
バイクをカッコよくカスタムしたい。バイク乗りなら誰もが一度はそう思う。しかしカスタムには金もかかれば手間もかかるのが常識。
だが、常識とはつねに破られるもので、『DEEP☆INSIDE』が提案する“横浜スタイル”は、
安く手軽にカッコよくをコンセプトにしたカスタムなのだ。ではいったい“横浜スタイル”とは何か。そこを解き明かしてみよう。
ゼファーからはじまった横浜スタイル
現在はW400/650とビッグスクーターも
『DEEP☆INSIDE』(ディープ・インサイド)は、ゼファーをベースとしたカスタム“横浜スタイル”を提唱するバイクショップとして、2003年、横浜に誕生した。現在ではカワサキのゼファーとバリオスを扱う『DEEP☆INSIDE YOKOHAMA』と、カワサキW400/650とビッグスクーターを扱う『DEEP☆INSIDE STREET』の2店舗を展開する。新車の扱いは無く、中古車をベースにしたカスタムコンプリート車を扱う。
横浜スタイルはゼファーにはじまり、現在はW400/650やビッグスクーターにも横浜スタイルのカスタムパーツを製作、販売している。パーツ単位での販売はもちろん、カスタムコンプリート車の販売も行っており、手持ちの車両をカスタムすることもできるし、はじめから横浜スタイルにカスタムされた車両を購入することもできるというわけだ。
今回はゼファーとWに焦点を当て、横浜スタイルのおもしろさとテーマについて、代表である内田英明さんに話を聞いた。
簡単で手軽にカッコよく!
ライトカスタムで入口を広げたい
内田さんはカワサキ400FXにはじまり、Z1とZ2、そしてMKⅡと、カワサキを乗り継いできたバイク乗りだ。もちろん横浜スタイルはその延長線上にあるカスタムである。
「Z1は今でも手に入りますし、カッコいい。カスタムすれば走りの質も高められる。でも、今や車体価格はすごく高いし、足まわりやエンジンのカスタムをしていけば数百万円レベルで金がかかってしまいます。もちろんそれを否定するわけじゃないですけど、敷居も高くなってるのは事実だと思うんです」
今や程度の良いZは300万円オーバーはあたりまえ、MKⅡも近い価格帯になってきている。30~40年前の車両だから、年月が経つほど希少価値が高まるのは宿命的だとは言え、もはやおいそれとは手出しできない域の趣味になってしまった。家庭もあれば生活もある。バイクにだけ金をかけられるわけでもない。だからと言って、あの時代のカワサキのカッコよさをあきらめることもできない。
「ZやMKⅡ、それらのハードなカスタムをするなら、『ドレミ』さんをはじめとしてプロフェッショナルな人たちがたくさんいるし、ショップもある。ディープな世界に行きたい人はそちらに任せて、僕らはその入口となれるようなバイクを手がけたい。安くて手軽にできて、しかもカッコいい。だから仲間とツーリングに行くにも、1人で峠を走るのにも、通勤や通学で毎日乗れて、デートで女の子を後ろに乗せるのもいいし、ちょっとタバコを買いにコンビニまで乗るのも気軽にできる。乗る人の生活に溶け込んでほしいですね。ゲタ代わりに乗れて、しかもカッコいいバイク、それが“横浜スタイル”なんです」
創業当時はまだ現行モデルとしてラインナップされていたゼファーを使い、外装パーツを交換するだけ、しかもボルトオンの無加工で取り付けられることで、誰もが気軽に、そして手軽に、少ない出費で楽しめることを目指した。しかもゼファーなら、Zに比べてメンテナンスにかかる手間も費用も少ないから、使い倒すように乗れる。
「走りの質を高めることも大切ですけど、まずはカッコいいって思えることも大切だと思うんです。たいていは、やっぱりカッコから入るものでしょう? 僕らがあの頃カッコいいと思って憧れたのは“不良テイスト”であって、“非行”と言うのとは違う。それを再現したかったんです」
ゼファー1100の場合、タンク、シートカウル、サイドカバー、シート、フロントフェンダー、フェンダーレスといった外装パーツが横浜スタイルの基本だ。前述したように、これらはすべてボルトオン装着できる。さらにブラック塗装されたショートタイプのマフラーがラインナップされる。
「さっき話したように、横浜スタイルが提案するのは、バイクに乗る第1歩です。だから足回りやフレーム、エンジンなどのパーツは乗り手の好みに合わせてステップUPしていくアドバイスをおこなっています。そうしたところをカスタムしたいと思ったら、それを得意としているショップさんもたくさんありますし、パーツもある。もちろん、どんなものを選べばいいのかについては相談に乗りますよ。一緒にカッコいいバイクを作り上げるお手伝いをしています。そうしたディープな部分はお客さんがバイクに乗ってからの楽しみとして残しておきたい、という想いもあるんです。他のバイクを見てカッコいいと思い、あれを自分のバイクにつけたい、今度はあのパーツを交換してもっとカッコよくしようとか、そういうこと考えてる時って、すごく楽しいじゃないですか(笑)」
横浜スタイルはライトカスタムだ!と、内田さんは言う。確かに外装パーツを替えるだけの簡単なカスタムだが、ZやMKⅡをベースにしたヘビーなカスタムにしても、その原点は「カッコいいバイクにしたい」という想いに違いはない。バイク愛好者が少ない今だからこそ、奥の深いカスタムの世界への入口として、DEEP☆INSIDEは間口を広く、敷居を低くした横浜スタイルのポジションは重要になっていくはずだ。
ゼファー1100をMKⅡスタイルに仕立てる
横浜スタイルコンプリート
ゼファー1100にホワイト外装パーツを装着した“横浜スタイル DEEPコンプリート MKⅡ仕様”は、ノーマルシートを加工することなく、すべてボルトオン装着可能。タンク、サイドカバー、シートカウル、フェンダーレスキット、フロントフェンダーのセット価格は25万円。色はこのほかに“寺崎ver.”(紺)、“本牧ver.”(黒)、“赤レンガver.”(赤)の全4色。デザインはすべて内田さんによるもので、ボルトオン装着にするための造形に苦労したと言う。フルエキゾーストとなるショート管は4万5,000円。こちらは車両込みのコンプリートで、108万円となっている。
ゼファー1100にホワイト外装パーツを装着した“横浜スタイル DEEPコンプリート MKⅡ仕様”。
通称“角Z”と呼ばれるZ1000 MKⅡのタンクのシルエットを忠実に再現しつつ、十分な容量を確保している。純正シートのまま取付できる。
シートカウルももちろんMKⅡの直線基調を忠実に再現したもので、DEEP☆INSIDEの文字がペイントされる。
サイドカバーには“Z1100 Mk.Ⅱ”の文字が描かれる。MKⅡ独特の造形を見事に実現している。
スリムなサイレンサーとブラック塗装が精悍な印象のフルエキゾーストマフラー。こちらはショート管で、他にモナカ管(4万9,000円)もラインナップされる。
エキゾースト部分はショート管もモナカ管も共通仕様。4本のパイプが描く曲線が美しい。
ゼファー750をベースに、ドレミコレクション製外装パーツ(タンク、サイドカバー、シートカウル)を使ったカスタム。シート、マフラーはDEEP☆INSIDEオリジナルが装着される。価格は95万8,000円。
W400/650の横浜スタイルは、ボバースタイルを思わせるストリートカスタム。タンクとフェンダーレスをはじめとする、削ぎ落とす手法によるカスタムが、Wのスタイリングをいっそう洗練させる。カフェやボバーはヨーロッパで再び注目を集めはじめているだけに、日本でも再燃する日は近いだろう。
タンクは“スポーツ”、“ナロー”、“ピーナツ”の3種類があり(各6万円)、いずれもストック状態はブラック塗装。各種ペイントも別途受け付ける。写真はナロータンク。
DEEPオリジナルマフラー(6万円)は独立した2本出し(2-2)構造。つや消しブラックがWに精悍な印象をもたらす。
バッテリーボックス一体型フェンダーレスキット(5万3,500円)を装着すると、リアまわりをまとめてスッキリとさせることができ、シートフレームのラインを強調できる。
サイドスタンド(1万3,500円)。スチールをすっと曲げただけのシンプルなスタイルが、カスタムの完成度をさらに高める。
ウィンカーステー(6,500円)を使えば、フロントウィンカーをエンジン前方へ移設できる。
W400/650の横浜スタイルにはこちらのクラシックバージョンもラインナップされる。オリジナルシートにアップハンドルを装着。W1を思わせる大きなウィンカーが特徴だ。
1970~80年代のカワサキ車を愛してやまない、キャリア豊富なメカニックが車両を整備するから、コンプリート車は完調。アフターサービスやパーツ取付も安心して任せられる。
ゼファーとバリオス・の専門店で、カスタムコンプリート車はもちろん横浜スタイルの外装パーツの販売も行う。第三京浜・港北ICから車・バイクで5分とアクセス良好。
神奈川県横浜市都筑区川向町110-1F
TEL/045-620-5141
W400/650とビッグスクーター専門ショップ。こちらもカスタムコンプリートからパーツ販売まで行っている。第三京浜・港北ICから車・バイクで3分と便利な立地だ。
神奈川県横浜市都筑区大熊町29-1
TEL/045-548-4777