黄金の1970?80年代に生み出されたジャパニーズヴィンテージバイク。その輝きは今尚褪せることなく、ライダー達の心を掴んで離さない。そんなヴィンテージバイクだが、愛車とするにはいささか敷居が高い。その理由のひとつが車両の程度の問題。どんな名車も時の流れには逆らえない。経年劣化でどんな不具合が出たとしてもおかしくはないのだ。手に入れたはいいが、故障してばかりでまともに走らないのでは意味がない。
また、人気のヴィンテージバイクはプレミアがつき非常に高価格。中古車の価格は相場ものだから、人気の高い車種の価格が上がるのは致し方ない。とはいえ、ヴィンテージバイクの相場は上がり過ぎて、おいそれと買えるものではなくなっているのが現状だ。
こうした理由から、手に入れるのが難しいのがヴィンテージバイク。だからといって、憧れの一台を諦めてしまうのは、まだ早い。まずは関西最大級を自負する京都の絶版専門店エルオートのWEBサイトを覗いて欲しい。そこには、欲しかった往年の名車が数々紹介されている。見れば、どの車両もコンディション良好な様子。エンジンを始動させている動画も用意されているので、中身の見えないエンジンの状態も確認することができる。そして何より見逃せないのが、どの車両も非常にリーズナブルであることだ。
程度の良い人気車種が安く売られているとなると、その理由を知りたくもなる。エルオートでチーフメカニックを務める南埜さんに、エルオートのヴィンテージバイクの安さと、程度の良さの秘密を聞いてみた。
「まず、仕入れが違うんです。弊社のスタッフが海外に渡って直接買い付けているので、中間業者にかかるコストを省くことができます。程度に関しては全体をくまなくチェックしてからレストアを施しているので、展示している車両は非常にコンディションが良いものが多いですね」
エルオート チーフメカニック
南埜良明さん
1977年生まれの38歳。20代前半でメカニックの世界に入り、ZやCBといった絶版車から原付スクーターまで、バイク全般に精通。愛車はKZ1000LTDベースのZ仕様。
絶版車専門店という、取り扱う車種が限られている形態である分、エルオートのメカニックの知識と経験はハイレベル。車種特有のトラブルの対策方法やメンテナンスのポイントなど、絶版車を快適に楽しむための技術が蓄積されているのだ。
レストア済みということなら、作業にかかった費用が上乗せされているはず。それで、価格が安いとなれば、ちゃんと作業されているのか?と勘ぐってしまう。
「そこは簡単です。レストア作業のほとんどを自社のファクトリーで行っていますから、外注費用がかからないんです。その分、価格を下げられます」
そう、エルオートで注目すべきはファクトリーの存在。整備スペースはもちろん、フレーム塗装や焼き付け塗装まで可能なペイントブースも完備。溶接機や旋盤、フライス盤といった工作機械も充実している。パーツを磨き上げる特殊な機械や、デカール類を製作するためのカッティングプロッター、パイプベンダーやレーザーカッターなど、普段目にすることのない工作機械まで備えられている。
「メッキなどの処理や内燃機加工以外は、全て自社内で作業できる体制を整えています。一般整備はもちろん、カスタムマシンの製作、レストア、カスタムペイントも可能です。自社で行うので、作業にかかる時間も短縮できています」
コストダウンと作業のスピードアップを両立しているのだ。顔が見えるスタッフが作業してくれるので、安心感が高いというメリットもある。だが、ここで気になることを耳にした。エルオートで絶版車を購入した場合、納車まで通常1ヵ月ほどの時間がかかるという。作業スピードが早いはずなのに、それはおかしくはないか? そこをツッコんで聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。
「納車整備が完了したら必ず試走をするんですが、最低100kmは走ります。そこで再チェックして、不具合があれば修理します。完璧に整備したつもりでも、相手は40年前の旧車ですから、どんなトラブルが出るか絶版車に慣れている自分達でもわからない部分がある。初期不良が出る目安の距離が100kmということなんです。弊社は遠方からのお客様も多いですし、通販でのご購入も少なくありません。トラブルが出て、すぐにお店まで来ていただけるなら対応も簡単なんですが、遠方の方だとそうはいきません。自信を持って車両をお渡しできるまでにかかる期間が、最低1ヵ月ということなんです」
ここまで手をかけているだけあり、完全整備状態で納車した場合の初期トラブルがほとんど無いというのも納得の話。もちろん完全整備済みの車両には納車後2ヵ月間の保証がついているのも専門店ならではの自信のあらわれだと言える。車両購入からメンテナンスやカスタマイズまで、絶版車ライフを全てワンストップで任せられるエルオート。ヴィンテージバイク乗りにとっては、実に心強い存在だ。
エルオートの車両は、ほとんどの場合セミレストア状態で販売されている。フルレストアまで行っていないのは、最終的な仕上がりはユーザーの好みを取り入れるため。完全オリジナル仕様で納車することも、カスタマイズを施して納車することも可能だ。そのため、納車整備にかかる費用は一律にはならないが、基本整備や問題箇所の修理は済まされているので、1からレストアすることを考えれば費用はかなり抑えられる。成約から納車までにかかる期間は、基本的に1ヵ月とされているが、納車整備中にトラブルが発見された場合は、長引く場合もあるともこと。それも、納得いく状態まで仕上げた車両で、心おきなく走りを楽しんでもらいたいという、エルオートの心遣いから来るものだ。
住所/京都府八幡市八幡三反長39-1
TEL/075-982-2306
営業時間/10:00?20:00
定休日/日曜・祝日
公式サイトはコチラ >>
京都市の南、八幡市に店を構える絶版車専門店。Z系CB系といった絶版車の定番車種からミドルクラスまで、人気の絶版車を幅広く手がける。セミレストア状態の車両を多く在庫しているため、ノーマルスタイルやフルカスタムなど、ユーザーの望んだ形にマシンを仕上げてくれる。名神高速道路や第二京阪道路のICからも近く交通アクセスも便利。