
バイクの性能はどんどん進化を遂げている。いまやスーパースポーツバイクには、トラクションコントロールやABSなどのハイテク技術が搭載されるのは当たり前の時代になった。しかし、バイクへの趣味性という観点で見ると、様々なスタイルが望まれ、その乗り味もスタイルも多様化している。なかでもトラディショナルバイクは、ある意味原点回帰現象とでも言うべき方向性が感じられ、それはとくに国産車よりも外国製のモデルに顕著だ。
トライアンフのモデルラインナップには、じつに様々なカテゴリーが存在する。バーチカルツインエンジンが搭載されたモデルは、完全に旧トライアンフのイメージを復刻したスタンダードモデルとなっている。WMは、やはりバーチカルツインモデルに着目し、高品質なカスタムパーツを開発した
まずはアッパーカウルである。2018年1月よりT120ボンネビル用のビキニカウルとして、同社で以前からラインナップされているホンダ・CB1100やカワサキ・W等のヘッドライト系に対応したカウルを用い、ボルトオン装着するためのステーを設計した。
ビキニカウルの素材はアルミ。1960年代のカウリング製作は、ワークスマシンでもほとんどがアルミの「叩き出し」という手法だった。以前は3ピース構造だったが、見た目の美しさや作業の合理化などを考慮し、現在は1ピース化へ移行している。WM伝統の技術と製法を用い、立体的な形を作り上げている。
その後はストリートツインとストリートカップにも適合させるべく検討されたが、ヘッドライトのマウント位置の違いとスピードメーター形状の違いから、ステーの形状を変更するだけでは解決しない。しかし、その点はWMならではの発想とアイデアで見事にクリア。すべて製品化した。
ビキニカウルの他にも、ストリートカップ、ストリートツイン対応のバックステップキットや、全部で6種類の形状から選べるアルミ製フロントフェンダー、ステンレス製のドライブチェーンケースなど、魅力的なパーツを一気にラインナップさせたのである。
ストリートツインやストリートカップにカウルを適合させるために工夫したのは、ヘッドライトにシェードを取り付けることだった。関西は松下電器のお膝元であり、ランプシェードを製造する技術が生かされたのである。
ビキニカウルの取り付けは、各車種専用のステーを開発することで解決。これにより、ヘッドライトやスピードメーターの位置を変更することなく、ボルトオンで装着可能になったのだ。
アルミ製のフロントフェンダーは、長さがショート、ミドルショート、ベリーショートの3種類。但しストリートツイン、ストリートカップ、スクランブラー、ボバーは、ショートがノーマルより長いため、セミロングとなる。形状はプレーンタイプとダックテールタイプ(跳ね上げ)の2種類で、合計6種類から選ぶことができる。ステーはステンレス製のバフ仕上げとなる。
タンデムステップ用のトゥーガードも開発。 ガード部分はアルミ製でアルマイト処理が施されている。ステーはスチール製。フレームに挟み込んで取り付けるだけの簡単な装着方法である。
ステンレス製のチェーンケースは長さが2種類。軽快なデザインのスポーティタイプは1ピース構造、モダンなデザインのクラシックタイプは3ピース構造で、ドレスアップにも有効なパーツなのだ。
スラクストンほどではないが、低いライディングポジションでスポーツ感覚溢れる ストリートカップを、よりカフェレーサーを意識したスタイルにモディファイ。
ビキニカウルは低い位置にマウントされ、燃料タンクと同色に塗装。3点支持でマウントするカウルは剛性感もあり、高速走行でもまったく問題ない。
フロントフェンダーはアルミ製のミドルショートタイプを装着。ダックテールタイプだ。
そのほか、ステンレス製チェーンケースとトゥーガードも装着する。バックステップ(写真は試作品)はブレーキホースの変更なく取り付けられる自信作。
都会的なイメージの現代のトラディショナルバイク。ストリートツインにもビキニカウルを装着する。コンチネンタルハンドルバーでも車体側の改造はまったく無く取り付け可能だ。
ビキニカウルの素材はアルミ。つまり1枚のアルミ板から職人が叩いて成形するという手間のかかる手法で製品化されている。以前は3ピース構造だったが、見た目の美しさや作業の合理化などを考慮し、現在は1ピース化へ移行している。WM伝統の技術と製法を用い、立体的な形を作り上げている。あえて塗装しないのもアリだ。
フロントフェンダーはベリーショート・ダックテールタイプを採用。ステンレス製のチェーンケースとトゥーガードも装着する。
ビキニカウルのフィッティングを最初に試したモデルが、このT120ボンネビルである。そのクラシカルなシルエットは、現代でも数多くのファンを持つことから、ビンテージマインドに合わせたビキニカウルを、というコンセプトで開発された。
T120/100シリーズのビキニカウルは、シェード無しでの取り付けとなる。コンチネンタルタイプのハンドルバーでも違和感はなく、防風効果も期待できる優れたアイテムなのだ。
フロントフェンダーは、プレーンな形状のミドルショートタイプを採用。 ステンレス製のチェーンケースはクラシックタイプを採用。トゥーガードも装着する。
最もフリーな雰囲気を醸し出すストリート スクランブラーには、カウルは装着せずにフロントフェンダーのみの交換で、その軽快感をさらに演出する。
フロントフェンダーはプレーン形状のセミロング(ショートと同品)タイプ。スクランブラーとボバーは19インチ専用のステーを使用し、タイヤとの絶妙なクリアランスを確保している。
取材協力/トライアンフ横浜港北
今回の製品開発は、様々な輸入車ディーラーを運営する株式会社光岡自動車の協力があって実現したもの。同社が運営するトライアンフワールド店『トライアンフ横浜港北』(神奈川県横浜市)にて、WM製トライアンフ専用パーツを装着したデモ車両を展示中だ。興味のある方は同店のサイトを確認の上、電話または問い合わせフォームでチェックして欲しい。