掲載日/2013年1月23日

IKONは伝統あるサスペンションメーカーだ

バイク用サスだけが独立して継続

IKON(アイコン)はオーストラリアを拠点とするプロベン社が製造するサスペンションだ。同社がIKONブランドのサスペンションの生産をはじめたのは2001年で、その期間は11年と比較的浅い。

 

しかし、今でこそブランド名が「IKON」となっているが、そのルーツは「KONI(コニー)」であり、1857年にオランダで創業した歴史と伝統を持つサスペンションメーカーだ。40?50代以上のモーターサイクルファンなら、その名を知っているだろう。1970年代は「バイクのサスペンションを換装するならKONI」が常識だったし、WGPなどで数々の勝利を収めた栄光をもっている。4輪ファンには今も馴染みのブランドで、ラリーやF1などでも実績のある高性能サスペンションを開発するメーカーであり、フランス超特急TGVをはじめとする鉄道車両用サスペンションも手がける一流メーカーだ。

 

そのKONIがバイク用サスペンションの製造特許を、KONIのディストリビューターであったプロベン社に譲渡。以来、ブランド名を「IKON」と変更して生産されている。つまりIKONは、名称こそ違えど言わずと知れたKONIそのものなのである。

 

日本への輸入と販売、アフターサービスはモーターステージ(大阪市)が担っている。同社代表の廿枝正(はたえだ・ただし)さんは、日本にWP(ホワイトパワー)のサスペンションを広めた人物で、この道のプロフェッショナルだ。廿枝さんは2001年、IKONとなって新たに生産されたサスペンションの存在を知って即座にオーストラリアへ飛び、すぐに日本での販売契約をとりつけた。もちろん、生産メーカーとブランド名が変わっても、そのサスペンションの性能に遜色がないことを、その目と手で確かめたからである。

あらゆるバイクに適合するバリエーション

IKONの特徴のひとつは、豊富すぎるほどの対応車種だ。KONIとしてバイク用サスペンションを手がけてきた歴史をそのまま継承しているから、1970年代に生産されたバイクから最新モデルまで、世界中で生産された2本サスのバイクならほぼすべてに対応するのだ。国内4メーカーはもちろん、ハーレーダビッドソンやドゥカティ、BMWといったメジャーメーカーから、ヒョースンやキムコ、ラベルダやベネリ、ロイヤルエンフィールドやマチレス、ツュンダップといったメーカーまでカバーしているのだ。こんなメーカーは他にない。

 

それを支えているもうひとつの要因は、リアショックだけで11機種も揃うラインナップだ。コイルスプリングのカラーはブラックを中心として、シルバー(めっき)、レッド、グリーンが揃うから(カラーオーダーの価格については要問合せ)、バイクに合わせたドレスアップ効果も望める。

 

そしてIKONの最大の特徴が、4?5万円と非常に安価であることだ。純正サスペンションユニットよりも安く、なおかつストリートで純正以上の性能を発揮する信頼の構造。シンプルな作りゆえ、そのバイクが持つ本来のスタイリングを崩さずに、走りの質を引き上げる。世界中にサスペンションメーカーは数あれど、「手頃な価格と性能」「どんなバイクにも合うスタイリング」のサスペンションを作っているのはIKONだけなのだ。この独自性とパフォーマンスが、IKONの魅力なのである。

IKONが手がけるのはリアショックだけではない。フロントフォークスプリングも手がけており、前後合わせて換装すればさらに効果アップ!

IKONのコイルスプリングは、純正などと比較すると巻き数が少なく、シンプルなスタイルが他にないカッコよさを醸しているのも特徴だ。

IKONサスペンションの対応車種の豊富さを支えているひとつが、11機種も揃うモデルバリエーションだ。1970年代?最新モデルまで幅広く対応する。

どんなバイクにも合うブラックとシルバーだけではなく、レッドやグリーンのコイルスプリングもラインナップされ車両に合わせたドレスアップ効果も見込める。

スピーディーかつ簡単な交換作業

2本サスのバイクの場合、サスペンションを換装する作業は比較的簡単だ。センタースタンドが装着されているならジャッキアップすらいらない。リアキャリアやカウルなどの周辺パーツを外したら、あとはサスペンションユニットの上下2本のボルトを緩めればユニットが外れる。取付は工程を逆にたどるだけなので、サンデーメカニックの知識と技術、数本のスパナがあれば自分自身で取り付けられる。モーターステージでは通販も受け付けているから、自分で取付作業を行なってもいいし、自信がないなら、行きつけのショップに作業を依頼することもできる。

 

セッティングはダンパーが圧側に4段階、プリロードは3段階に調整できる。ダンパーはダイヤル式なので、ストリートを走行中でも手軽に変更可能だ。調整幅はモデルによって異なるが、ストリートで使うには十分な調整幅を持っている。もっと細かくセッティングしたいなら、レートの異なるコイルスプリングをセットすることもできるし(車種による)、ダンパーオイルの量などを変更することでも調整できる。

 

【01】サスペンションが車体外側に装着される2本サス車両は脱着が容易だ。センタースタンドを装備するモデルなら、さらに簡単に作業できる。

【02】サスペンションユニット上部に設けられるダンパー調整ダイヤル。圧側のみだが4段階に調整することができ、ライダーの体重や乗り方に合わせたセットが可能。

【03】プリロードは3段階に調整可能。調整にはフックレンチを使う。サスペンションの動きに不満を感じたら、ひと通り試した上で好みの位置にする。

サスペンションが車体外側に装着される2本サス車両は脱着が容易だ。センタースタンドを装備するモデルなら、さらに簡単に作業できる。

サスペンションユニット上部に設けられるダンパー調整ダイヤル。圧側のみだが4段階に調整することができ、ライダーの体重や乗り方に合わせたセットが可能。

プリロードは3段階に調整可能。調整にはフックレンチを使う。サスペンションの動きに不満を感じたら、ひと通り試した上で好みの位置にする。

シンプルな構造だからメンテナンスも簡単

IKONサスペンションの特徴である「コストと性能のパフォーマンスバランスに優れる」ことを支えているのは、長年変わらぬシンプルな構造だ。サスペンションとして必要十分な仕事をきっちりこなし、なおかつ長く愛用できるのは、40年以上の長きに渡って確立された技術に裏打ちされているからこそだ。

 

モーターステージではIKONサスペンションを販売するだけではなく、オーバーホールを含むアフターサービスにも力を入れている。なんと言ってもうれしいのは、オーバーホール代金がわずか1万円!(税別)であることだ。モーターステージによれば、1?2万キロ走行でのオーバーホールが理想とのことで、ライダーによってはおよそ4年に1度の頻度。導入コストだけでなく、維持費も安く済む。IKONサスペンションを導入する価値はここにもあるのだ。

 

では、オーバーホールの工程を簡単に紹介しよう。

すべてのパーツがバラされた後は、ひとつひとつのパーツが点検される。
シムやキャップ、ロッドなどにキズがあるものは交換となるが、継続使用が可能なものは洗浄されて組み込まれていく。

スクリューキャップに、適量のグリスとともにオイルシールを組み込む。オイルシールなどのゴム部品は新品に交換される。

均一な力でオイルシールを組み込むため、バイスを使ってスクリューキャップにオイルシールをしっかりとはめ込んでいく。

ピストンロッドと摺動するオイルシール内側には、シリコン系グリスを塗布する。丁寧な作業がサスペンションの性能を左右する。

ピストンロッドはサンドペーパーで研磨する。修復できないキズ、曲がりがある場合はピストンロッドの交換となる。

ピストンロッドにバンプラバーをセットする。ラバーを傷つけないよう、グリスを塗布した上で慎重にゆっくりと押し込んでいく。

シムとスクリューキャップをピストンロッドに組む。シムの枚数でセッティングを変更できるが、たいていはダンパー調整で済む。

スクリューキャップを固定するボルトにはロックタイトを塗布し、ボルトが緩まないようにすることで無用なトラブルを防止。

ピストンロッドをアウターケースに組み入れ、オイルを注入。使われるのはモチュール製フォークオイルで、粘度は5W。

オイル量が規定の範囲に収まっているか確認。オーバーホール時に希望を伝えればオイル量によるセッティングにも対応してくれる。

シムとスクリューキャップをセットしたピストンロッドをアウターケースに入れていく。セット後は適正トルクでキャップを締める。

スクリューキャップを締めた後はダンピング性能のチェック。ダイヤルでダンパー圧を変更しながら作動を確認する。

オーバーホールされて組み上がったダンパー部。この段階でオーバーホール作業はほとんど完了していると言っていい。

コイルスプリングの点検と清掃。スプリングの裏側は、車両装着状態だと清掃しにくい部分だけに、オーバーホール時の清掃が欠かせない。

ダンパーユニットを治具にセットし、スプリングを縮めながらトップキャップを組み込む。これがオーバーホール最後の工程だ。

分解、点検&清掃、組立まで、1本あたり約40?50分。これで新品同様の性能を取り戻すことができ、1万円とはリーズナブル!

プロフェッショナル・コメント

モーターステージ代表

廿枝 正 氏

左はゼファーの純正サス。右がIKONサス。IKON製サスにはリザーバータンクがないため、装着時のシルエットがシンプルになる。旧車スタイルに最適なのだ。

「IKONは手頃な性能と価格のサスペンションなんです」

IKONの特徴は、前述したとおり「手頃な性能と価格」「どんなバイクにも合うスタイリング」にある。モーターステージ代表の廿枝(はたえだ)さんもその点を強調する。

「IKON=ハーレーというイメージもあるかもしれませんが、2本サスのバイクであればどんなモデルでもIKONは最適なサスペンションです。とくに国産の旧車や絶版車との相性がベストなんです」

カワサキのZやホンダCBをはじめとする旧車カスタムのこれまでは、メッシュホースやサブフレーム、高性能スポーツサスペンションや軽量ホイールなどの装着が主流だった。しかし最近では、純正(ノーマル)に近いスタイリングに仕上げるカスタムを求めるライダーが増えている。

「純正のスタイリングというのは、ひとつの完成形です。これまで多くのカスタムを手がけてきたからこそ、それを崩さずにカスタムする難しさを実感しています。その点、IKONならオリジナルのスタイリングをほとんど変えることなく、純正以上の性能を引き出せますし、純正よりも安く装着できます」

今回、車両装着を依頼したワークス・スポーツ代表・森田千尋さんも「たとえばゼファーの純正サスペンションはサブタンク付きですが、Zを意識したスタイリングにしようと思うとこれが邪魔になる。だけど、IKONならサブタンクもないし、めっきカバー付のものもある。スタイリングにこだわるなら、IKONしかありませんね」と話す。

とくに用途がスポーツ走行ではなく、ツーリングや街乗りがメインであるならば、サードパーティ製サスペンションの多くは過剰な性能だし、高価だ。純正サスペンションよりも性能が良く、しかも安い。とくに旧車や絶版車の場合、純正サスの供給が絶たれていることもあるだけに、IKONの存在価値は大きい。実を取りつつ、愛車をグレードアップしたいと考えているなら、IKONを試してみてはいかがだろう。決して後悔はしないはずだ。

IKONラインナップ

価格(税込):40,950円

※一部車種は51,450円

価格(税込):51,450円

※一部車種は61,950円

価格(税込):40,950円

※一部車種は51,450円

価格(税込):51,450円

※一部車種は61,950円

SHOP INFORMATION

モーターステージ

住所/大阪市北区東天満1-3-1ユーロハイツ東天満

電話番号/06-6881-0688

FAX番号/06-6881-3618

営業時間/10:00-19:00

定休日/日曜・祝祭日

メールアドレス/ms@motorstage.co.jp

ウェブサイト/http://www.motorstage.co.jp/


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