ストリートでこそ真価を発揮するエッチングファクトリーのラジエターコアガード
取材協力/テクニカルガレージRUNエッチングファクトリー  取材・文・写真/山下 剛  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2014年5月14日
カスタムには機能を高めることを目的とするものと、ドレスアップを目的とするものがある。そして理想はそのどちらも満たすものだ。水冷エンジンに必要不可欠なラジエターを守り、愛車に輝きを与えてくれるラジエター(オイルクーラー)コアガードはそんな理想のパーツである。

INTRODUCTION

コアガードはストリートでこそ
真価を発揮するパーツだ

コアガードで大きなシェアを誇るエッチングファクトリーは、全日本ロードレースや鈴鹿8耐といった日本最高峰のレースを舞台に活動してきたレーシングチームでもある。過酷なレースの現場で培ったノウハウをもとに製作されるコアガードは、フロントタイヤが巻き上げた石、コース上を飛んでいる虫のヒットによるラジエターコアの変形や破損を防ぎ、常にベストな冷却効率をキープするためのレーシングパーツだ。

 

しかし、コアガードはサーキットでのみ有効なパーツなのではない。ストリートでこそ真価を発揮するパーツだ。そう証言するのは、テクニカルガレージRUN(千葉県千葉市)の代表・杉本卓弥さんだ。テクニカルガレージRUNは油冷マルチのストリート向けカスタムを得意とするショップだが、筑波サーキットをメインとしたレース活動も有名だ。その手腕の確かさは、鉄フレーム+空油冷エンジンで初の59秒台を記録したことで、広く知られるようになった。繰り返すが、その杉本さんをして「コアガードはストリートにこそ有効」と話すのである。

INTERVIEW

装着することによるデメリットが
一切ない機能的なカスタムパーツ

杉本さんは、エッチングファクトリーのコアガードについて、客観的かつもっともよく知っている人物だ。なぜならテクニカルガレージRUNのブランドでリリースしているコアガードは、エッチングファクトリーがOEM生産しているからだ。

 

「エッチングファクトリーのコアガードは精度がいい、設計が細かく行き届いて いる、レースの現場で生み出したからモノをよく知っている。コアガードに求め られる性能を最適な条件で満たしているんです。エッチングファクトリー製を採 用する理由はそれに尽きますね」

 

加工精度が高いから寸分のズレもなく取り付けられる。また、剛性と柔軟性のバランスがよく、ダンパー性があるため湾曲したラジエターにもぴったりとフィットする。要求される性能と軽さ、価格のバランスを考えると、素材はステンレスがベストだという。

 

「レースの現場で生まれたパーツですけど、実はサーキットってタイヤカス以外のゴミって少ないんです。でも一般道には砂利や小石、釘やナットなんかも落ちてたりします。だからこそコアガードはストリートにこそ重要なんです」

 

ゴミだけではなく虫のヒットのダメージも大きい。とくにカナブンやカブトムシのような甲虫が当たるとラジエターが破損してしまい、水漏れを起こしてしまうこともある。実際にそういう状況になり、冷却できなくなったため走行不能になったことがあるという。

 

「もしも要らないラジエターがあったら、試しにコアを指で触ってみてください。ちょっと押すだけで簡単にツブレてしまいますから。それに虫の場合、体液の酸が腐食の原因となるんです。でもコアガードはステンレス製だから腐食に強い。洗うのも簡単です」

 

洗車する際にブラシでラジエターをこするうちにコアを潰してしまった経験を持っている人もいるだろう。また、汚れがひどいときは外して洗えばいい。加工精度が高いから着脱も手間がない。

 

「コアガードは装着するデメリットが少ないです。たとえばマフラーは本人がいい音だと思っても周囲はそう思わないかもしれないですよね。でもコアガードはそういうことが一切ないんです。肉抜きされた薄いステンレス板だから重さが増えるといっても誤差範囲だし、ラジエターの効率を落とすこともない。維持費がかかるわけでもないし、経年劣化も非常に少ない。それでいて余計なトラブルを防いでくれるし、見栄えもよくなる。発生するのは購入費用だけです。もちろん付けただけでバイクの性能が上がるパーツでもありませんが、付けない理由は少ないですね(笑)」

 

エッチングファクトリー製コアガードの特徴は、前述したとおり高い加工精度、細やかな設計、最適な素材選びが挙げられるが、中央は目が細かく、左右両側は粗くなる効率的なデザインも特徴だ。もちろんこれはフロントタイヤの巻き上げによるゴミの飛散に対するものだ。

 

ストック状態でもラジエターコアガードが装着されているモデルもあるが、メーカー純正のものはたいていワイヤーを組み合わせた金網状で、網の目も粗い。そのため小さなゴミなどはガードを通過してしまうし、たいていは鉄製なので経年劣化などによるサビも避けにくい。新車購入時に装着するのがベストだ。

 

「リピーターが多いですね。バイクを買い替えたら、初めからコアガードを装着する人が多いです。ハードカスタムしているわけでもないけど、コアガードを装着しているバイクを見ると“わかってる人だな”と思いますね」

 

前述したように新車時に装着するのが理想だが、ラジエターへのダメージを防ぐのは今からでも遅くはない。もはやラジエターやオイルクーラーを持つエンジンには必須のカスタムパーツなのである。

 

PICKUP PRODUCTS

強度と耐久性のバランスに優れるSUS304ステンレスを素材として、ハニカムメッシュ構造を採用することで美しく細かいメッシュを実現。フロントタイヤの巻き上げが多い中央部はメッシュを細かく、両サイドは荒くすることでラジエターの熱交換性を阻害することなく、コアをしっかりとガードする。国内4メーカーをはじめとして海外メーカー用も幅広くラインナップされ、排気量も50ccからリッターオーバーまで豊富に揃っている。

 

ラジエターとオイルクーラー用の二つのコアガードがセットされたスズキ GSX1300R HAYABUSA

ハヤブサの場合、フロントタイヤの奥を覗きこまないとラジエターが見えないためドレスアップ効果は低いが、ラジエターとオイルクーラーのコアを確実に保護する。

ハヤブサ用はラジエターとオイルクーラー用がセットになっている。価格は3万780円(税込)。

バンディット1200Sはオイルクーラーが剥き出しなため、ドレスアップ効果も高い。

中央は目が細かく、左右が粗いデザインはフロントタイヤの巻き上げによるダメージを軽減しつつ最大限の冷却効果を発揮するためだ。

ハニカム(六角)構造は、素材の剛性と柔軟性、開口率を最適化するためのデザイン。0.8mmステンレス材で軽量に仕上がっている。2万5920円(税込)。

取材協力店

テクニカルガレージRUN

住所/千葉県千葉市中央区都町2-2-7
TEL/043-309-5189
営業時間/10:00?20:00
定休日/月曜

スズキ油冷エンジンのカスタムを得意とし、とくにカタナのストリート向けチューンナップとカスタムに定評がある。映画『キリン』をはじめ撮影用車両の製作も多く手がける。日本最大級のイベントレース『テイスト・オブ・筑波』では上位の常連チームでもあり、その名を全国に知られる。

BRAND INFORMATION

エッチングファクトリー

住所/大阪府東大阪市金岡3-22-32
TEL/06-6721-1509
営業時間/10:00-17:00
定休日/土曜、日曜、祝日

1974年創業。元々は電子部品に向けてのエッチング製品を製造していたが、現代表の竹見氏が現役のレーサーだったこともあり、バイク関連の製品を手がけるようになった。エッチングを用いたラジエター&オイルクーラーコアガードの先駆け的な存在。