掲載日:2015年02月02日 バイク購入ガイド 件のユーザーレビュー
文/山下 剛
『ヴェルシス 1000』は、“ストリートサーファー”をコンセプトとする『ヴェルシス 650』の上位モデルとして2012年に登場しました。心臓となるエンジンは水冷並列4気筒で、Z1000のエンジンをベースとして低~中回転域のトルク重視のチューニングが施されています。このエンジンをアルミ製ツインチューブフレームに搭載し、ゆとりある長いストロークのサスペンションと前後17インチホイール、アップライトな乗車姿勢で長距離ツーリングを快適に楽しめる性能を持っています。
2015年モデルではフルモデルチェンジとなり、外観はニンジャシリーズ同様のイメージを獲得。精悍な2灯式ヘッドライトと可動式スクリーンを備えるアッパーカウルを採用しています。“ライディングエキサイトメント”を追求したエンジンは、従来の118psから120psへとパワーを向上。クラッチ操作を軽くし、急激なエンジンブレーキ時のリアタイヤのスリップやホッピングを抑制する“アシスト&スリッパークラッチ”を搭載。さらに、3モードのトラクションコントロールと2モードのエンジン出力パターンを選択できる電子制御システム“KTRC”を採用することで、ハイパワーを意のままにコントロールしながら、ロングツーリングを楽しむことができます。
サスペンションは、右側に伸び側調整機構を備える倒立フロントフォークと、フルアジャスタブルモノショックが組み合わされ、ゆとりあるストロークは荒れた路面や長距離走行で快適な乗り心地をもたらしてくれます。
このところ流行しているアドベンチャーモデルにカテゴライズされるバイクの中で、並列4気筒エンジンを搭載するモデルはこのヴェルシス1000だけです。マルチエンジンならではのスムーズさときめ細やかなパルスのトルクは、長距離ツーリングにおいてライダーを強くサポートしてくれます。そのぶん車重は250kgと決して軽くはありませんが、それを補って余りあるほどのライディングプレジャーを感じさせてくれるでしょう。
1,236cc水冷V型4気筒エンジンを搭載する異色のアドベンチャーモデル。オートマチックミッションはロングツーリングを心おきなく楽しませてくれる強い味方だ。
スーパーバイク譲りのパワフルな水冷Lツインエンジンを搭載。4種のライディングモードとセミアクティブサスペンションで、ワインディングからダート走行までこなす。
水冷となった水平対向2気筒エンジンとセミアクティブサスペンション、ライディングモードやトラクションコントロール、ABSなど、最新技術が新世代の走りをもたらす。
ヴェルシス 1000 は、カワサキのミドルクラスアルプスローダーであるヴェルシス(649cc)の、アッパークラスの兄弟車として生み出されました。ヴェルシスはツインスポーツER-6系の車体とエンジンを使用していますが、ヴェルシス 1000 はヨーロッパで人気を集めている、ストリートファイター的要素を盛り込んだハイパフォーマンスネイキッドである Z1000 をベースに開発されています。ツインエンジンが主流のアルプスローダーの中では、直列4気筒エンジンを搭載するヴェルシス 1000 は異色の存在だと言えるでしょう。カワサキでは、あらゆる路面状況でもライディングの楽しみを見出せるマシンとして、ヴェルシス 1000 を「ストリートサーファー」と定義付けています。
Z1000 由来の排気量 1,043cc 水冷直列4気筒 DOHC16 バルブエンジンは、低中回転域のトルクを強化。138PS の最高出力を発揮するフルパワー仕様の Z1000 と比較すると、ピークパワーは 20PS ほど抑えられていますが、その代わり低中回転域のトルクの立ち上がりはヴェルシス 1000 の方が強力です。また、ライディングのサポートデバイスとして、進んだ電子制御を採用しているのもヴェルシス 1000 の特徴です。トラクションコントロールシステム「3モードKTRC」は、路面コンディションが悪い状態でのスタビリティを確保するだけでなく、あらゆる路面で最大限の加速力を発揮できるよう効率良くトラクションを発生させることを考慮した、新世代のトラクションコントロールシステムです。ネーミングに「3モード」とあるように、加速重視のモード1、2と、グリップ重視のモード3の、3つのモードを装備して走りのシチュエーションに合わせた特性を選ぶことができるのです。更に、出力特性が任意で選択可能な「パワーモードセレクション」も装備。フルパワーモードと、出力が 75% に抑えられスロットルレスポンスもマイルドなローパワーモードの2つのパワーモードが用意されています。「3モードKTRC」とパワーモードセレクションは、それぞれ個別に設定できるので、ライダーのスキルやライディングのシチュエーション、路面状況に応じた最適なパワーマネジメントを実現しています。(文/淺倉 恵介)
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