絶版車専門スタッフが実践するネットにも対応した『エルオートメンテナンス』
掲載日/2018年12月13日
取材協力/エルオート(エーシーピー二輪サービス)
取材、撮影、文/栗田 晃
構成/バイクブロス・マガジンズ
※この記事は『絶版バイクス Vol.29』(2018年7月19日発売)に掲載された内容を再編集したものです。記事の内容は雑誌掲載当時のものです。

西日本最大の規模を誇る絶版車専門店『エルオート』では、年間数百台の整備実績を生かしたメンテナンス業務をスタート。ペイント、研磨、整備からフルレストアまで、愛車をきれいにしたい、調子よく走らせたい絶版車オーナーは要注目だ。

メンテ、研磨、ペイント作業の受注を開始

再塗装はペイントショップ、アルミ部品の磨きは研磨業者、車両の整備はバイクショップと、1台のバイクをきれいで調子良くしようとすれば、いくつもの業者を使い分けなくてはならない。ショップに愛車を預けても、仕事別に分解した後は、それぞれの専門業者に送られているはずだ。そんな常識を覆し、業者間の壁を取り去ったのが京都八幡のエルオート。自社輸入した車両をフルレストア、セミレストア、オリジナル、コンテナ出しという4つのグレードと6つのプランで販売する同社は、西日本屈指の絶版車販売店である。

キャンディカラーやフレーク塗装など、絶版車は時代ごとに特有の手法が使われることが多い。下地の鈑金から入念に作業するのはもちろん、絶版車ならではのニュアンスを伝えるペイントも、経験豊富なメカニックに任せれば安心だ。

フレームやスイングアームなどの黒モノ系が美しいと、車体全体が引き締まって見える。エルオートではフレーム丸ごとが収まるサンドブラスト、パウダーコーティングとウレタンペイントが可能なブース、フレーム焼き付け用の乾燥機を常備。

エルオートの特徴のひとつが、社内作業の割合が高いこと。エンジンや足周りの分解組み立てを行うのは専門店として当たり前だが、驚くのはフレームや外装パーツの鈑金補修とペイント、アルミパーツの研磨、必要とあればプロッターマシンを使ったデカール製作など、ほぼすべての作業を社内設備を用いて同社メカニックが行う点だ。

車両製作時はリプロパーツではなく、当時モノの純正パーツを補修して用いることも多い。常駐する鈑金職人が金属でも樹脂でもハイレベルに仕上げてくれる。

社内で作業することで、自社で製作する車両の作業がタイムリーに進む利点があり、さらにこの設備を活用すればユーザーから預かった車両も整備やリペイント、磨き作業ができるためユーザーサービスが大幅に向上する。

ペイントが終わりクリアのトップコートが硬化したら、ユーザーの好みに応じた仕上げになるまでポリッシャーで磨く。

サービスを利用する際の手続きにも、ネット時代に対応したシンプルで明快な仕組みを取り入れている。エルオートのホームページ上で整備内容や入庫方法(来店と引き取りを選べる)などを選択していけば、ビジネスホテルの予約のように簡単にオーダーできるのだ。ペイントや磨きについては写真を添付した見積もりも依頼できるので、より高精度に費用が算出できるのもユーザーにとってはありがたい。

こうしたサービスができるのも、日頃から膨大な車両の整備や塗装を行っているから。もちろん、エルオート以外で購入した車両でもこのサービスを受けることができる。各種のサービスをワンストップで受けられるエルオートのメンテナンスは、多くのバイクユーザーの利便性向上に役立つはずだ。

ホイールやエンジンカバーが輝けばイメージ一新

カーベックが販売するバレル研磨機を導入して、エンジンカバー類やキャストホイールのポリッシュを行う。輝きがなく軽度のサビがある部品でも、純正以上の光沢に仕上がる。エンジンが見える絶版車は研磨が効果的。

アウターチューブとホイールをバレル研磨して、スポークとリムの一部をペイントで仕上げたカワサキKZ1000用ホイール。奥に見えるブレーキローターも研磨後にインナーローターをペイントしてあり、実にシャープに仕上がることが分かる。

キャブレターや電気系、エンジン整備は得意中の得意。車両丸ごと入庫して、工場でペイントとエンジン整備に分けられることも多い。

海外のカワサキZ系情報には常にアンテナを張って、安定的に提供するよう心がけているエルオート。フルレストアを施された1972、73年モデルも数多く並んでいる。

50台以上の絶版車が並ぶショールームとは別に、別棟の整備やレストア用の工場では常に作業が行われている。愛車のリフレッシュの際には相談してみよう。

エルオート
住所/京都府八幡市八幡三反長39-1
電話/ 075-982-2306
営業/平日10:00-20:00
定休/水曜、祝日

エルオートメンテナンスは早く確実に絶版車を蘇らせる

絶版車が手元にあっても、自分で良好な状態を維持するにはそれなりのメンテナンスノウハウを要するもの。馴染みの信頼できるショップが近所にあるとしても、他店や個人売買で入手した車両を持っていくのは気が引ける……。だったら自分でやるしかないと考えたところで、専門的な設備や技術が必要となったら、もうお手上げではないだろうか。そんなお困りの絶版車ユーザーのために、エルオートメンテナンスというサービスがあるのだ。

エンジンのオーバーホールは旧車にとって避けては通れない整備かもしれない。機械的な部分はもとより見た目の美しさも重要だ。ボアアップを伴うボーリングにも対応する。

所有する前にもしかしらた事故や転倒などで歪んでしまった可能性もあるうえに、経年で傷んだフレームは塗り替えれば済む話ではない。フレーム修正や加工もお任せしたい。

エルオートでは3Dバレル研磨機を導入しており、エンジンからホイール、ブレーキキャリパー、ステッププレートなど、アルミ部品なら複雑な形状でも見事に、むしろ新品以上に美しく蘇る。

経年劣化や傷などで年季が感じられる外装の塗装面も、元のパーツに補修を施しながら当時のカラーリングでペイントすることが可能。もちろんカスタムペイントも受け付けている。

ブラスト(サンド、ウェット)はアルミのほか鉄やステンレスなどの表面にこびりついた錆や古い塗装、汚れなどを吹き飛ばし、マット調独特の艶で美しく仕上げる表面処理だ。