掲載日:2021年03月05日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
ヨーロッパ発祥のトライアル。大きな岩を飛び越えたり、垂直の斜面を駆け上がったり、人間業とは思えない技が次々繰り広げられるモータースポーツ。山や河原など自然の中で行われるイメージだが、スタジアムや屋内にセッションを作ってやることもあるらしい。モーターサイクルショーで行われるデモ走行もお馴染みだ。
トライアル全日本選手権が始まったのは1973年と歴史は長い。同じころ国内のメーカーが競技専用トライアルマシンや保安部品の付いたモデルを製造販売。人気が広がっていった。排気量も125cc、200ccと拡大、そしてついに本格的なトライアル入門モデル、TLM50が生まれた。
車体は軽量、高剛性、スリムなセミダブルクレードルタイプ。タイヤも前21インチ、後18インチと大型。ハンドルの切れ角は左右62度、最低地上高305ミリと原付バイクとは思えないほどの本格仕様。デザイン性の高さも魅力で、ゼッケンプレートと共用できるメーターバイザー、エンジンをガードする樹脂製スキットプレートなど、トライアルビギナーをくすぐる内容も兼ね備えていた。
トライアル性能は高かったが、ツーリングバイクとしての評価は「?」マーク。低中速域重視のエンジンのため市街地では交通の流れに乗れない、シートを薄くしているため長時間走っているとお尻が痛くなる、ハンドル幅が広いので長時間走っていると腕が疲れるなど、トライアルでの利点がツーリングでは欠点になってしまった。それでもやっぱりTLMはカッコ良く魅力的なバイクだった。
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!