掲載日:2025年11月28日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち


レーサーレプリカブームは徐々に収束しつつある1990年。スズキから新しいスタイルの250㏄スポーツツアラーモデルが登場した。その名はアクロス(ACROSS)、日本語にすると「横切って……」「~を越えて」などの意味になるが、残念ながらその由来は知られていない。
アクロスの一番の特徴は通常ガソリンタンクの部分が、開閉式の大容量収納スペース(25リットル)になっていること。それもフルフェイスのヘルメットが1個すっぽり入るサイズなので、利便性はかなり高い。それもキーを差した状態(エンジンがONのまま)でも開閉が可能。さらに照明付きとかなり凝った造りになっていた。
このメットイン仕様によって、特にスポーツバイクの欠点であって積載性の低さを克服。通勤、通学、買い物、ツーリングなどバイクの行動範囲を広げてくれた。ちなみにガソリンタンクはシート下に配置、給油口はテールカウルの中にあった。
エンジンは水冷4サイクル4気筒DOHC、スーパースポーツのGSX-R250がベース。町やツーリングで使いやすいよう中低速重視のセッティングになっていた。ツーリングを意識したツアラーという特性から、長時間走行・ロングツーリングでも快適に走れるようフルカウルを装備していた。
新しいニーズの獲得&開拓を目指した斬新なモデルだったアクロス。大成功とまではならなかったが一定数のファンを獲得。自主規制の対応、カラーリングの変更など繰り返し1998年まで生産された。








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