カワサキ ER-4n
カワサキ ER-4n

カワサキ ER-4n – 400ccクラスに送り込まれた新たな刺客

掲載日:2010年08月05日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

400ccクラスに送り込まれた新たな刺客
スタイリッシュ・ネイキッドER-4n

小・中排気量クラスに意欲的なニューモデルを投入しているカワサキ。2009年末には原付2種クラスにKLX125とDトラッカー125を発表したのは記憶に新しいところだが、今年も国内中間排気量クラスにNinja400RとER-4nをデビューさせた。国内の既存ラインナップで手薄となっているカテゴリにスパッと魅力的なニューモデルを投入し、新たなムーブメントを起こすのは同社の得意技だが、今回インプレッションするER-4nもそんな雰囲気を持つモデルだ。海外で好評を博しているER-6nをベースに、日本市場向けに適正化された排気量399ccの水冷4バルブDOHC並列2気筒エンジンを搭載。同時発表された兄弟モデルNinja400Rよりも軽快で、見方によってはよりアグレッシブな外観が与えられているのが特徴だ。果たしてカワサキが400ccクラスに送り込んだ新たな刺客ER-4nはどれほどの実力なのか。じっくりと味わってみたい。

カワサキ ER-4nの試乗インプレッション

カワサキ ER-4nの画像

個性的な外装がもたらす軽快な走りと
エンジンを使い切る快感が最大の魅力

スペックシートを一瞥しただけでは、ER-4nと兄弟モデルであるNinja400Rとの間には大差が無いように思える。しかし、試乗すればこの2台は単なる着せ替えモデルではなく、明確に異るキャラクターを与えられた個別の存在であることが分かる。Ninja400Rをスポーツツアラーとするなら、ER-4nは街乗りを重視したストリートファイターだ。ライディングポジションも酷似しており跨っただけではその差が分かりにくいが、その個性は走り出した瞬間から発揮される。最大の違いはその軽快感とシャープなハンドリングだ。カウルを持たないER-4nが物理的に軽快なのは当然だが、走行中のあらゆるシーンでハンドリングがシャープにレスポンスするのが印象的。

カワサキ ER-4nの画像

コーナーリング中はその差がより明確となり、「これはカウルの有無だけが要因ではない」と走行中に確信したほどだ。帰社後、資料を見ながら両モデルの車体設計を比較してみると、ホイールベースはNinja400Rの1,410ミリに対してER-4nは1,405ミリ、キャスター角はNinja400Rの25.0度に対してER-4nは24.5度。わずか5ミリと0.5度の差ではあるが重量配分や空力特性の違いと相まって、Ninja400Rが安定志向のハンドリングと感じるのに対してER-4nは旋回性が高い運動性となっている。何気ない交差点での身のこなしもライダーのアクションに合わせてクルリと向きを変えるという印象だ。また、低中速重視の味付けを施されたパワーユニットとの組み合わせも楽しい。街中では自然とその領域を使うことが多くなるが、ER-4nのエンジンは発進から中間加速までが気持ちよく繋がっている。スロットルレスポンスも絶妙で、右手の動きにシンクロして発揮されるパルシブな駆動力が実に心地よい。パワーを余裕で受け止めているフレームや足回り、公道での使い易さに優れる従順なブレーキとのコンビネーションにより、エンジンのポテンシャルを使い切れる走りも健全なスポーツ性を感じさせる部分。走りの守備範囲はNinja400Rよりも一回り広いと感じた。

ただし、当然のことながらハイスピードでのクルージング性能はNinja400Rに及ばない。ER-4nのメーターユニットも空力性能とウインドブロテクションを意識したものだが、コンパクトに設計されているためその効果は限定的。ロングツーリングの機会が多いならば、やはりNinja400Rを選んだ方が幸せになれそうだ。ER-4nとNinja400R。兄弟モデルゆえにどちらかをチョイスするのは非常に困難だが、ER-4nは街中やワインディングを元気よく走りたい向きにオススメな1台である。

カワサキ ER-4nの特徴は次ページにて

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