

掲載日:2013年11月13日 試乗インプレ・レビュー
インプレッション/辻 健二郎 まとめ/ダートライド編集部 写真/佐藤 春道 取材協力/ウエストポイント
小さな変更に留まったRM-Z250の試乗は、埼玉県にあるオフロードヴィレッジをお借りして実施した。連日雨が降る週で、取材日も時折強まるようなコンディション。路面は全体的にマディで、特にアクセルコントロールに気を使う状況となった。
車体を1日丸々借り受けてのインプレッションとなったので、フリーセッションとして、テストを行った。ここからは国際A級ライダーの辻 健二郎選手にバトンタッチして、その実力を分析してみたい。
「路面コンディションはマディでコースにラインの少ない状況でのライディングでした。
インプレッション冒頭、エンジンの始動が非常に良く、4ストローク特有のかかりつらい心配を考えなくてもよさそうな始動性に、まず好感を持ちました。エンジンフィーリングについては、アイドリング時の排気ノイズと振動が少なく、少しエンジンが大人しそうなイメージを受けます。走行し始めてからも、初期に感じたイメージに沿った開け始め付近のトルクの細さを感じましたが、この日はマディのため、滑りやすい路面を低速で走っての開け口付近のコントロール性の良さを逆に体感出来ました。
スピードを上げ始めてエンジンがおいしくなるパワーバンドに入ると、パリッとした歯切れの良い排気音とトルク、パワーが発揮され、中・高速へ繋がる加速を軽快に感じられます。ただ、スピードを上げて走ろうとした時、低回転域でのトルクの細さが影響して、早めのシフトアップでは回転が上がってくるのを待ってしまう開け待ちのラグが感じられました。路面コンディションが悪く、コーナーでスピードがかなり落ちてしまい、加速時には泥も掻き分けなければならず、レーサーとはいえ250ccエンジンにとっては負担の多い状況から、ネガな部分が顕著に出てしまったのかもしれないですね。
アクセルをそれなりに開けて、中・高回転付近にヒット感があり、そのパワーバンドを多用するとマシンを軽快に走らせる事が出来、レーシーな走りに徹すれば多様な対応力を発揮してくれそうです。路面状況が良くスピードを保てる状況では、全体のフィーリングはこの日と違い、良くなるでしょう。
車体については、フロントに荷重のかかった姿勢での時間が長くフロントタイヤの接地(路面に貼り付いている感覚)を感じ易いです。レール(ワダチ)、バンクのあるコーナーでは、タンク周りからの倒れ込みが非常にスムーズで、軽快な走り易さを感じます。一方で、少しスピードの高いフラットコーナーの進入では、フレームの慣性(マシンの進みたい方向)とフロントタイヤの軌道がズレる事があり、若干の違和感を感じました。テスト日はマディコンディションという事が更に悪影響して、ハイスピードでの走行では、フラットな路面への着地をするジャンプで滑りやすい路面に飛び降りた時に、フラれに繋がる挙動がありました。
加速する状況では、リアタイヤが路面にしっかりと喰らい付く感じが明確で、リアショック、フレーム共にバランスよく踏ん張ってくれ、エンジンのパワーをロスせずに良い仕事をし続けてくれます。
ややレース指向ではありますが、ビギナーゾーンを拾えないという程ではなく、基本的には幅広く対応出来るセッティングになっているコンペティション・マシンという総合的な印象でした。」
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