数々のレースシーンで活躍する“FRP屋”の原点!の画像

数々のレースシーンで活躍する“FRP屋”の原点!

  • 取材協力/マジカルレーシング  撮影/箱崎太輔  取材・文/平尾慎一  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
  • 掲載日/2017年1月30日

国内トップクラスの外装系パーツメーカーとして知られるマジカルレーシング。1983年の創立以来多くのヒットアイテムを送り出してきた。その原点となるレーシングカウルは、Moto GPをはじめ全日本ロードレース選手権、各種ワンメークレースなど多くのレースシーンで活躍し、そのクオリティは市販製品にもフィードバックされている。

より軽くより強くそして機能的に
進化を続けるハイクオリティーなレーシングカウル

マジカルレーシングを語る上でFRP(ファイバー・リーインフォースド・プラスチック:繊維強化プラスチック)は欠かせない。ガラス繊維等をプラスチック樹脂で補強したこの素材は、ABS樹脂に比べ軽量かつ高強度で、現在のレーシングカウルの主力素材となる。

マジカルレーシングのレーシングカウルは、車種等でも異なるが重量はノーマル比2/3程度。素材そのものが軽量なうえ、その強度を活かして薄く成形されているのが理由だ。もちろん接続部など必要な部分には強度を持たせている。

また機能面も特徴的で、例えばテールカウルはシートと一体化せず、2ピース構造を採用することでシート高の調整やメンテナンス性を向上させている。これらすべてに長年のレース活動で得た経験が活かされているのだ。

それ以上に特筆すべき点が完成度の高さ。FRPは性質上、形成時と完成時では僅かに収縮する。マジカルレーシングの品質の高さは、形成時にそれらを考慮したところにある。それは決して計算できない“FRP屋”を自負するマジカルレーシングならではの職人芸と言える。ストリート用カーボン素材のカウルもリリースされているが、そのすべてにFRPで培われたノウハウが活かされている。

全日本からサーキット走行まで対応するレーシングカウル

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全日本ロードレース選手権の最高峰クラスでもあるJSB1000において、BMW S1000RRで参戦する酒井大作選手(Team Motorrad39・写真)、寺本幸司選手(Motorrad Rennsport)のレーシングカウルをサポート。なかでも酒井選手は岡山国際サーキットで行われた第8戦の第2レースで9位に入賞するなど、BMW勢最上位の活躍を見せた。

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酒井選手に合わせてシート高など細かく調整されたBMW S1000RRのレーシングカウル。軽量かつ高い耐久性などの基本性能はもちろん、2ピース構造のテールカウルなどメンテナンス製も考慮されている。これらレースシーンで得たノウハウが、ストリート用カウルにもフィードバックされている。

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2016年6月にリリースされたホンダの新型グロム用カウル。ゼッケン、アンダー、テールカウルはグロムカップ公認だ。その他にもタンクエンドやフラットシートベースといった商品をラインナップ。写真は社長が遊び心で製作したスクリーン付きのゼッケンカウル。現時点での商品化は未定。

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2017年の新製品となるヤマハYZF-R25用レーシングカウル。すでに車種ラインナップはあるが、これはアッパーカウル部にエアインテークを取り付けたバージョン2。前モデルを購入しているユーザーに対しては、ダクトのみを購入するだけで加工対応してくれる。詳しくはマジカルレーシングへ問い合わせを。

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YZF-R25用レーシングカウルのバージョン2の最大の特徴が、エアインテークシステムの追加だ。ラム圧を利用してエアボックスに多くの空気を送り込み、高速時等でのエンジン性能に大きく影響する。もちろんアッパーカウル部ダクトなど、見た目のインパクトも大。

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ダクトをエアボックスとダイレクトに取り付けても可能な「もて耐」のレギュレーションに対して、全日本ロードレース選手権ではエアボックスから100mm以上離す必要がある。この異なるレギュレーションに応じて2つのパターンを設定。エアボックス側のダクトの交換だけで対応できる。

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ヤマハYZF-R1用レーシングカウル。複雑な形状を忠実に再現した辺りにマジカルレーシングの技術力の高さが伺える。座面がテールカウルから独立しているためシート高の調整が可能、メンテナンス性も向上している。

マジカルレーシング

マジカルレーシング

住所/大阪府柏原市国分東条町4284-2
電話/072-977-2312
営業/10:00-18:00
定休/土日祝、年末年始

1983年に創立したバイク用ボディパーツの総合パーツメーカー。FRPやカーボン素材を用いたカウルをはじめ、スクリーンやミラーなどのパーツを開発・販売している。国内外のオートバイ用に対応した豊富なパーツラインナップを誇る。