

掲載日:2013年10月11日 試乗インプレ・レビュー
インプレッション/辻 健二郎 まとめ/ダートライド編集部 写真/佐藤 春道 取材協力/ウエストポイント
量産されるモトクロスレーサーの中で際立つ特徴を持つKX450Fの試乗は、埼玉県にあるオフロードヴィレッジをお借りして実施した。前日強く降った雨で全体的に路面は湿り気味で、各所に深いドロや1本に限定されたワダチのレールが出来た状態だが、走れるライダーにとってはそれほど難しいコンディションではなかったという。
一般走行枠だったのでホビーライダーもいる中で、車体を1日丸々借り受けてのインプレッションだったので、フリーセッションとして、テストを行った。ここからは国際A級ライダーの辻 健二郎選手にバトンタッチして、その実力に迫ってみたい。
「今回、カワサキの4ストローク車に乗るのは初めての事だったので、これまでに聞いた話や、過去に読んだインプレを参考にし、KX450Fには“パワフルなエンジンで、旋回性が若干弱い”というイメージを持っていました。マシンを走らせてすぐに、歯切れの良い乾いた排気音と軽快に回るエンジンのフィーリングに好感を持ちました。コースに入って走り始めてからも、扱いやすさと力の強さに驚かされました。まずは、アクセルの開け閉めにとても素直にバイクが反応し、力も欲しい分だけ発揮されるような伝わり方を持っていて、とても乗りやすという印象を持ちました。低回転からの加速時にも、力強いトルクがマシンを前に引っ張るよう加速してくれ、高回転にいってもパワー感が失われる事がなく、アクセルとバイクの反応がライダーの意志に非常に沿ってくれるマシンだと感じました。
これにより、イメージしていた力強いエンジンというだけよりも、扱いやすいという事実も付け加えられ、KX450Fに対するイメージが変わってきました。車体(シャシー)の乗り味も、長年ホンダに乗っていた自分でも何の違和感も感じずにすぐに馴染む事が出来、癖のない作りである事が分かります。それに旋回性は、エンジンの反応の良さから来る軽快感と、フロントのエアーサスのお陰かげで、フロントタイヤの路面を捉えている感覚(トラクション)も高く、とても曲がりやすいマシンになっていました。アクセルを開けた時の路面へのパワーの繋がりがしっかりと伝わっているところをみると、リア周りの剛性感は、相当あるのかなとも感じました。よくトラクションもかかるし、ジャンプの着地等でブレも少なく、おかしな挙動を感じませんでした。
今回のトラックは荒れも少なかったので、もしかすると非常に荒れた路面状況ではこの剛性感が重い挙動に繋がってしまうのかな、と感じる一面もありましたが、この日のインプレッションではそういう事態には遭遇しませんでした。ただ、湿った路面では唐突に滑るような事もあったため、ペースを上げていく時には、少し慎重に走る事も必要だなと感じました。もっとも、この辺りは車体の特性に身体が慣れてくれば、それほどハードルの高い要素ではないかもしれません。トータルでは、戦闘力が高く、それなのに扱いやすいので、非常に好印象なインプレッションでまとめられました。」
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