掲載日:2020年04月17日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
1980年代は空前のレーサーレプリカブーム。甲高い2ストの排気音を箱根の山に響かせながら、革ツナギの男たちが峠道でデッドヒート。ヘアピンカーブには他のバイクたちの走りを見守るギャラリーで溢れかえる。
そんな時代にオギャァ~と産声を上げた、冗談のような原付バイクがあった。スズキの4スト50ccレーサーレプリカ、GAG(ギャグ)だ。こんなわかりやすい名前のバイクがこれまであっただろうか?(笑)。フルフェアリングのGSX-Rに魔法をかけて、そのままぎゅっと縮めてミニサイズにしたような風貌。GAGを初めて見た人は「ん?えっ?ウソだろー!!」と叫びながら、二度見したに違いない。
前後10インチと体は小さいけれど、スタイル的にはフルカウルにシングルシート、セパレートハンドル、バックステップ、ダブルバックボーンフレームにシングルダンパーサスペンションと本格的。ウインカーとテールランプも当時人気だったGSX-R750やRG250Γ(ガンマ)と同じものを流用していたが基本は遊びバイク。
ところがっ! なぜかレースの好きな人たちがGAGに注目。チューニングパーツが続々と発売され、GAGのワンメイクレースが開催されるほどの大ブームに!
しかし、その後ヤマハが走行性能の高いYSR50をリリース、翌年にはダメ押しのようにホンダから本格的ミニレーサーレプリカNSR50が登場。結局、GAGはわずか2年で生産中止となってしまった。一気に注目を集め、たくさんの人を楽しませ、一瞬にして消えて行ったGAG。まるで打ち上げ花火のようなバイクなのである。
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