
どんなに豪華なパーツが奢ってあっても、外装やフレームが傷だらけだったり塗装が剥げていれば、そのバイクはみすぼらしいものになってしまう。バイクにとって塗装は、カスタムやレストアのフィニッシュ工程であり、とても重要なポイント。せっかくなら、バイクの部位ごとにセラコートやパウダーコートなど、適切な施工にこだわる「プロの手」によって、愛車に新車時のような輝きを取り戻したいものである。
『グローバルデザイン』は、千葉県に拠点を置く「バイク塗装のスペシャリスト」だ。バイクの塗装を専門とするペインターや塗装業者は数多くあるが、同社の特長はなんといっても、フレームやホイール、マフラーといった部位ごとに、セラコートやパウダーコートなど、豊富なメニューから適切な塗装(施工)を行なっている点にある。
もちろん、それらの塗装はただ上塗りするだけではなく、必ずすべての塗装を剥がしてから塗り直している。また、多数の塗装を同時に行なうのではなく、ひとつひとつの工程を職人が丁寧に行なっている。「単なる交通手段ではない、ライダーにとって宝物や相棒ともいうべきバイクへの愛情を大切にしたい」という同社の哲学が、こうしたこだわりを生んでいるのだ。
グローバルデザインが使用している設備は、ビッグバイクのフレームも入る大容量タイプ。用途に合わせて2種類のメディア(砂)を使い分けている。
たとえば下地処理。グローバルデザインではバイクのフレームをすっぽり入れることができるサンドブラストの設備を保有し、下地処理には必ず使用する。それも旧塗装や錆を落とすための「アルミナサンド」、シルバーエンジンやホイールハブといったアルミパーツの外観レストアのための「ガラスビーズ」と、2種類のメディア(サンドブラスト専用の砂)を使い分けているのだ。
ほかにも、塗装の寿命を左右するプライマー(下塗り)はスチール用やアルミ用、マグネシウム用と、素材に応じて使い分ける。じつに入念な下地作りがおこなわれているのである。
ちなみに、一般的にはフレームごと剥離剤に漬け込む方法が知られているが、同社では決して行なわないという。なぜなら剥離後は水洗いが必須で、そうするとフレームの内側や入り組んだ箇所に水や剥離剤が入り込み、新たな錆の原因になりうるから。剥離剤は時間短縮には役立つが、同社ではあえて時間と手間を掛け、確実に美しい仕上がりとなるサンドブラストを採用しているのである。
専用の塗装機のなかにパーツを入れ、粉体塗料を静電気の力で電着させるパウダーコートは、いまや広く知られた塗装技術だ。一般的には傷や紫外線に強く、高い耐久性を持つと思われているが、同社によれば、そのメリットを十分に発揮するにも知識と技術が必要とのこと。パウダーコートは、決して「パーツを専用塗装機に入れてスタートボタンを押すだけで勝手に機械が塗ってくれる」なんてものではないのだ。
バイクのフレームやエンジンは、車種によって形状はさまざま。ステーなどの奥まったり入り組んだ部分も多い。それらを均一に塗装する際は、電圧や塗料吐出量などの設定が重要だという。細かく調整を行なわないと、パーツ表面ばかりが厚くなり、入り組んだ部分はまったく塗装できていないということが起こるそうだ。そこで同社では、適切な電圧と塗料吐出量の設定が可能なスイス製の最新塗装機を導入し、施工している。
適切な電圧と塗料吐出量の設定によって、細かく複雑な形状のパーツでも均一の厚さで塗装されている。パウダーコートも一般的な塗装と同じく、確かな技術と経験、そして丁寧な下地処理が何よりも大切なのだ。
また、塗料についても深い造詣があり、原料による特長を熟知。対紫外線や防腐食性能など、原料の特性とパーツの用途を鑑みて、最適な塗料をセレクトできる。これもグローバルデザインの大きな強みだ。
さらに同社が行うパウダーコートは、パーツ洗浄からサンドブラスト、乾燥炉焼付け(カラ焼き)、プライマー塗装(下地)、プライマー焼付け乾燥、足付け研磨、パウダーコートと、非常に多くの工程を経ている。下地処理にいかに時間と手間をかけているのかがわかるだろう。「パウダーコート」と一口に言っても、グローバルデザインのパウダーコートは、ひと味もふた味も違うのだ。
徐々にその名が広がりつつあるとはいえ、まだまだ知らないユーザーも少なくないコーティング技術が「セラコート」だ。グローバルデザインではすでに導入しており、豊富なノウハウを蓄積している。
まず簡単にセラコートについて説明すると、「Hシリーズ」と「Cシリーズ」、そして「サーマルバリアー」など、いくつかの種類がある。
熱に強く、高い硬度を持つセラコート。「Hシリーズ」はとくに硬度が高く、スイングアームやエンジン、ブレーキキャリパーなどに適している。
Hシリーズは薄膜ながらも耐衝撃性能に優れており、つねに飛び石などにさらされるスイングアームなどに最適。金属の質感がそのまま残り、アルマイトのような退色もないため、長期間にわたり高品質を維持する。もちろん、耐熱性もあるのでエンジンなどにも使用できる。
Cシリーズはより耐熱性能に重点を置いたもので、マフラーに最適だ。耐熱温度はなんと1,200度で、ハーレーのエキパイに使っても塗膜剥離がないというからオドロキだ。
そしてサーマルバリアーには断熱効果があり、マフラーの表面温度は施工前と比較して明らかに低くなるという。夏場などマフラーの熱に困っているというライダーには注目のコーティング技術だ。
今後、さらに注目度が上がること間違いなしのセラコーティングだが、日本正規輸入代理店・鈴友株式会社の技術研修を受けた認定施工所は、国内にはまだ数えるほどしかない。グローバルデザインは国内のバイク塗装・施工において、セラコートの先駆者なのだ。
バイク塗装といえば、一般的には燃料タンクやカウルなどの外装が思い浮かぶが、グローバルデザインではそれらと並び、フレーム、エンジン、ホイール、マフラーなどの塗装にも力を入れている。そして、それらに合った塗料や塗装方法を採用することで新車並み……いや、ときには新車を超える美しさと存在感をバイクに与えてくれるのだ。塗装はカスタムやレストアのフィニッシュであり、その完成度を大きく左右するものだ。せっかくなら、愛車のことを考え、こだわりを持って塗ってくれる「プロ」にお願いしたいものである。
塗装のクオリティを決定付けるといっても過言ではない下地処理。グローバルデザインではとくに注力しているポイントで、たとえばこのAR50用タンクの場合、サンドブラスト処理後、ある程度の凹みをスタッド溶接で引き出し、エポキシプライマー塗装を施している。純正以上の工程を踏んでいるのだ。
モトコンポのような複雑な形状を持つフレームも均一に塗装することが可能。また、塗装面にクレーターができる「静電反発」などのトラブルも、最新のフリーイオン除去装置をスプレーガンに装着することで回避。美しい塗装肌を実現している。
焼けや剥がれが見られる旧車のエンジンも、ST9000というエンジン専用の耐熱塗装によって新車を思わせる美しさに。純正とは異なるシルバーを使うことで、レストア感とカスタム感を絶妙にミックス。オーナーの満足度を大いに高める仕様となっている。 ※写真はホンダ・CB750Fのエンジン
CBX400Fの純正ホイールは下処理後、スポークキャスト部をゴールドメタリックで塗装。そしてゴールド部をマスキングし、ハブを調色ガンメタリックで塗装している。パウダーコートと溶剤塗装のハイブリット塗装で、塗り分けにも対応している。
パウダーコート用塗料のラインナップは蛍光色も豊富。ホイールに塗装すると車体のアクセントとなり、カスタム感が大いにアップするとして人気だ。ちなみにコチラはオーバーレーシング製のホイールで、このようにカスタムホイールを塗ることでオンリーワンのアイテムとなるのだ。
セラコートCシリーズの耐熱温度は1,200度! 高年式ハーレーはとくにマフラーが熱くなることで知られているが、セラコートなら塗装が剥げることもなく、美しい質感を楽しむことができる。
グローバルデザインの縮み塗装は一般的な溶剤型ではなく、パウダーコートを採用。エンジンの熱に強く、塗膜性能を維持し続けることができる。 ※写真はカワサキ・GPZ900Rのエンジンヘッドカバー
レストアペイントも同社が得意とするところ。ベースはホンダ純正色のキャンディーアラモワナレッドで、ラインもデカールではなく全て塗装。紫外線による劣化の心配もないという。 ※写真はホンダ・CB750FOURの外装
通常できるラインの段差もなく、フラットな塗装面。ちなみに旧塗膜を落とした際に大掛かりな凹み修正があったとのことだが、問題なく修正されている。
もちろんオリジナルのカスタムペイントも受け付けており、オーナーとの綿密な打ち合わせによって満足度の高い仕上がりを得ることができる。自分だけの1台を作るなら、絶対オススメだ! ※写真はカワサキ・GPZ600Rの外装