掲載日:2025年03月07日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
還暦を過ぎた僕が最もバイクに熱中していた80年代。週末になると愛車ヤマハRZ250に跨り、箱根の椿ラインのコーナーで膝をスリスリ。バイク雑誌も大好きで、各誌の発売日が待ち遠しかった。新車スクープや特集に目を輝かせていたが、特に87年に発売されたヤマハSDRの登場は印象に残っている。
原付並みにスリムでコンパクトなボディ、メッキ加工されたトラスフレーム&スイングアーム、完全なシングルシート、磨き抜かれた美しいアルミパースなどなど。今まで見たことがない、オシャレで速くてカッコイイ。3拍子揃ったバイクだった。
エンジンは水冷2スト単気筒。排気量は何と(何故か?)200㏄! 他にない不思議サイズ(笑)。メーターはスピードメーターのみ(タコメーターなし)と超シンプル。ラジエーターの下でグルッと一回転したチャンバー型ショートマフラー、乾燥重量は105kgと原付並みの軽さ。まさにオリジナルティーの塊、レーサーレプリカ全盛の時代に突如現れたニューフェースだった。どのバイクとも似ていない、唯一無二の存在感を解き放つSDRは僕の憧れのバイクになった。
今乗っているRZ250 と最高出力は1馬力しか違わないのに車重は34kgも軽い。さらに2ストのシングルエンジン。加速も鋭そうだし、コーナーリングも速そう。「これで椿ラインを走ったらどんな感じだろう?」「オレでも走れそうだよなぁ~」妄想が止まらなかった。結局、一度も触れることなく、バイク屋や峠道の駐車場で見るだけで終わってしまったSDR。いまでも乗ってみたい憧れの一台なのである。
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