掲載日:2019年08月02日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之
SUZUKI GIXXER
2014年に登場したジクサーは、主にアジア圏をターゲットとしたスズキの小排気量グローバルモデルだ。一見するとストリートファイターのようなスポーティなルックスながら、アップライトで楽なポジションや粘り強いエンジン、軽くて取り回しが楽なのに高速道路にも乗れるなど、使い勝手がいいこともあって日本でもヒットしている。この注目の150ccモデルの魅力に迫ってみよう。
読者の皆さんは軽軽2輪、という言葉をご存知だろうか。従来250㏄が主流だった軽2輪市場に対して、より軽く、日常生活での使い勝手のいい150~200㏄のマシンをこう呼び、日本でも急速に人気が高まっているクラスだ。この軽軽2輪クラスにスズキが投入したロードモデルがジクサーだ。
排気量は154㏄、サイズは全長でいえば2,005mmで、これは同社のGSX-S125より5mmだけ長く、GSX250Rより80mm短いという、まさに125以上250未満の間にうまくハマるポジションとなっている。普段の通勤では混雑した道を通るため、なるべく小回りのきくマシンがいい、でもたまに高速も乗るし、ツーリングにも出かけたい……そんな欲張りなニーズに応えてくれるのがジクサーなのだ。
派手なグラフィックと、野生動物が獲物を狙うかのように低く構えたルックスは、ストリートファイターのようにスポーティな雰囲気だ。ヘッドライトも、まるで周囲を睨むかのような迫力がある。燃料タンクは樹脂製のカバーで覆われているが、カバーはボリューム感があり、なおかつセクシーな曲線を描く造形だ。シートにも赤いステッチが施されており、ホイールにはリムステッカーが貼られていたりと、細部まで手を抜いていないのが好印象だ。
メーターはデジタルで、ギアポジションや時計なども表示する多機能タイプ。セットした任意の回転数になると点灯してギアチェンジのタイミングを教えてくれる、RPMインジケータも装備する。
また、このクラスのロードモデルではほとんど例のない、センタースタンドを装備しているのも特徴的だ。スポーツモデルには不要だ、と思う人もいるかもしれないが、メンテナンスの際などには重宝するし、様々な駐車状況に対応できるので、あれば嬉しいという人も多いはずだ。
ジクサーは全体的にスポーティな雰囲気を持ちながら、実用性にも富んだモデル、というイメージのマシンとなっている。
ジクサーのタイヤサイズは前後17インチで、見かけはフルサイズの125ccクラスと同じか、タンクがちょっとボリューミーなため若干大きく見える。しかし、取り回しのため押して歩いたり、跨って車体を左右に倒してみると、ものすごく軽く感じる。実際、装備重量は135kgと、GSX-S125よりわずか2kgプラスにとどまっている。また、ハンドルの高さはごく自然なもので、上体は極端に前傾になることもなく、余裕をもって周囲を見渡せるライディングポジションを取ることが可能だ。
搭載されるのは低燃費とパワーを両立させたSEPエンジンで、排気量は154ccだ。アイドリング時の排気音は「ストトトト……」とまるで実用車のように静かで穏やかだ。走り出してもロングストロークのエンジンのためか、低速でもよく粘り、とてもマイルドな乗り心地だ。車体が軽く、ハンドルもよく切れるので、都市部の渋滞時であってもストレスのない走りが可能だ。
しかしこのマシンはただおとなしいだけの存在ではない。6,000~8,000回転ぐらいの領域をキープすると、排気音も野太くなり、グイグイとマシンを前に押しやるパワフルな乗り味に変わる。このあたりの回転数をキープすると、シティランでは車の流れをリードするキビキビとした走りができるし、ちょっとしたワインディングに持ち込んでもスポーツライクな走りが楽しめる。やはり、全てにおいて125ccクラスよりも少し余裕があるな、という印象だ。さらにエンジンはもう少し上まで回るので、高速道路でも法定速度内で巡航するには十分なパワーを持っている。
足周りもよくできていて、インナーチューブ径41mmのフロントフォークや7段階にプリロードが調整できるリアのモノサス、前後に配された十分に制動力の高いディスクブレーキなどが、コーナーリング中でも安定した車体をキープしてくれる。ちょっとした路面のうねりや荒れなどに突っ込んでもマシンが暴れることのないこの安定感は、250ccクラスと比べても遜色のないものだ。
シティコミューターとして気軽に街乗りに使えるうえ、高速道路にも乗れるからちょっとしたツーリングも楽々こなす。ジクサーは若い人のファーストモデルとしても適しているし、ビッグバイクにもう1台、といったセカンドバイクに使うのもオススメだ。軽軽2輪市場のけん引役として、これからも人気を保ち続けることだろう。
ヘッドライトは35w/35wのハロゲン。ウインカーは通常のバルブタイプとなっている。せめてヘッドライトだけでもLED化してもらいたいところだ。
メーターはフルデジタルの多機能タイプで、直射日光下でも見やすい。ギアポジションインジケーターや時計、燃料計、ツイントリップのほか、任意の設定回転数でギアチェンジのタイミングを知らせるRPMインジケーターなどを装備する。
左グリップ部にはウインカー、ホーン、ヘッドライト上下切り替えスイッチを装備。前側の黄色いレバーはパッシングスイッチだ。
右側グリップ部にはスターターとキルスイッチのみ。高速道路を走れる車両なのでできればハザードは装備してほしい。
タンク前の小さなシュラウドは膨らみのある複雑な造形を持つ。Sの字をモチーフにしたという噂も!?
樹脂製のタンクカバーはボリュームがあり、なおかつ複雑な曲線で美しい造形としている。下部は意外に細く、ニーグリップしやすい形状だ。
赤いステッチが施されたシートは座面が広くライダーの自由度は高い。タンデムライダーが前に滑らないよう、微妙に盛り上がりがあるのがわかる。タンデムグリップはスタイリッシュで握りやすい。
シート下にはフック状のヘルメットホルダーが3つ備えられている。ETC機器を入れるスペースの確保は厳しいかもしれない。
シートの裏側には車載工具を備える。内容はスパナ2種とドライバー兼プラグレンチとなっている。
低燃費とパワーを兼ね備えたSEPエンジンは154cc空冷4サイクル単気筒SOHC2バルブ。ロングストロークのため中低速のトルクが太く、扱いやすい。最高出力は10kW(14PS)/8,000rpm、最大トルクは14N・m(1.4kgf・m)/6,000rpmを発生する。
ステップにはラバーが装着されている。ブレーキペダルはガードを備えた珍しいタイプだ。
シフトペダルはリンクを備えている。その形状はあまり見かけないタイプだが、シフトタッチは悪くない。
このクラスのロードスポーツには珍しく、センタースタンドを装備している。メンテナンスの際など、あればあったで便利なものだ。
リアのモノサスには赤いチューブが巻かれ、スポーティさをアピールするとともにアクセントになっている。7段階のプリロード調整が可能だ。
リアビューはスリムでスッキリしたデザインだ。テールランプにはLEDを採用している。ウインカーはクリアレンズにオレンジ球となっている。
フロントのタイヤサイズは100/80-17M/C 52Sで、銘柄はダンロップのK275F(バイアス)だ。ブレーキディスク径は266mm、キャリパーはブレンボのOEMであるBYBRE社製。
マフラーはエンド部分がデュアル化され、デザイン性と排気効率を両立させている。リアブレーキのディスク径は220㎜で、キャリパーはニッシン製だ。
リアのタイヤサイズは140/60R17M/C 63Hで、銘柄はダンロップのK510BG(ラジアル)となっている。
テスターは身長170cm、体重73kg、足短め。シート高は785mmでGSX-S125と同じだが、クッションが厚めで角もそぎ落とされていない分、ジクサーのシートのほうが高く感じる。しかし車体が軽くバランスもいいため、片足で指の付け根まで着地できればふらつく心配はなく十分だ。
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