

掲載日:2017年02月02日 試乗インプレ・レビュー
レポート/和歌山利宏 写真/徳永 茂
一方のEXは、外装もRS同様に刷新されたものの、従来型EXの正常進化版と考えていい。でも、RSが生まれたことで、電子制御マップなどの差別化も明確になり、EXらしい鷹揚さがさらに引き立っている。
大型のアップハンドル(タイプⅠ)に身構え、直立した上体からシートにたっぷり荷重。フロントが大きくゆったりと切れて向きを変え始めるのを、リア荷重の体勢で見守る。
これは、フロント19インチ時代のロードスポーツが持つ味わいでもある。現存機種でこのフィーリングを持つモデルを僕は知らない。そして、そのゆったりとしたフロントの動きを、RSのφ43mmよりも小径(従来通りのφ41mm)のフォークが、しなやかに伝えてくる。
ただ、その辺に注目すると、ローハンドル仕様のタイプⅡは、EX本来のキャラには合わないと思う。ライダーに前方への体重移動を強いてしまうからである。EXの良さを知ってもらうため、ここはあえて私見を述べさせていただく次第である。
CB1100EX
スロットルレスポンスには、いい意味でのダルさがあり、昔の丸キャブのレスポンスにも通じる穏やかさで、優しい。これが前後18インチの走りのリズムや、トラクション感覚とも噛み合っているのである。トルク特性も低中回転域が豊かで、全域におけるフラット感があり、車輌性格とのマッチングも良い。
ただし、このように古き良き時代を彷彿とさせても、古さを感じさせることはない。全てが今日的に改良を受けていることも見逃せない。
アシストスリッパークラッチの採用でレバー操作力は16%軽減され、扱いやすい。先の通り、従来型EXから5kgも軽量化された車体は、動きに鈍重さを感じさせない。また、前後サスペンションは乗り心地重視ながら、フロントのSDBVは急激な姿勢変化を抑えてくれるというわけだ。
また、RSも含めて、エキゾーストサウンドにも改良の手が入れられ、混ざり気のない低音のサウンドを響かせてくれる。車両性格も含めて、一切のストレスを遮断してくれている印象である。
EXには、伝統的スタイルが今日的に再現されていると言って差し支えない。CB1100シリーズが持つ普遍的な魅力を、ここでまた再認識したというわけである。
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