掲載日:2024年04月12日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
1980年代前半、RZ250によって始まった2スト&レプリカブーム。4ストで対抗していたホンダだったが、背に腹は代えられず。1983年2月、ついに250㏄クラス初2ストのスポーツバイク、MVX250Fを発売した。
16インチのコムスターホイールにインボードディスク、ビキニカウルなどは先に発売されたVT250に近いデザインだったが、何とビックリ! エンジンはV型3気筒を採用していた。1982年に世界GPでデビュー、大活躍していた2スト水冷90度V型3気筒エンジンを搭載したレーシングマシン「ホンダNS500」のテクノロジーをMVX250Fにフィードバックしたのだ。しかし中身はかなり違っていて、高出力と軽量、スリム、コンパクトを実現するため、MVX250Fはクランクケース前方水平に2気筒、後方に 90度の角度をもって1気筒とした、ユニークなものだった。
ホンダの初2ストにユーザーは大興奮したが、時期が悪かった。同月にライバルメーカーのヤマハが、トップを走っていたRZ250の新モデルRZ250R、翌月にはスズキがRG250Γをリリースしたのだ。さらにMVXの最高出力40PSに対してRZは43PS、ガンマは45PSと出力パワー競争で敗北、残念ながら売り上げは伸びなかった。
またマフラーから飛び散るオイルが多すぎてナンバーが汚れて見えなくなる、バイク仲間から汚れるからMVXの後ろは走りたくないと言われるなど……MVXオーナーは、トホホな状態に(笑)。「バッテリーが焦げた」「エンジンが焼き付いた」などネガティブな噂も浮上。ホンダ初の2スト!の触れ込みも虚しく、僅か1年で消えて行くことに……。
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