いたモデルは、ギアチェンジの際のシフトタッチがシブく感じることが多い。ロッドの長さ問題など要因が考えられるが、改善の余地があると思う。2024年モデルではクイックシフターがオプション設定されている。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 18画像

リアサスペンションは割と寝かされた格好でリンクを介してスイングアームへセットされている。スロットルを開きトラクションを掛けた際のリアサスの”入り”のインフォメーションが良く、コーナーを本当に気持ちよくパスすることができる。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 19画像

2024年モデルではハンドルバーのセット位置が10mm上方とされた。メーターディスプレイがスマートフォンと連携できるものに変更されたことに併せてスイッチボックスも新たなものとなった。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 20画像

メーターディスプレイの変更が2024年モデルの大きなフィーチャーポイントとなっており、従来モデルとの見分けがつく部分だ。ハンドルのセット位置に関しては、さほど違いが感じられないかもしれない。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 21画像

コンパクトにまとめられたデザインによりスポーティな印象を受けるテールセクション。樹脂パーツと塗装パーツを組み合わせた立体感のある仕上がりとなっている。テールランプ、ウインカー共に小型であるが、後方からの視認性は良い。

【ヤマハ MT-07 試乗記 】兄弟随一の荒々しさで触れる者を狂喜させる!! 22画像

燃料タンク容量は13L。スペックシート上での燃費は24.6km/L(WMTCモード値)で、テスト時に行った実測では21.3km/Lだった。柔らかなボディラインや艶のあるペイントにより質感が高くなっている。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

愛車を売却して乗換しませんか?

2つの売却方法から選択可能!

方法1.オークション

出品前買取相場が分かる!
3000社の中から最高入札店のみとやり取りで完結。

方法2.買取一括査定

業界最大級の加盟店数!
最大12社一括査定
愛車が高く売れるチャンス

メーカー

郵便番号

タグで検索