バイクの点火電圧を確実に高めてより調子良く!
取材協力/有限会社OKADA PROJECTS (TEL/044-822-3341)  記事提供/ROADRIER編集部  写真/富樫秀明  文/ROADRIDER編集部  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部  この記事は、雑誌『ROADRIDER』Vol.395 P184~P185 を再構成・転載したものです。
掲載日/2015年02月25日
エンジンの調子を左右する3要素=燃料、圧縮、火花。そのうち火花は、プラグやコードなどで対処することも多いが、エンジンで発電する電力をもっと効果的に使えないか。プラズマVプラスは、その効果が明確な一品だ。

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点火電圧を高め、かつ
安定させて使いやすく

バイクの印象を大きく変える、エンジンの特性。排気量や気筒数、吸排気系などさまざまな要素が絡んでいくが、快調を維持するには、昔から言われている「よい燃料」「よい火花」「よい圧縮」に気を遣うことが今でも最良の方法だ。カスタム/チューニングの際にはエンジンを組み立てる時にこうしたことに配慮して作ればいい。だが、組み上がった後にできること、STDでもできることは、燃料と火花。燃料は今の日本、一般向けならば全国どこでもほぼ同じものが買えるから、新しいものを常に入れていけばいい。

 

そうなると残るカギは、火花=点火だ。ここにオカダプロジェクツが2014年10月から送り出したのが、「プラズマVプラス」という追加電装ユニット。ETC車載器の半分以下、横69.5×縦39×厚さ23.6mmという同系で世界最小レベルのサイズに本体ユニットをコンパクト化し、配線も点火(イグニッション)コイルへのプラス配線に割り込ませるだけ。電工ペンチでギボシをきちんとつぶせて、テスターでプラスマイナスが分かるならば自分でも作業が出来る簡便さも持っている。

 

このプラズマVプラスは、エンジンが作り出して点火のために使う電圧を高めて、安定させるアイテムだ。前者は12V車で13.5V近辺の電圧を15または16Vに高めて点火コイルへ送り込む。すると当然ながら点火コイルでプラグに点火するための2次電圧(2~3万V)も高まり、強い火花が飛ばせる。後者はプラズマVプラスを使うことで供給電圧が凹凸なく安定し、2次電圧の立ち上がり速度が速まる。立ち上がりが早まれば、エンジン設計時に想定された理想の点火タイミングに近づき、設計性能により近いパワーが期待できる。

 

CB400Fに装着して走ってみると、これまでどうしてもぬぐい去れなかった、発進時のトルクの細さが解消された印象。“付けたから”というプラシーボ効果か? とも当初は思ったが、装着日は装着前後ともゴーストップを繰り返すことが多かった。装着後に何度も行った発進でも、ガソリンスタンドに入るためのターンでも、スッと前に出る感覚が高まっていたし、Uターンも楽になっているから、きちんと燃料がパワーになっている、そう思える。

 

今回の装着対象車はCB400F。取り付けはオカダプロジェクツの伊藤和幸さん(上)に依頼した。点火コイルの位置と配線が分かればプラズマVプラスの取り付け自体は難しくはない

スリップオンEXから聞こえてくる2気筒の排気音も、ちょっと整流されてなだらかになった感じがある。もちろんひとつひとつの排気音なんて聞き分けられはしないが、全体としてそう聞こえるということは、燃焼に調子の良否が少なく安定しているのではないか。つまり電圧が強い上に、発生電圧そのままでなく、整流して変動が抑えられた結果だろう。排気音同様に、パワーの出方も滑らかになった感じもした。

 

カスタム/チューニング系パーツの多くは、マフラーや足まわりなど見た目が変わることでフィーリング変化も分かりやすい。一方で電気系のように見えないところは、実効果があるものを見いだすことも難しいし、見た目が変わらない難しさもある。

 

でもプラズマVプラスは、オカダプロジェクツが長年販売してきた電流安定/強化アイテムのプラズマブースターで培った2/4輪含めてのノウハウと実績がある。バイクの外観を変えないままに性能を高めたいという向きにも合っているだろう。

 

気にしてほしいのは、火花強化にともなって点火プラグほか点火系の消耗が少し早まること。でもこれは、まめにメンテナンスを行うライダーなら気にならないだろう。点火強化の恩恵をぜひ受けてほしい、そう思わせる一品だ。

装着方法

点火コイルの場所が分かっていて
プラス配線が分かれば装着も簡単

装着は点火コイル配線への割り込みが主。そのためのコードや端子類も1~4コイル分がパッケージに同梱されているので心配なし

点火コイルを探す。多くのモデルでは筒状で、エンジン前上にある。CB400Fではタンクを上げてエンジン右気筒上にあった

プラズマVプラス本体を装着。CB400Fではシート下空間を活用して両面テープ(面ファスナーでもOK)でセットした

写真左が前側。本体から配線の出るところにスイッチがあり、15V/16Vが切り替えられる。車種によって合う電圧が違うこともあり、切り替えていい方を使えばいい。サーキットで16V、普段は15Vという使い方もあるそうだ

本体からの配線を右フレームからコイルに出す

コイル側は2個ともプラス側配線を外しておく

本体からの赤コードをで外したコイルプラス配線につなぐ

パッケージ付属の端子で確実に留める

CB400Fは2コイルなので、片側コイルのプラス線に赤をつないだらもう片側コイルのプラス線は使わず絶縁する。で外して露出したコイルのプラス端子(2個露出)には本体からの青コードを、パッケージ内のコードを使って並列につなぐ。付属説明書に詳しく書かれているので慌てる必要はない

10コイル配線が終わったら、本体から出る3本の配線のうち残る1本、黒のアース線を車体につなぐ。この車両では右ラジエーターシュラウド内のボルトがアースで使えた

11取り付け完了(写真は下が前、青コードは分かりやすくするため長めにしている)。本体は作動時にはLEDランプが点灯。またヒューズがあり、断線の場合は付属の復旧バイパスコネクターをつなげばSTD状態に戻る

STDとプラズマVプラス
違いを可視化すると?

プラズマVプラスがどんなことをしているかは、この3つの電圧グラフを見ると分かりやすい

  • STD時のイグニッション入力電圧。縦軸は電圧で、横軸は時間。エンジンが発生する電力ほぼそのままで、電圧の変動(細かいギザギザ)が大きく、ノイズ(ところどころにある大きな振れで見える)も発生しているのが分かる

    STD時のイグニッション入力電圧。縦軸は電圧で、横軸は時間。エンジンが発生する電力ほぼそのままで、電圧の変動(細かいギザギザ)が大きく、ノイズ(ところどころにある大きな振れで見える)も発生しているのが分かる

  • プラズマVプラス装着時のイグニッション入力電圧。①に比べて小刻みな振れはなくなり=電圧が安定し、ノイズもなくなっている。さらに電圧自体も高く(グラフの上側に)なっている

    プラズマVプラス装着時のイグニッション入力電圧。①に比べて小刻みな振れはなくなり=電圧が安定し、ノイズもなくなっている。さらに電圧自体も高く(グラフの上側に)なっている

  • 2次電圧立ち上がり比較。黒はSTD、赤はプラズマVプラス装着時のもので、2次電圧立ち上がり時はグラフが下降しているところ。これが速いとそれだけプラグ電極間に早く電流を流せるため、理想に近い=設計値に近い点火タイミングが得られることになる

    2次電圧立ち上がり比較。黒はSTD、赤はプラズマVプラス装着時のもので、2次電圧立ち上がり時はグラフが下降しているところ。これが速いとそれだけプラグ電極間に早く電流を流せるため、理想に近い=設計値に近い点火タイミングが得られることになる

  • 開発時や機種適合検討時はオシロスコープや電流計などでも波形や電流を確認。プラズマVプラスは5A以下適合で、オカダプロジェクツが展開するプラズマブースターとの併用も問題なく行える

    開発時や機種適合検討時はオシロスコープや電流計などでも波形や電流を確認。プラズマVプラスは5A以下適合で、オカダプロジェクツが展開するプラズマブースターとの併用も問題なく行える

多くの機種に対応するオールインワン設定

プラズマVプラスは一般的なプラグコード仕様の1~4コイル車用が4万1580円で本体/配線コード/接続ギボシ等同梱。ゼファー1100のようなツインプラグ車では2個必要(機種対応は同社HPに記載)。基本配線済みなので上のように点火コイルのプラス/マイナス間に割り込むための配線と、アース配線ができればOK。左はスーパースポーツ系などプラグホルダーと点火コイルが一体化したダイレクトイグニッションコイル車に対応するハーネスで、2015年年明け以降随時販売予定。現状の商品でも装着は可能だが配線カット/再配線等の手間が必要

BRAND INFORMATION

有限会社OKADA PROJECTS(オカダ プロジェクツ)

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