掲載日/2016年1月13日
2輪業界唯一のスーパーチャージャーを装備するリッターモンスターとして、2015年度の最大の話題作となったカワサキH2/H2R(クローズドコース専用車)。同シリーズはカスタムの素材としても、侮れない資質を秘めている。
※表示はすべて消費税8%込み価格です(2015年12月現在)
国際級ライダー・鶴田竜二さんが代表を務めるトリックスター名古屋店は、サーキットにおける扱いやすさを念頭に置いてH2Rのモディファイを進行中。現状のエンジンや足まわりはほぼSTDだが、鶴田さんはこの状態で筑波サーキットを走行し、1分フラット近辺のタイムをコンスタントにマーク。11月8日に開かれた、TOTのハーキュリーズクラスでは、フルウェットという難しいコンディションの中、並み居る強豪勢を抑えて2位入賞を実現している。
※ トリックスター名古屋(電話/052-908-1486)
ニンジャH2Rカスタム トリックスター名古屋仕様
ドライカーボン製のフロントフェンダーやサイド/アンダーカウル、シングルシートカウルなどはエーテックの市販品
チタン製ウォーターパイプはオリジナル。価格は左右セットで5万760円。点火系には、電装系に発生するノイズを除去すると同時に蓄電機能も持つ独自の電装パーツ、PPSを装備
スラッシュカットのスリップオンマフラーもトリックスター製。写真はクローズドコース専用のレーングタイプ(21万3,840円)だが、車検対応品のストリート用(23万5,440円)も存在する。TOT参戦時のタイヤはダンロップD212GPで、フロントブレーキパッドはベスラ、スプロケットはISAをチョイス
バックステップは市販を前提にしたプロトタイプ。足まわりはSTDだが、今後はさまざまなモディファイを行う予定
高品質なパーツ作りで世界中のライダーから支持を集めているベビーフェイス(海外でのブランド名はSATO RACING)。昨年秋に発表された時点で、H2/H2Rの資質に魅了された同店では、即座にこのマシンをデモ車として導入することを決め、今春からはパーツ開発に着手してきた。車両価格が高価なだけに当初は市場の反響を心配していた同店だが、H2/H2R専用品として販売したバックステップや各種スライダー、フレームキャップボルトなどは、好調な売れ行きを示しているようだ。
※ ベビーフェイス(電話/0721-24-8882)
ニンジャH2カスタム ベビーフェイス仕様
転倒時のマシンの保護に役立つジュラコン素材のエンジンスライダーは2万5,920円。オイルフィラーキャップは4,104円だ
他のアルミ削り出しパーツと同様のゴールドアルマイトが施されたフレームキャップボルトは、4個セットで1万1,340円。個性的な形状の排気系は同店と協力関係にあるアサヒナレーシング製
バックステップキットは5ポジション式で、シフトパターンは正/逆から選択することが可能だ。価格は6万4,800円。シフトスピンドルホルダーは2万6,460円、クラッチレリーズは3万780円
STDの10度弱に対して、タレ角を0度に設定したハンドルは2万8,080円。レバーガードは9,180円、バーエンドは3,780円だ
アクスルスライダーはフロント5,400円、リア5,940円
ZRX1100/1200シリーズやZ1000で行ったレース活動を通して、カワサキファンから絶大な支持を集めたノジマエンジニアリング。もちろん、H2に関してもその発売と同時に開発用車両を導入して、パーツの開発に着手している。同社が最も得意とする排気系に関しては、現時点ではDLCロックオンとDLCチタンという2種類のスリップオンサイレンサーを準備。いずれも重量はSTD(8.3kg)の半分以下となる2.9kgで、実測後輪出力は175→180psに向上する、高機能アイテムなのだ。
※ ノジマエンジニアリング ※ノジマ製品の問合先=プロト(電話/0566-36-0456)
ニンジャH2カスタム ノジマエンジニアリング仕様
H2ならではの低く構えたフォルムを維持しながら、高さをSTD+約40mmとすることで、走行風の低減を実現したオリジナルスクリーンは、高速走行時の快適性に大いに貢献する。価格は1万9,440円
飛び石やタイヤカスなどからラジエーターを守るステンレス製コアガード(3万1,320円)は、左右と中央で異なるメッシュ素材を採用
異形断面のロックオンチタンサイレンサー(16万2,000円)は、H2専用シェルを採用したうえで、スリーブにDLCコーティングが施されている。オーソドックスなスタイルを採用した、DLCチタンスリップオンサインレンサーは14万400円
スリップオンサイレンサーにはアルミ削り出しのマフラーステーが付属。このステーはノーマルマフラー用(1万9,440円)も販売中だ
Ninja H2といえば、個性的かつ迫力の車体に「ガスタービン・機械カンパニー」や「航空宇宙カンパニー」など、川崎重工グループが持つ先端技術を詰め込んだだけに、アフターマーケットの猛者たちも妥協を許さないコダワリのパーツで応える。その厳選パーツを一挙に紹介していこう。
※表示はすべて消費税8%込み価格です(2015年12月現在)
STD比で40%以上軽くなるスリップオン。ボルトオン設計で燃料調整も不要だ。テールパイプはチタン製でカーボン製ヒートカバーも。サイレンサーカバーはBP(ステンレス)/WT(チタン)。東南アジア仕様のみ車検対応だ
AKRAPOVICはH2用に新たなエキゾーストシステムを開発。カーボンアウターとチタンパイプ、新形状カーボンブラケットなどにより、圧倒的な軽量化を実現した。そのサイレンサー形状も最新技術を駆使しての個性的デザインだ。これはH2R用
「大人のツヤクロ」をキャッチコピーとするスリップオンマフラー。DLCスリップオンとはサイレンサー出口の形状が異なり、よりスポーティなデザインとした
マフラーとしての基本性能はもちろん、サイレンサーブラケットやリベットリングなど各パーツの質感にも徹底してこだわった。DLCチタンを含め、排ガス・騒音規制(91dB)をクリアした政府認証マフラーだ
15/20、15/32. 5、15/45、27. 5/32. 5、27. 5/45(BACK/UP、mm)の5ポジションをチョイスできるキット。逆チェンジにも対応。ペダル軸にはベアリングをダブルで組み込み操作も滑らかだ。カラーは写真のゴールドのほかブラックも
クラッチレリーズとフロントスプロケットカバーを兼ねたアイテム。鮮やかなゴールドと独創的なデザインがエンジンまわりを引き締める。右のフレームキャップは1万1,340円
スライダー本体には、硬度があり摩擦抵抗も少ないジュラコン樹脂を採用した。エンジンスライダーには着脱が簡単なリボルバータイプを採用。フロント/リアのアクスルプロテクターと合わせ、大切な愛車を転倒ダメージから守りたい
STDの16.6kgに対し、僅か5.55kgと驚異の軽さを誇るフルチタンマフラーだ。その軽さだけでなく、効率的な4-2-1レイアウトでH2のパフォーマンスを引き出す。レース専用品だ(音量105dB)
こちらは政府認証(近接93dB/加速82dB)のスリップオンマフラー。STDサイレンサーの7.5kgに対して重量を2.15kgに抑え、カーボン製マフラーカバーも付く。フェンダーレスKIT推奨
20/20、20/30、10/30、10/20(BACK/UP、mm)の4ポジション対応。逆チェンジは不可。STDのマスターやスイッチ、ブレーキホースのまま装着でき、STDシフターにも対応する。カラーはシルバー/ブラックアルマイトの2色を用意
転倒時に車体やライダーへのダメージを軽減するスライダーはH2にこそお勧め。オーヴァー製レーシングスライダー(ジュラコンサイズφ43-35mm×60mm)はカウル加工なしで装着可。前後アクスルスライダーと合わせて、万一の備えに。カラー部はアルマイト仕上げ
隔壁とパンチングを工夫し、マフラーエンドを絞らずに、迫力の外観に仕上げた。チタン製で重量は約2kg。ロゴマークをレーザー刻印し、チタン特有の焼き色と一体化させる。車検対応品
BROCK'Sマフラーには、本場アメリカでのドラッグレース・ノウハウが投下される。エイリアンヘッド2フルEXはオールステンで4. 9kg。エキパイまでフルポリッシュと、マフラー部分のみポリッシュ仕上げの2種
BROCK'SがSpark製フォーススタイルサイレンサーを使ったスリップオンEXの第2弾。換装部分はSTDの約7.4kgに対して写真のチタンタイプが約2.1kg、ステンレスブラックタイプが2.6kgと軽量化にも貢献する
BROCK'Sのスリップオンはほかに、ブラックセラミックコートやショートメガホンタイプ(ポリッシュ/ブラックセラミック)がある。いずれもレース専用品だ。ECU書き換え併用で230psオーバーに
STDでも強大なパワーとトルクを持つH2だけに、チューニング時のクラッチまわりの強化は必須ポイントとなるだろう。強化スプリングはSTDのスリッパークラッチを活かしたまま使用できる
STDスリッパークラッチをキャンセルするためのキット。ドラッグレースのようなゼロ発進からのフル加速を重視する走りにお勧めのアイテムだ。スプリングもライムグリーンにこだわりアリ
ドラッグ参戦などローダウン時にフロントフォークを突き出す際、純正ステダンをオフセットできるパーツ。10mm以下の突き出しならSTDでも対応できるが、このキットは最大40mmまで対応
スプロケットの歯数変更で走りを変えるのは手軽なカスタム。フロントのSTDは18Tで、本品はよりロング方向になり最高速が伸びる効果が見込める。スチール製525チェーンに対応
リア側は40T~43Tを用意。STDは44Tなのでこちらもロング方向に。右のフロントスプロケと組み合わせ、よりキメ細かいカスタムを行える。アルミ製でブラックアルマイト仕上げだ
フルアジャスタブル方式で、STD比31.75mmアップから44.45mmダウンまで調整できる。足付きが気になる向きに、この調整範囲は魅力的に映るはず。ドラッグレース参戦にも必須アイテムでもある。レース専用部品だ
ローダウンリンクキットに合わせるためなど、STDより短くも長くも調整できる。本体はアルミ製、ブラックアルマイト仕上げ。その装着には加工が必要になる場合もあるので注意
BROCK'Sマフラーのパフォーマンスを最大限に引き出すために欠かせないアイテム。マフラーと同時購入すると専用セッティングデータの入力をサービスしてくれる。レース専用品
H2はナンバーホルダーとウインカー一体のリアフェンダーが後部に大きく延びるデザイン。軽量化を含め、フェンダーレス化の効果は高い。アクティブ製はLEDナンバー灯が付属する
フェンダーレスのライセンスプレート両端にスッキリとウインカーを組み込むキット。レンズカラーはクリアとスモークの2種がラインナップされる。シャープなリアまわりを演出
アクスルシャフト両端に装着する。スライダー部はシルバーボルトが6本埋め込まれるデザインで、ドレスアップ効果も高い
DNAはギリシャのエアフィルターメーカー。集塵効果を維持したまま、吸気効率を上げるオイル式コットンフィルターの採用で知られる。フィルターを専用クリーナーで清掃すれば繰り返し使えて経済的だ
ライダーが伏せた上体で防風効果を発揮しスポーツ走行向きのダブルバブル(左)と、STDスクリーンをモチーフにしたSRタイプ(右)がある。クリア、スモーク、ダークスモークを用意
わずか1.7kgに仕上げた1本出しによるチタン製メガホンスリップオン。ゴールドの焼き色がH2の存在感を一段と引き立てる。オイル&エレメント交換、STDステップOK。アンダーカウルも使える。音量98dB、車検非対応品
0/5、0/15、10/5、10/15(BACK/UP、mm)の4ポジション対応。足の大きさやブーツの厚みに合わせてペダルステップ先端も調整できる。ゴールド、シルバー、ブラックにH2グリーンも限定で用意する
クラッチレバーの操作力がSTDの7.5kgに対して5.6kgになり、長距離ツーリングなどでの疲労軽減に威力を発揮。カバー中央に光るKマークが誇らしげだ。スーパーブラック、H2グリーンとも限定生産品だ
STDキャップの間に挟み、ヘッドカバー部の二次エアをキャンセルするキット。マフラー交換時の必需品。排気ポート内での二次燃焼を防ぎ、セッティングが安定するほか、アフターファイヤー対策にも有効
経年劣化に強いステンレス製のコアガード。エッチング加工による高精度ハニカムメッシュが冷却性と飛び石などからの保護性を両立させた。冷却系へのダメージ軽減にぜひ装着しておきたいアイテム
センター部とサイド部でメッシュパターンや配置を細かく変え、飛び石などからのガード効果と冷却効果を追求した。エッチングファクトリーのロゴは黒、赤、青、緑、黄から好みで選べる
H2のイメージと整合させつつ、やや丸みを帯びたデザインとした。剛性を確保しつつの絶妙な肉抜き加工は、ステム前方下が見通せるほど。複雑な形状を作り込んだこだわりの逸品。色はブラックのみ
多数のアルミ削り出しパーツで構成し、ナンバーやウインカー位置だけでなく、単体の美しさも追求した。ナンバー灯も付属。STDウインカー用のタイプ1と汎用ウインカー(穴φ10mm)用のタイプ2がある
記事提供/雑誌『ロードライダー』
文/中村 友彦、ロードライダー編集部
写真/吉見 雅幸、箱崎 太輔
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
この記事は、雑誌『ロードライダー』 Vol.407 P.68?73より抜粋・再構成・転載したものです。