ツーリングルートに温泉、美味しい物、ワインディングを盛り込む。これは日帰りランを楽しむライダーにとって定番メニュー。そんな使用環境を熟慮して造られたスポーツタイヤ、ピレリのディアブロ・ロッソがモデルチェンジ、ディアブロ・ロッソⅡとしてこの春デビューした。

開発テーマは「高次元の性能を持続させる」こと。腕に覚えのあるライダーが峠道を堪能し、雨に降られても安心して走れるウエット性能を与える。ライフは日帰りツーリングを月２回、真冬を除き年間約6500㎞程度走る想定を本国に上げ、走り屋集団で知られるピレリのエンジニア達が作り込んだ。

エンジェルＳＴに始まった高温でも安定した性能を発揮するシリカを武器にしたコンパウンドと、最小限のグルーブで最大の効果を生むパタンデザインが生むウエット性能。またカーボンリッチにしたエッジ部分と２コンパウンドになったリア、シングルコンパウンドのフロントで絶妙なハンドリングバランスを作りす。WSBK で培った技術が盛り込まれている。
峠でのパフォーマンスは、フルバンクエリアが広く路面とコンタクトするようなスリック状のデザインなのは前作同様。しかし、全体に最新の技術要素を入れることで、国内市場でのボリュームゾーンに当たるロングライフ・ハイグリップタイヤとしてツメを研ぎ直してきたのである。

K1300Sという重量級メガスポーツとのカップリングでも粘りや剛性不足を感じる場面は無かった。旋回性もコンセプト通りの仕上がりに満足

１時間ちょっとの高速移動を終え、里山のワインディングを目指す。一般道ではフロントの旋回力からスーと曲がって行くような身軽さよりも、ライダーが少々ステップワークなりに入力をしてやったほうがバランスさせやすい印象だ。この程度の速度だと少々強めに感じるＫ１３００Ｓのステダンの影響もゼロとは言えないが、馴れてしまえる範疇。リアブレーキを使った減速感のリニアさはなかなか。フロントブレーキを使った減速でも綺麗に荷重が接地面に乗る感じを実感できる。

ワインディングを流す程度では高速道路で感じたようにソリッドな印象だったが、より積極的にバンクさせ、ブレーキ、アクセルを使って荷重をかけてゆくとディアブロ・ロッソⅡ本来のスポーツ魂が盛大に歌い出す。その領域になるとそれまでのソリッドさは姿を消し、エモーショナルなコーナリングファンに没頭できる。接地感、グリップ感がともに潤沢。軽くブレーキを残したままカーブにアプローチしても、ハンドリングへの影響が感じられないのも嬉しい。またフルバンク状態での接地感、適度な手応えがあることで、バイクとの対話を堪能できた。ワインディングスペックを高めたディアブロ・ロッソⅡはなるほどスポーツタイヤであった。

※このリストはタイヤメーカー各社の2012年2月現在の情報を元に本誌編集部で作成したものです。

　サイズ内のモーターサイクル用タイヤ(M/CまたはMC)の表示は省略しています。

※価格は販売店にお問い合わせください。