
世界初のマグネシウム鍛造による市販ホイール"マグ鍛"で世界を驚かせたビトーR&D。MotoGPやスーパーバイクレースでワークス採用され、現在も有力レースチームで使われている。カワサキの最新モデル専用モデルJBKなど、広いラインナップに加わる最新モデルが、上写真のマグ鍛『JB5』だ。
1999年に登場したJB-POWERマグ鍛は衝撃的だった。旧来の市販ホイールはレース専用の鋳造で、カスタム車では別車種の純正ホイールを加工する手法も一般的だった。マグ鍛は、アルミの約2/3という軽いマグネシウム合金を高圧で鍛造することで鋳造よりはるかに軽く、高い剛性を実現。バネ下重量を軽減し、絶妙な剛性バランスや衝撃吸収性によって、運動性を飛躍的に向上させる。発売から数年を待たずにカワサキとスズキワークスのMotoGPやスーパーバイク用に採用されたのも、圧倒的な性能が評価されたからだ。
信頼性や耐久性も他の市販ホイールとは思想が違っていた。すべてのマグ鍛は日本のホイールの安全基準、JWL(世界的にも厳しい)をクリアするのはもちろん、はるかに過酷なビトーR&Dの社内基準によって耐衝撃性や塗装の耐久性まで含め、他の追随を許さなかった。ホイール単体はもちろん、ベアリングやハブダンパー、そして各車種用にセットされるスプロケットにいたるまで、すべてが世界最高品質のものを組み合わせている。
マグ鍛シリーズは進化を続け、最新モデルの『JB5』は国内外のレースで得られたノウハウを投入。各部の切削肉抜きによって極めて軽い設計になっている。『JB1』『JB2』『JB3』『JB4』それにカワサキ専用の『JBK』を含め、国産4メーカーはもちろん、ドゥカティ、トライアンフ、ハーレーなど、さまざまなモデルに対応。シャフトドライブのBMWやホンダRC30など、片持ちリアホイールもラインナップ。日本で生まれた、世界最高品質のホイールなのだ。
『JB5』に投入された技術①リムのスポーク付け根の裏側をポケット状に削って軽量化②スポーク裏側も切削してグラム単位の軽量化③オプション設定のフランジ内側のすべり止め処理。レースなど、大パワーでタイヤとホイールがずれないための加工だ。④マグ鍛用エアバルブは航空機規格の高グレードを採用。
川崎重工とのコラボレーションで生まれたマグ鍛『JBK』のH2/H2R用。星型の5本スポークはこれまでのマグ鍛にはなかったデザイン。今後、ZX-10RやZZ-R1400/ZX-14Rといった最新スーパースポーツ向けのマグ鍛JBKもラインナップを予定。カラーも専用のキャンディライムグリーンだ。
マグ鍛JBKを履いたカワサキH2。H2独特の片持ちのリアに合わせた設計だ。スポーク形状はトラス(三角)で全体を支える構成。JB5同様にリムのポケット加工やハブ内側、スポーク部に至るまで徹底した肉抜きでバネ下重量と回転マスを低減している。
マグ鍛『JB4』は7本スポークモデル。スポークを奇数本数にすることで、上下にスポークが揃うことがないため、高荷重時にホイールに掛かる応力を分散させることができる。マグ鍛シリーズ共通の考え方だ。NINJA250RからカワサキZ1300用(!!)まで幅広いモデルに対応。
マグ鍛『JB3』は5本スポークをY字に分散した、シャープな印象の独特のデザイン。シャフトドライブのBMW各車、H-Dスポーツスターにも対応。なおJB3に限らずマグ鍛シリーズはゴールド、ホワイト、シルバー、ガンメタル、ブラックから選べる。
①長い開発時期を経て登場したJB1は、鋳物だった80年代の5本スポークを鍛造で表現したクラシカルなデザイン。②JB2は角度のついた5本スポークでシャープな印象となる。③美藤さんが「ぜひホイールとセットで使って欲しい」というクロモリアクスル&ピボットシャフト。
1999年の市販以来、進化し続けてきたマグ鍛と生みの親の美藤さん。自社でマグネシウム鍛造の研究開発を進め、ついに市販にこぎつけた。現在は世界中で人気を呼んでいる。
住所/兵庫県豊岡市奥野149-1
電話/0796-27-0429
定休/土・日ほか不定
営業/10:00-19:00
代表の美藤定さんがAMAスーパーバイクやGP500のレースメカニックを経て1983年創業。世界最高品質をキーワードに『JB-POWERマグ鍛』や削り出しパーツ、サスペンションなど、こだわり抜いたアイテムを送り出している。