【ヒーロー X-PULSE200 4V 試乗記】ロングツーリングまでこなせる本格オフロードマシン

掲載日:2022年12月28日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/伊井 覚

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Hero X-PULSE200 4V

インド国内でシェアナンバーワンを誇るバイクメーカーHeroのオフロードバイクがX-PULSE200 4Vだ。この日本国内では少数となってしまった本格オフロードモデルに実際に乗る機会を得た。

ダカール・ラリーでステージ優勝を獲得
インドナンバーワンメーカーHero

Heroはホンダと資本提携してインド・ホンダを経営していたHero Cycleがホンダとの提携を解消し、Hero Moto Corp.として独立したメーカーだ。今ではインド・ホンダを抑えてインドの国内バイクシェアでナンバーワンを誇っている。さらに2017年からはダカール・ラリーにも参戦し、2022年にはステージ優勝を獲得するまでになっている。そんなインドを代表するメーカーが発売したオフロードモデルが、油冷4サイクルOHC4バルブ単気筒のエンジンを搭載したX-PULSE200 4Vだ。なお、ラインナップには他に2バルブのX-PULSE200 2Vも存在する。

ヒーロー X-PULSE200 4V 特徴

充実のガード類と大容量タンク

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ヤマハ・セロー250が生産終了となり、日本国内メーカーで本格的なオフロードバイクはとても希少となっている。ホンダ・CRF250Lとカワサキ・KLX230Sがその座を守っているが、ユーザーにとっては選択肢はとても少ないと言えるだろう。そこへ来て、このX-PULSE200 4Vはフロント21インチ、リア18インチのホイールサイズを持ち、それらのモデルに劣らないオフロード性能を持っている。

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インドは首都周辺こそ綺麗に舗装が進んでいるが、少し地方に出ると未舗装の道路も多い。そのため、頑丈なアンダーガードを装備したモデルが多く、このX-PULSE200 4Vもその例に漏れない。さらにハンドガードも標準装備されており、転倒した際にエンジンを守るパイプガードまで付いている。さらに注目したいのは13Lの大容量燃料タンクだ。これはアドベンチャーモデルのCRF250Rallyの12Lよりも1L多く、ロングツーリングまでこなせる懐の深さを持っていると言える。

ヒーロー X-PULSE200 4V 試乗インプレッション

リラックスできる乗車姿勢とエンジン特性
街乗りからオフロードまで快適

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エンジンは油冷単気筒で、始動するとストトト……と小気味よい排気音。セルスターターの他にキックスターターも装備しているが、こちらの始動性も抜群だ。最高出力は14kW(19.1PS)/8,500rpmと、ストリートリーガルのオフロードモデルとしては申し分ないパワーを持っている。また、ボア×ストロークは66.5mm×57.5mmとショートストローク気味で、高速道路での試乗は叶わなかったが、100km/hでの巡航には苦労しないことが想像できた。さらに低速トルクも申し分なく、街乗りからダート走行までとても使い勝手の良いエンジンに仕上がっていた。

【KAWASAKI KLX230S 試乗記】-55mmのシート高で更にターゲットを拡大した本気のオフロードトレールの04画像

また、サスペンションは正立フォークを採用している。しかし車体剛性がしっかりしているからか、直進安定性も高く、ある程度のスピードでコーナーに進入してフロントブレーキをかけてもサスペンションが動きすぎる感覚はなく、前輪のトラクションがハンドルを握る手にしっかりと伝わってくる。リアタイヤのコントロールもしやすく、乗っていて不安は一切なく、実に楽しい。

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シート高は825mmとオフロードバイクとしては低めに設定されており、初心者でも扱いやすい。また、シートについては座面の広さにも着目しておきたい。一体型のフラットに近い形状だから座る位置の自由が効き、オフロードシーンで動きやすいだけでなく、ロングツーリングでの疲労軽減にも繋がる。さらにシートからタンクまで流れるように一体化されたデザインのおかげでコーナリング時にしっかりフロントに荷重をかけることができたのも好印象だった。ヘッド周りのシンプルさと正立フォーク、小さいオイルクーラーのおかげでフロント周りの軽量化ができている点もオフロード性能の高さを感じさせる。

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メーカーが発表している重量は158kgとのことだが、実際にはもっと軽く感じる。そして個人的に一番感心したのは、スタンディングで乗った時の足のフィット感だ。大型タンクを備えたアドベンチャーモデルの中には引っ掛かりを覚えたり、タンクサイズが邪魔して乗りにくくなったりするモデルもあるが、このX-PULSE200 4Vは完璧だった。そのおかげで身体を前後左右にアクションするようなライディングも実に自然に受け止めてくれた。これだけ作り込まれた車体で車両価格36万9000円という価格ははっきり言って破格だと感じた。

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ヒーロー X-PULSE200 4V 詳細写真

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ヘッドライトはコンパクトなLEDで実用性もバッチリ。シールドは小さめなので高速道路を多用する場合には社外品を期待したいところだ。

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メーターはデジタルで速度、回転数、時刻、ギアポジション、走行距離の他にエコモードの表示も。シンプルかつ軽量な作りが嬉しい。

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エンジンは油冷4サイクルOHC4バルブ単気筒。排気量は199.6ccだ。日本では馴染みのあまりない排気量だが、インドではこのクラスが普及してきており、今後日本にも流入が見込まれている。

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オイルクーラーが車体左側のみに装着されている。また、転倒時にラジエーターを破損しないようにパイプガードが標準装備されているのも好印象だ。

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フロントフォークには正立フォークを採用。フォークブーツでオイル漏れなどのリスクも軽減されており、フェンダーはインナーフェンダーとアップフェンダーの2重構造で泥跳ね対策もしっかりできている。

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Hero純正のハンドガードが標準装備されている。ハンドルを握る手を飛び石などから守ってくれる。汎用品のクローズドハンドガードに交換すればハンドルの剛性を増やすこともできそうだ。

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ハンドルバーは22.2mm径の国内の一般的な太さ。少し手前に曲げられていて、腕に少し余裕があるため、押し引きなどの操作もやりやすい印象。アクセサリーなどを装着するスペースも豊富だ。

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インドの未舗装路に対応する頑丈なアンダーガードは林道ツーリングでの安心感を提供してくれる。なお、最低地上高は220mmとなっている。

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フロントタイヤは90/90の21インチ。ブレーキディスクは少し心許ないサイズだったが、制動力は十分。ABS装備。

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リアタイヤは120/80の18インチ。インドの民族衣装の裾を巻き込まないためのサリーガードが装備されているが、脱着は容易。

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サイレンサーはオフロードモデルらしくアップタイプ。軽快かつ小気味良い排気音で、閑静な住宅街での暖機運転も気兼ねなくできるだろう。

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セルスターターが付いているので、基本的には出番がないはずのキックスターター。長さもあって蹴りやすい。万が一バッテリーが上がってしまっても安心だ。

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シートの後ろにはタンデム時に掴めるグラブバーが装着されている。荷物を積載する際にはキャリアにもなるので一石二鳥だ。

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