モトグッツィ V7Ⅱレーサー
モトグッツィ V7レーサー

モトグッツィ V7Ⅱレーサー – 1960年代プロダクションレーサーのイメージを現代に復刻

掲載日:2016年04月14日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  写真/山家 健一  動画/倉田 昌幸  衣装協力/HYOD

モトグッツィ V7Ⅱレーサーの試乗インプレッション

モトグッツィ V7Ⅱレーサーの画像

伝統の良さは残しつつ
走りの質をアップグレード

青空や高層ビルなどの風景が映り込むクロームメッキのロングタンクや深紅に塗られたスチールフレーム、車体の左右にV字型に突き出たシリンダーヘッドなどのデザインが相変わらず個性的で美しい。ノスタルジックな雰囲気の演出という点では他の追従を許さないモデルである。

モトグッツィ V7Ⅱレーサーの画像

跨ってみると、セパレートハンドルにも関わらずライディングポジションはアップライトで楽。シートも少し低くなり、足着きもさらに良くなった。ハンドル切れ角も十分あって取り回しやすいのも従来どおりだ。変わったのはヒザまわりのスペースに余裕が出来て、ブレーキングで前ずれしてもシリンダヘッドにヒザが当たらなくなったこと。大柄なライダーにとってはことさら大きなメリットだ。

エンジンは縦置きVツインならではのテイスティな鼓動感と、スロットルを捻ると右に車体が傾くトルクリアクションは従来どおりだが、新しくなる度に回転フィールは洗練されてスムースになっていく気がする。元来の持ち味だった厚みのある中速トルクに加え、先代では高回転での伸び感も上乗せされたことで、すでにストリートでは高速道路を含めて不満を感じるシーンはなくなっていた。そして6速ミッションが新たに採用されたことで、シフトアップ&ダウンでの回転数の変化が少なくなり、加減速がスムースに、クラッチのつながりも楽になっている。シフト操作が多くなりがちな街中でも、結果的に疲れにくくなった。

モトグッツィ V7Ⅱレーサーの画像

エンジン搭載位置を低く前傾させたことでハンドリングも向上している。低重心化とともに前輪荷重が増え、フロントタイヤの接地感が増してコーナリング時の安定感がさらに向上した感じだ。加えて、スイングアームピボット位置が下げられてアンチスクワットが最適化されたおかげで、特徴的だった加速時のリフトアップが抑えられている。つまり、普通に乗りやすい現代的なハンドリングになったわけだ。それでいて、フロント18インチのスポークホイールらしい大らかさは損なわれてはおらず、エンジン特性ともマッチングさせてうまく煮詰められている。クセの強さこそグッツィだ、と思う向きにはやや物足りなさも感じるかもしれないが、ライディングを楽しむという意味では洗練された機械を操るのも気持ち良いものだ。

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新たに導入された電子制御については、これを積極的に使って走るというよりは安全マージンを高めるものと考えるべきだろう。トラクションコントロールもABSも介入するタイミングは比較的穏やかだが、マンホールなどで滑ったときは確実に入ってくれる。つまり保険のようなもの。気持ち的に安心できればリラックスして走れるので、快適で楽しいというわけだ。

見た目はヘリテージそのものだが、残すべき伝統はそのまま大事にしつつ、現代のテクノロジーで安全に洗練された走りも楽しめる、まさに本物のネオクラシックと言えるモデルだ。

モトグッツィ V7レーサーの詳細写真は次ページにて

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