【カワサキ ニンジャ1000 SX 試乗記】快適、楽々、そして速い!! 進化と熟成を重ねたリッタースポーツツアラー

掲載日:2020年05月08日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之

【カワサキ ニンジャ1000 SX 試乗記】快適、楽々、そして速い!! 進化と熟成を重ねたリッタースポーツツアラーの画像

KAWASAKI Ninja 1000 SX

カワサキのリッタークラススポーツツアラーとして人気だったニンジャ1000が、多くのリファインを施され、車名も新たにニンジャ1000SXとして登場した。4代目となる今回は果たしてどんなマシンに仕上がっているのだろうか。アップデートされた部分をチェックしつつ、試乗してその走りも確かめてみた。

ニンジャ1000 SX 特徴

多くの装備が追加され、さらに乗りやすく
グレードアップして魅力倍増

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ツーリングからスポーティな走行まで、オールマイティに楽しめるリッターモデルとして人気を博してきたのがニンジャ1000だ。2019年のEICMAで発表された新型は、ニンジャ1000SXという名称となり、日本では2020年の4月に発売となった。

新しいモデルがどう変わったのか? ひとことで言えば「ツーリング時の快適性や利便性をより高めつつ、スポーツライディング時のポテンシャルもアップした」と表現できるだろう。

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外観はキープコンセプトで大きな変化はないが、カウル類がリファインされ、より迫力のあるものとなった。フロントシートも形状や材質の見直しが行われている。また従来からヘッドライトはLEDを採用していたが、新モデルはすべての灯火類をLEDとした。ウインドスクリーンの形状も見直され、4段階の角度調節が工具なしで行える機構となっている。マフラーは前モデルが両側出しだったのに対し、右側1本出しのデザインに変更され、よりスポーティさを強調。ちなみに排ガスのさらなるクリーン化も達成している。

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メーターは4.3インチのフルカラーTFT液晶を採用し、背景色の選択のほか画面の自動調光機能を備える。ハンドルスイッチにより表示モードの切り替えが可能で、スマートフォンとの接続機能も有している。また、電子制御スロットルやクルーズコントロールの装備、アップ/ダウン両対応のクイックシフターの採用など、走りを快適にしてくれる機能を多く取り入れているのも大きな特徴だ。さらにはETC2.0やグリップヒーター、DCアクセサリー電源、ヘルメットホルダーなどが標準装備され、ツーリング時の快適性や利便性を大いに高めてくれる。

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またこのニンジャ1000 SXは「カワサキケアモデル」対応車種となっている。これはカワサキプラザ店での定期点検5回、オイルおよびフィルター交換3回を無償で受けられるシステムで、要は車検までの間、安心安全なバイクライフをサポートしてくれるというわけだ。高性能なマシンをベストなコンディションで乗り続けられるから、ユーザーにもメリットが大きいだろう。

ニンジャ1000 SX 試乗インプレッション

ライダーをサポートする先進のメカニズムで
疲れ知らずの楽々ライディングを実現

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ニンジャ1000 SXのシート高は820mmだが、足つき性に配慮した形状となっているため、数値よりも低めに感じる。ハンドルはセパレートタイプだがアップライトなポジションのため窮屈さはなく、自然なライディングポジションが取れる。

走り出して最初に感じたのは、「すべてが軽い!」ということ。カウリングのボリュームがあるので停車時には重く、大きなイメージのあるマシンだが、一旦走り出すとアップライトなハンドルのためか、操舵制御はしやすく軽い。そして、それに伴う車体の挙動がこれまた軽く、市街地の2車線道路における車線変更などでも、腰にちょいと力を伝えれば股の間でヒラリヒラリと車体が動き、重量感をほとんど意識せずに走れるのだ。電子制御スロットルのおかげか、アクセルを開けたときのパワーの出方はとてもなめらかでスムーズであり、混雑した街中を低速で走る際にもギクシャク感が全くない。アシスト&スリッパークラッチのおかげでクラッチレバーの操作も軽く、余計な気疲れを感じることがなかったのが印象的だった。

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次に実感したのが「楽!」ということ。シティランでも楽なのは感じたが、それ以上に楽だなと感じさせてくれたのは郊外のバイパス路や高速道路でのこと。クラッチ操作が不要でギアのアップダウンができるクイックシフターやクルーズコントロールを装備していることで、煩雑な操作から解放され、リラックスしたライディングを楽しむことができる。さらに、パワーモードやトラクションコントロールと連携した「インテグレーテッドライディングモード」のおかげで、条件に合わせた最適な出力設定が簡単に可能なのも評価の高いポイントだ。これらの装備は長距離ツーリングや雨中走行においても、疲労度をグッと下げてくれるだろう。

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ワインディングロードにおいても安心のアシスト機能が働く。コーナリング中のエンジンやシャーシ各部の状態をリアルタイムでモニタリングし、パワーやブレーキ効力を最適な状態にコントロールする「カワサキコーナリングマネジメントファンクション」が加減速時の挙動をスムーズにしてくれ、ライダーが思った通りのラインをトレースしやすくしてくれるのだ。アクセルをちょいと捻るだけでパワフルかつスポーティなライディングが思いのまま……何とも爽快なライディングフィールを味わえるマシンに仕上がっている。

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ニンジャ1000 SXは数多くの電子デバイスによって「楽」にツーリングやスポーツ走行を可能にしてくれるマシンといえるだろう。乗り手は余計なことを考えず、純粋にライディングに集中できるのだ。これはつまり「乗って楽しい」に通じるということ。リッタークラスのマシンを家から引っ張り出すのは面倒だな、と感じるライダーも少なからずいると思うが、このマシンはそんな気分を吹き飛ばし「早くまた次に乗りたいな」と思わせてくれるはず。気負わずにツーリングや峠に連れ出してくれる……そんな相棒と呼べる1台となるに違いない。

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ニンジャ1000 SX 詳細写真

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ヘッドライト周りはシャープさが増した印象。今回からすべての灯火類にLEDが採用されている。ウインカーはクリアレンズにオレンジの球状LEDだ。

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4.3インチフルカラーTFT液晶のメーターは、ライディングモードのほか、各種電子デバイスの設定状態なども表示可能。専用アプリを入れればスマホとも連携できる。

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左側ハンドルスイッチではメーターの表示切り替えや各種デバイス、ライディングモードの設定などが行える。また、クルーズコントロールやグリップヒーターの操作ボタンも装備する。

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右側ハンドルスイッチはスターター&キルスイッチのみとシンプル。レバーは左右ともにダイヤルで調整が可能だ。

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カウル内側左部分にはシガーソケットタイプのDC電源を標準で装備しており、ナビやスマホの充電に便利だ。

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スクリーンの角度はメーター下のレバーを押すことで、工具を使うことなく4段階に調節が可能。写真はもっとも立てた位置のもの。

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フロントシートには反発性と形状保持性が高い高密度ウレタンクッションを採用。快適性を向上させるとともに、足つき性を考慮した形状となっている。

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リアシート内部にはETC2.0車載器を標準で備える。メーター内にインジケーターも内蔵されており、後付けよりもスッキリ。ツーリング派には嬉しい装備だ。

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パワーユニットは水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ、1,043ccだ。最高出力は104kW(141PS)/10,000rpmとハイスペックだが、扱いづらさは全くない。

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複数のパーツで構成されるカウリング類とタンクは複雑で美しいデザインだ。吸い付くようなニーグリップ感覚を生む造形は秀逸。

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ホリゾンタルバックリンク式のリアサスペンションを採用。別体式のプリロードアジャスターを装備するため、荷物量やタンデムなど利用シーンに合わせた調節が簡単にできる。

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車体左側、タンデムステップホルダーの根元にヘルメットホルダーを装備している。

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搭載されている工具はドライバーやヘキサレンチなど、必要最低限のものとなっている。

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フロントブレーキは300mm径の大型デュアルディスクに異径対向4ピストンラジアルマウントモノブロックキャリパー、ラジアルポンプマスターシリンダーというスーパースポーツ並みのハイグレードな組み合わせ。タイヤサイズは120/70ZR17M/C (58W)。

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リアブレーキには250mm径のディスクとシングルピストン・ピンスライドキャリパーを採用。タイヤサイズは190/50ZR17M/C (73W)で、銘柄はブリジストンのBATTLAX HYPERSPORT S22を履く。マフラーは右側1本出しとなった。

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ブラックフィニッシュされたテールランプはLEDだが導光タイプではなく、球状のLEDが並ぶ形状となっている。ウインカーはフロント同様クリアレンズにオレンジLEDを採用。

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シート高は820mm。ライダーの身長は170cmで足短め。片足だと親指の付け根までしっかりと接地する。両足だとつま先が着く程度だ。

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