カワサキ W800
カワサキ W800

カワサキ W800 – フューエルインジェクション搭載で環境適合

掲載日:2011年03月03日 試乗インプレ・レビュー    

写真/山下 剛  取材・文/土山 亮

フューエルインジェクション搭載で
環境適合を果たしたW

往年の W シリーズを髣髴とさせる空冷並列2気筒エンジンを搭載し、ネオ・クラシックとして人気を博したカワサキ W650。若者にとっては新鮮に、往年の W の輝きを知る世代には懐かしく映る佇まいは、スタンダードなバイクとして多くのファンを獲得した。しかし2009年、排気ガス規制の煽りを受けて生産中止に……。ファンにとっては残念この上ないニュースではあったが、カワサキは昨年の欧州ショーで後継モデルとなる 『W800』 を発表した。

復活にあたって排気量を従来の 675cc から 773cc へと拡大し、車体には 『800』 の文字が刻まれるニューW。基本コンポーネンツは従来型を踏襲しつつも、F.I.(フューエル・インジェクション) の搭載や各部の意匠変更を行い、新時代の W として再出発したと言える。

カワサキ W800の特徴

高められたのはクラシックな雰囲気ではなく
むしろスタンダードバイクとしての完成度である

先代 W650 が登場したとき、誰もが往年のWシリーズを思い浮かべた。メグロをルーツとする古典的なOHVエンジンを搭載するWシリーズは、そのスタイリングと情感溢れるサウンドで今も多くのファンを持つ名車だ。しかしカワサキが生み出したW650は単なる懐古主義ではなく、新たなエッセンスを盛り込んだ車両だった。車体こそ昔ながらのコンベンショナルな構成としていたが、エンジンはベベルギア(傘歯車)によるカム駆動方式をチョイス、それが旧Wとは違う新たな個性を生み出していたのだ。動力性能としては何ら驚くことのない車両ではあったが、そのオーソドックスでどこか懐かしいスタイリングは、老若男女様々なユーザーを獲得することに成功した。近年のカワサキラインナップの中では間違いなくベストセラーのひとつと言えるはずだ。

カワサキ W800の画像

2010年欧州ショーで発表された W800 は、W650 を現代の事情に合わせて各部をアップデートしたモデルである。誰もが注目するエンジンは、ボアのみを5mm拡大して 773cc とし、そこへケイヒン製インジェクターをセット。エンジン外観はほぼ従来どおりにも見えるが、実はクランクケースも含めてほとんどのパーツが新造されているという。そこであえて大掛かりな意匠変更を行わなかったのは、これまで築き上げてきた W のイメージを崩さないように、というカワサキの配慮もうかがい知ることが出来る。とはいえ、車両の印象を決定付ける外装部品に関しては数々の変更が加えられている。ガソリンタンクは内部に燃料ポンプを持たない構造(ポンプはタンク外側底面)としてタンク容量を従来どおり確保。メーターパネルはポップなデザインへと生まれ変わり、シートは表皮デザインをタックロールとして、シート高も10mm低く設定。外装パーツは、上質なメタリック塗装と金属パーツの丁寧なバフクリア&クロームメッキ仕上げの効果もあって、質感が大幅に向上している。眺めて楽しむ、磨く楽しみなど、所有する悦びを求めるユーザーにとっては、満足のいく仕上がりと映るはずだ。

カワサキ W800の画像

カワサキ W800の試乗インプレッションは次ページにて

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