掲載日:2021年04月02日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
“原付のアメリカン”と聞いて最初にジャズを思い出す人は多いだろう。それ以前にも原付サイズのアメリカンは確かにあった。僕は80年に発売されたヤマハのRX50スペシャルに乗っていたが、造りはここまで本格的ではなかった。
何よりフォルムが素晴らしい。手前に引くように延びたプルバックハンドル、美しい形状のティアドロップ型フューエルタンク、高さを600mmに抑えたシート、原付とは思えなロングホイールベース、前方に長く延びたフロントフォークはまるでチョッパー! これぞまさにアメリカンなのだ。
さらに細部にもこだわっている。クロームメッキされたバッテリーケース、リアサスペンション、マフラーの形状もアメリカンだし、ミラードホイール&ワイドタイヤのリアビューもクール。シーシーバー風のナンバープレートホルダー……、原付とは思えないほど造り込まれ、所有欲を満たしてくれる。ジャズに跨れば、僕もキミも、誰もが今すぐにアメリカンバイカーになれる、すごいバイクなのだ。
発売の翌年にはフラットバーハンドルモデルが登場。バッテリーは6Vから12Vへサイズアップ。タンクのデザインがツートンカラー、スティード風になるなど、小さな変化を繰り返しながらも基本のスタイルは変えぬまま、約10年間生産された。
僕は当時、アメリカンなのにエンジンが実用車のカブ系なのはカッコ悪いと思っていた。しかし今は違う。信頼性の高いエンジンが中心にあるからこそ、作ることができたバイクなのだと思っている。
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