GKダイナミクスが生み出す珠玉のモーターサイクル

カワサキを代表するスポーツバイク
「ニンジャ」の歴史をおさらいしよう

数ある国産スポーツバイクの中で、歴史的な名車と誰もが認めるバイクはそう多くありません。1984年にカワサキから発売された「GPZ900Rニンジャ」は、その中でも高い人気を誇るモデル。カワサキが総力をあげて開発した908ccの水冷4サイクルDOHCエンジンを搭載し、最高出力は110PSを発生。市販車として前人未踏の時速240km越えを実現し、世界最速のバイクとして大きな注目を集めました。前年モデルであるZ1100GPが120PSであったことを考えると驚異的な数字で、その圧倒的なパフォーマンスは国内外のライダーを虜にしました。また、1986年に公開された映画「トップガン」では主人公の愛車として登場、鮮烈なスタイリングはライダー以外の人々も魅了し、さらにファンを増やしたのです。その後、技術の発展によって世界最速の座は譲りましたが、他に類を見ない個性的なフォルムと、公道で使用するには十分なパワーによってロングセラーモデルとなり、2003年まで時代にあわせて進化を重ねながら生産されていました。今回の特集では、名車・ニンジャの歴代モデルについて、あらためて掘り下げていきます。

カワサキスポーツバイクの代表作、ニンジャの誕生

Z1に端を発するDOHC2バルブ並列4気筒エンジンを用いた大排気量モデルにより、バイクシーンをリードしていたカワサキですが、ライバルの台頭により新たな世代のエンジンを開発する必要に迫られ、培ってきた2バルブの実績を捨て、完全新開発で水冷DOHC4バルブエンジンを創出しました。このエンジンを風洞実験から生まれたエアロボディに搭載し、世界最高スペックを狙ったモデルとして、誕生したのがニンジャなのです

●カワサキ初の水冷DOHC4バルブエンジンは110PSを発生。

●最高速度240km以上、0-400m加速は10.976秒の驚異的パフォーマンス。

●風洞実験を繰り返して設計されたエアロボディ。

●「ニンジャ」というペットネームがGPZ900Rの代名詞に。

進化するニンジャは新世代モデルへ

発売後、カラーチェンジや、細部の煮詰めなおしなどのマイナーチェンジを繰り返してきたニンジャですが、1990年に初のビッグマイナーチェンジを敢行します。いわゆる「A7」という形式のニンジャで、ホイールサイズ、フロントフォーク、ブレーキなどが主な改善点。現在発売されているカスタムパーツなども、A7以降と以前で分かれるほど、大きな変更となりました。中古車価格もA7を境に変わるので注意が必要です。

●フロントホイールを16インチから17インチに変更。タイヤ選択幅が広まる

●フロントブレーキを強化するため、対向4ポットキャリパーを採用。

●フロントフォークを38mm径から41mm径にすることで操縦安定性を向上。

●エンジン形式、フレーム形状などに関しては基本的に前モデルまでを踏襲。

ファン待望の国内バージョン登場

1980年代、日本国内で販売できるバイクの排気量は750cc以下という、ライダーからすれば納得できない自主規制がありました。そのため世界で大人気だったニンジャも逆輸入でしか入手できず、国内では別途GPZ750Rというカタチで、「ナナハンニンジャ」がラインナップされていました。パワーこそ自主規制にてされていたものの、1991年以降は憧れのニンジャが、これまでに比べ安価で手に入るようになったのです。

●排気量規制撤廃による初の国内バージョン900ニンジャ。

●馬力規制によりカムプロフィールおよび吸排気の見直しで86PSに。

●それ以外の基本構成は1990年式のA7と同様。

●大学卒初任給は18万円ほどだった当時、新車価格は798,000円。

さらなる性能を追求し、ニンジャは再び進化を遂げる

15年に渡る超ロングセラーモデルとなったニンジャですが、1999年に再度大きなマイナーチェンジを行いました。進化する他のモデルに追いつけとばかりに足回りとブレーキを大幅に変更し、現代的なスペックへと昇華。フロントに6ポットキャリパーを採用したほか、ラジアルタイヤや窒素ガス封入リアショックなどで走りのクオリティが大幅に向上しました。生産台数が比較的少ないため、中古車市場では高値安定を続けています。

●トキコ製6ポットキャリパーを採用し、ブレーキ性能を向上。

●タイヤをラジアル化。サイズに変更は無いが、スピードレンジがZRになる。

●フロントにフォークガード装備、リアショックを窒素ガス封入タイプに変更。

●エンジン諸元、フレーム形状などについてはとくに大きな変更はなかった。

有終の美を飾る最後のニンジャ、出陣

1984年以来のベストセラーとして多くのライダーに支持されてきたニンジャですが、ついに2003年、生産を終了することになります。世界的に強化された排気ガスと騒音規制によって、そのままのパフォーマンスを維持したまま生産を続けることが難しくなったのです。ニンジャは20年以上前に、エアロダイナミクスを考慮したボディデザインや軽量コンパクトなエンジン開発に着目した、現在のスーパースポーツの先駆者。生産終了後も人気が衰えることなく、ライダーの憧れとして存在し続けています。

●排気ガスと騒音規制の強化により生産終了が決定した。生産年数は20年。

●ラストを記念して初期型のグラフィックを再現。

●最終モデルの型式はZX900-A16。生産は6月まで続けられた。

●国内仕様は1999年に生産を終え、以降の生産はマレーシア仕様だった。

GPZ900Rのペットネーム「ニンジャ」は、その後カワサキのスポーツモデルに冠せられることになりました。今もニンジャ=スポーツバイクの証明なのです。

誰もが楽しめる
エントリースポーツ

現在国内250ccクラス唯一のフルカウル・スポーツモデルとして大人気となっているのが「ニンジャ250R」。価格高騰が進む国内モデルの中では安価な設定となっており、初心者向けファーストバイクからベテランのセカンドバイクまで、幅広い層から支持されています。

ベテランをうならせる
スーパースポーツ

カワサキを代表するスーパースポーツ、ZX-10Rもニンジャのペットネームを受け継ぐ1台。motoGPをはじめとするレーシングシーンの最前線からフィードバックされた技術を注入されており、そのままでもサーキット走行を満喫できるほどハイスペックマシンです。

モーターサイクルの歴史に刻まれた個性を楽しもう

生産終了後も衰えないニンジャ人気
憧れのバイクを手に入れるなら今

1980年代に発売されたスポーツバイクの中でも、ニンジャの人気は格別なものがあります。それは当時の世界最速という高いパフォーマンスや、風洞実験から生まれた個性的なエアロフォルムなど、ライダーの心を刺激して止まない要素を多く内包しているからでしょう。そして何より、一度世界の頂点に立ったモデルとしての風格は今も色あせることなく、現行のモデル郡と比較しても存在感において引けをとりません。そんなニンジャも生産終了から5年が経過し、良質な在庫も減少しつつあります。カワサキスポーツの代名詞であるニンジャGPZ900Rを手に入れるのなら、今が残されたチャンスかもしれません。この機会に、あなたも憧れの1台を手に入れてみませんか?