迫力ある750サウンドを奏でるK0無番太芯マフラーや、各年式ごとの純正色を見事に再現したガソリンタンク&サイドカバーなど、高品質リプロパーツの開発でCBファンに知られる愛知県名古屋市の闇矢屋。20年に渡ってCBの整備やレストアに携わってきたノウハウの蓄積は膨大で、レストア車両への評価も高い。
ホンダ純正部品の正規ディストリビューターであり、メーカーで販売終了となったパーツを独自に復刻する闇矢屋。中でも先見の明があったのが、リプロパーツ製造を積極的に行ってきた点だ。
整備やレストアにおいては、オリジナル部品の補修や中古部品の転用によって、 一時的な部品不足は解消できるだろう。だがフレーム+エンジンのローリングシャシー状態のベース車が増えるにつれて、ガソリンタンクやサイドカバーの欠品が致命的な痛手となる。そこに着目してタンクやシート、4本マフラーを製造したのが闇矢屋である。CB750Kシリーズが美しくレストアできる裏で、闇矢屋の功績は計り知れない。
パーツ製造と同時に、闇矢屋が切れ間なく手がけてきたのがレストア車両の製作だ。長年CBに関わってきた店主は、20年に渡って闇矢屋を営む中で「仕入れたバイクはすべて分解してしなければ安心して販売できない」という結論に達したという。例えば、実動品と言われて仕入れたエンジンのプライマリーチェーンが1本切断していたり、ヘッド周りが潤滑不良となっている例も珍しくないという。店でチェックした時に問題はなくても、納車後に何が起こるか分からないのが絶版車だ。チェックを省略した部分が修理で戻ってくるぐらいなら、車両を製作する段階で徹底的に確認した方が後のリスクを軽減できるというのが闇矢屋の考え方。ノンレストアの当時モノに価値を見い出す絶版車好きとは方向性を異にするかもしれないが、シーンを問わずCB750に乗りたいユーザーにとっては、純正部品と自社部品で美しく仕上がった闇矢屋の車両は、ある意味では理想のスタイルといえる。
CBに関する長所と弱点を知り尽くしているだけあって、整備やレストアに関するノウハウは膨大。オイル漏れを防ぐ手法にも独自性がある。以下にその一例を示すが、これも一事が万事。ユーザーが不具合や不満を感じることなく安心してCBに乗れるように、闇矢屋ではマニュアル以上の作業を行っている。部品があるから整備ができるし、メカニカル部分の整備がきっちりできるからリプロ部品が活用できる。整備と部品の両輪がバランス良く回っているのが、闇矢屋の最大の特徴である。
ホンダ純正パーツの正規ディーラーでもある闇矢屋では、CBのメンテや整備に必要なパーツを在庫し、部品番号ごと(使用ブロックごと)に整理している。「純正部品がある物は純正を使う」のが闇矢屋の方針。
ガソリンで変質したり、パワーフィルター仕様で外される純正エアクリーナー。アッパーケース側面にヒダのないKO後期用は、吊り金具がボルト3本で固定される。これまでの初期用の2点留めケースに追加された。
ポイントカバーとクラッチアジャスティングカバーは純正めっきカバーが手に入るが、こちらは海外メーカーが製作したカーボン製カスタムパーツ。超軽量なリアルカーボンは綾目が美しく、カスタムエンジンのアクセントになる。
CB750Kのガソリンタンクには69年モデルのK0用しわタンクと70年以降のモデル用の2タイプがある。外装パーツはその時々の気分で着せ替えたくなるものだ。
タンクキャップを開け、内部を覗き込んだときに、口金直下にシワがあるタイプをCBマニアは「シワタンク」と呼ぶ。これは69年生産車の特徴だ。K0はキャンディカラーのブルーグリーン、ルビーレッド、ゴールドの3色だ。
国内モデルには408cc 仕様と398cc仕様があるが、408は赤のルビーレッドと紺のバーニッシュブルー、398は赤のルビーレッドと黄のパラキートイエローとそれぞれ2タイプだった。408のサイドカバーはタンクと同色で398は黒だった。
セル始動時にスターティングクラッチが滑ってしまい、エンジンの始動不良に陥っている、または、陥りつつある例は多い。ヤミヤでは販売中止になって久しいスターティングギヤを独自に製作。交換時には別売りのスターティングクラッチセットと同時交換しよう。
クラッチミート時に大きなジャダーが出たり発進挙動がヘンなときにはプライマリードリブンギヤ&ダンパーを疑おう。補修部品は生産中止だが、ヤミヤではリビルドサービスも展開中。気になるときには問い合わせてみよう。
K0~K6までの各モデル別&カラーリング済みのサイドカバーセットも好評販売中。K1/K2用750エンブレムは1個税抜2580円。ダイヤウイングの赤は左右各税抜2650円。橙色は左右各税抜3320円。
赤色の燃料タンクでも408時代と398時代では「HONDA」ロゴの大きさが異なり、408 時代の方が小さく全幅168mm 。398時代は184mmとなっている。赤と紺タンクは両タイプ、黄色タンクは398 用のみ揃えている。価格は1 枚分なのでペイント時には2枚購入しよう。
カワサキKZ900や900LTDをベース車にZ1仕様に仕上げるとか、ホンダCB750K1をベースに人気のK0仕様に仕上げるなどなど、好みの年式や仕様に合わせたマシン作りが比較的容易なのは「系列モデル」だからこそ成せる業である。
名古屋の闇矢屋で見つけたCB750は、車体色記号EE/キャンディガーネットブラウンの外装パーツを纏っていた。そのフォルムやカラーリングから「K1」のように見えるが、ベース車両は75年モデルのCB750K4である。CB750Kシリーズは、初期型のK0からシリーズ最終型のK6まで、フレーム骨格が共通かつ各種パーツの取り付けに関して互換性があるのが特徴で、その気になればK6をベースにK0仕様を組み立てることもできる。
ここで特筆すべきは闇矢屋が設定している車両販売価格である。この車両は新規登録時に必要な重量税や各種諸費用をすべて込み込みにした「乗り出し価格」で180万円だ。仮に比較的安値でK4中古車を購入しても、エンジン整備費用を含め、このK1仕様の仕上がりを目指せば、相当な出費になるのは確実だろう。CB750シリーズに精通した闇矢屋は、ホンダ純正部品の正規ディーラーであり、ショップオリジナルのリプロダクションパーツも数多くラインナップすることで知られている。そんな同店だからこそ成し得る車両価格であることも、決して忘れてはいけない。
店舗は名古屋駅の新幹線側から徒歩5分ほどの場所にある。周辺は一方通行の道路が多いので、迷いそうならばショップに電話して尋ねてみよう。
住所/愛知県名古屋市中村区亀島二丁目18番7号
電話/052-452-7230
営業時間/12:00~20:00
定休日/日・祝・第2土曜日