
スペシャルマフラーの老舗である『SP忠男』は、スクーターからビッグバイクまで、ジャンルを問わず幅広いラインナップを誇る。
なかでも近年力を入れているのが、カワサキのニンジャ250だ。2013年デビューの現行モデルに関しては、
タイプの異なる4種類のマフラーをリリース。どのマフラーを選ぶかは、アナタ次第だ。
“目玉のマーク”でお馴染みのSP忠男は、日本を代表するスペシャルマフラーメーカーのひとつ。そのSP忠男から、現行ニンジャ250用マフラー4タイプが登場。それも、サイレンサー形状や、エキゾーストパイプの材質を変えたというレベルではない。4本全てのマフラーが構造からして異なり、当然、乗り味もそれぞれに違う。
工業製品の世界では、部品の共有化を図るのは一般的な流れ。違う製品で同じ部品を使用するように設計すれば、大量生産の効果で大幅にコストを削減できるからだ。だが、SP忠男のニンジャ250用マフラーは、その道を選ばない。今回紹介する4本のマフラーは、サイレンサーの外観こそ同じメガフォンスタイルを選んでいるが、内部はそれぞれ専用設計。全くの別物と言っていい。なぜ、そこまでこだわるのか? その理由を、SP忠男でマフラー開発を統括する大泉善稔さんに訊ねてみた。
「SP忠男のマフラーには“クラッチを繋いだ瞬間から気持ちイー!”という基本コンセプトがあります。バイクで走り出した瞬間から楽しくなければいけない。当社のマフラーを装着したら、装着する前よりバイクに乗りたくなる。バイクに乗っている間、ずっと楽しく走っていただけるマフラーを目指しているんです。そのために、ノーマルのパワー特性で気になる部分を変えるわけです。“この回転域でレスポンスが上がれば、もっと面白く走れる。ここでトルクが上がれば、もっと加速が楽しい”という具合ですね。
マフラーでパワー特性を変えるのは可能ですが、狙った特性を出すには、それぞれに合わせた造りが必要になります。エンジンや吸気系に手を加えず、マフラーだけでパワー特性を変えるためには必然なんです。だから、ニンジャ250用のマフラーは4種類全てが専用設計です。オーナーさんはそれぞれ、好みの乗り味がありますよね? 好きなパワー特性を選んでいただけるように4種類のマフラーを作りました。価格の面でも違いますが、まずはどういったマフラーが欲しいかで選んでいただきたいですね。」
なるほど、タイプの異なる4種類のマフラーがあり、それぞれ専用の設計が与えられていることには確固たる理由があるという訳だ。ならば、その4本のマフラーはどう違うのかを検証しよう。
マフラーをはじめ、様々な高性能パーツをラインナップするパーツメーカー。性能アップはもちろん、走っての楽しさを重視するSP忠男のパーツは、世代を超えてファンが多い。SP忠男のトレードマークである“目玉のマーク”は、同社代表の元モトクロス全日本チャンピオン鈴木忠男氏のルックスから生まれたもの。
SHOP DATA
住所/東京都台東区北上野1-7-5
電話/03-3845-2010
営業時間/11:00~19:00
定休日/毎週水曜日、毎月第3火曜日
価格/3万9,900円(税込)※SP忠男ダイレクトストア限定品
政府認証マフラー
●材質/超軽量ステンレス・ポリッシュ仕上げ ●オイル交換/可 ●オイルフィルター交換/可
価格/6万6,150円(税込)
政府認証マフラー
●音量/93db(近接)・76db(加速)●材質/超軽量ステンレス・ポリッシュ仕上げ ●オイル交換/可 ●オイルフィルター交換/可
テールパイプ前方に膨張室を備えるが、装着時には目立たない。
長めでテールエンドがカーブした、専用サイレンサーを採用。
素材はステンレス製で超軽量。交換するだけで大幅に軽量化を実現。
パワーボックスの心臓部である膨張室。このボックスが性能を変える。
SP忠男の独自技術『POWER BOX』構造を採用
マフラーでパワー特性を変えるには、いろいろと構造を変えなければなりません。フルエキゾーストは、手を加えられる箇所が多いので、特性も出しやすい。けれど、どうしてもコストがかかる。比較的に価格が安くできるスリップオンタイプで、どうにかフルエキゾースト並みの性能を出せないか? と考えて作ったのがパワーボックスなんです。膨張室の位置や容積を変えることで、フルエキゾーストに近い性能の変化が出せるようになりました。ニンジャ250用パワーボックスは、ピークパワーも上がっていますが、フラットなトルク特性で、少し排気量を上げたような余裕のある走りが楽しめるマフラーです。
価格/9万9,750円(税込)
政府認証マフラー
●音量/92db(近接)・76db(加速)●材質/超軽量ステンレス・ポリッシュ仕上げ ●オイル交換、●オイルフィルター交換/可
他モデルと同様のメガフォンサイレンサーだが、内部は専用設計品。
専用のエキゾーストパイプがフルエキゾーストの証、所有感は高い。
ヘダーズからテールパイプまでは一体成形で、高い気密性を誇る。
ヘダーズにはバイパスパイプを装備、バイパスの位置で特性が変化する。
持てる技術を全て注ぎ込んだフルエキゾースト
これはもうSP忠男が考える、マフラーに求められる要素を全て盛り込んだマフラーです。ニンジャ250は、ピークパワーを出そうとすると、中速が犠牲になりやすいんです。でも、それじゃあ楽しくない。常用回転域は4,000~6,000千回転といったところですが、あえて3,000回転あたりからトルクを上乗せしています。そうすることで、走りの自由度が上がるんです。同じコーナーで1速高いギヤが使えますよ。当然、ピークパワーは上がっていますから、速さは十分に味わってもらえます。それだけでなく、街中で普通に流しているような時にでも、走りが楽しいマフラーに仕上げてあります。
価格/11万1,300円(税込)
政府認証マフラー
●音量/93db(近接)・75db(加速)●材質/超軽量ステンレス ポリッシュ仕上げ ●オイル交換、オイルフィルター交換/可
SP忠男の『PURE SPORT TWO TAIL』は、元々右側にしかサイレンサーの無いニンジャ250を左右2本出しにしてしまうというスペシャルマフラーだ。実車を見て驚いたのだが、その装着した姿は実に自然。左のサイレンサーが、メーカー出荷時からそこに装着されていたようなフィッティングを見せている。このまとまり感はスゴい。シンメトリーなテールビューは、かなりスタイリッシュだ。
そして気になるのが、そのサウンド。ノーマルに比べて低音が強められ、丸みを帯びた音質なので、耳に優しく、それでいて高級感がある。比べてしまうと、金属質なノーマルマフラーの音が安っぽく感じてしまう。PURE SPORT TWO TAILを装着して気付いたのだが、ノーマルマフラーはメカノイズが耳につくのだ。アイドリング時の音量は十分に抑えられており、これならどんなシチュエーションでも気兼ねなく走れるだろう。
走り出してすぐ気付くのが、5,000回転前後のトルクがかなり上乗せされていること。また、その回転域のレスポンスも良い。日常使用で多用する部分だから実質的に速く、またこれが楽しいのだ。車速が、スロットル操作に対してリニアに変化するので、スロットルを開け閉めするのが面白い。しかもパワーの出方に唐突さがないのも好印象。まるで排気量を増やしたような、余裕のある走りが楽しめる。
高回転域も楽しい。ツインエンジンらしからぬスムーズさで回転が上がっていき、9,000回転あたりから振動も収束していく。回転上昇と車速のノリにズレがないので、グイグイと加速していくのが気持ち良い。ニンジャ250の特徴である、レッドゾーン手前の「もう一伸び」もしっかり残っているので、回すのが本当に楽しいのだ。
個人的に最も気に入ったのは、走りの質感が高いところ。音質にせよパワー特性にせよ、クラスが上のマシンに乗っているような感触なのだ。250ccクラスと言うと、とにかく回して走るという印象があるが、PURE SPORT TWO TAILにはそれが無い。全域で高められたトルクと、良好なレスポンスが排気量以上の走りを引き出している。これは、装着する価値があるマフラーだ。(淺倉 恵介)
SP忠男ではユーザーへのサービスを充実させるため、ネットでダイレクトストアを展開中。
ダイレクトストアでは様々な購入者特典が用意されているので、SP忠男製品を購入するなら、
SP忠男ダイレクトストアがお薦めだ。
機械イジリが苦手な人にとってマフラー交換はたいへんな難作業。ショップに依頼しても思った以上に工賃がかかるものだ。ところが、SP忠男ダイレクトストアでSP忠男製マフラーを購入した場合、なんと取付け工賃が無料! しかも、世界中どこでもSP忠男のメカニックが出張してくれるのだ。申し込みはマフラー購入時に「出張取付け希望」と申し出るだけ、交通費はユーザー負担となる。
マフラーを交換した後、始末に困るのが取り外されたノーマルマフラーだ。JMCA取得、政府認証マフラーのSP忠男製マフラーは車検対応なので、ノーマルマフラーを保管しておく必要も無い。しかし処分するには費用がかかる…。SP忠男ダイレクトストアでマフラーを購入した場合、不要になったノーマルマフラーを無償で回収してくれる。マフラー出張取付けを依頼すればマフラー交換時に回収してくれるし、それ以外はSP忠男上野店にマフラーを送ればいい。その際の送料はユーザー負担となる。
SP忠男ダイレクトストアでのマフラー購入者向けサービスとして、ダイレクトストア限定エンブレムが用意されている。専用デザインを採用しており、カラーは赤と青の2タイプから選択可能。他では絶対手に入らない、プレミア感抜群のエンブレムだ。
通常版のエンブレム(写真上)と、SP忠男ダイレクトストア限定のエンブレム(写真下)。限定エンブレムは写真の赤の他、同デザインで青いタイプも用意されている。どのエンブレムを選ぶかはユーザーの自由だ。