


掲載日:2013年06月12日 試乗インプレ・レビュー
「世界のライダーを喜ばせたい」という思いが、ポルトガルから海を越えて日本に届いた。最新のスタイリングを身にまといながら、スペック偏向主義に疑問を投げかける乗り味。「買いやすさ」を追求した独自の販売システム。新興ブランドAJPの、興味深いキャラクターに迫る。
ハイブリッドフレームに本格的な足まわりと空冷エンジンを組み合わせたAJPのスタイリングは、ややスパルタンなファンライドマシンを連想させる。特に今回試乗した240リミテッドでは各所にカラーパーツが奢られ、シンプルさの中にほどよいスパイスを効かせた、レーシングモデル然とした印象。しかしその乗り味は、見た目の印象とかなり異なっているようだ。
「いわゆるファンライドバイクなのかなというイメージのまま跨って走りだしてみたけど、そのイメージが当たっている部分と外れている部分があって面白かった。高めにセットされたハンドルのポジションが独特で、エンジンの低速での粘りがすごいので、トライアルマシンっぽさを感じたんだ。燃料タンクがないシュラウドまわりのスリムさだとか軽さ、ホイールベースの短さあたりが影響していると思うんだけど、バイクの小ささが際立ってるね。エンジンは回してパワーを楽しむといった感じよりも、太いトルクを楽しみながら車速をのせていくといった印象。モトクロスコースよりもエンデューロコース、エンデューロコースよりもアタックツーリングというように、状況がハードになればなるほど楽しめて真価を発揮してくれるマシンじゃないかな。特にヒルクライムなんかであれば、トライアルマシン並みの登坂力を見せてくれるエンジン。車体がコンパクトなうえにシートが柔らかくて足つき性がいいから、ライダーのレベルを問わずに安心して冒険できるマシンだね。初心者だけじゃなく、ひさしぶりにオフロードバイクに乗るリターンライダーにも向いてる特性じゃないかな。林道ツーリング+αが誰でも楽しめるバイクだと思うよ」
AJPブランドの最大の特徴は、ユーザー自身が好みのパーツの組み合わせを選べる「セレクト・ビルドシステム」にある。エンジンは125ccと240ccの2つが用意され、正立フォーク/倒立フォークのほか、タイヤサイズ(F19R16のスモール仕様、前後17インチのモタード仕様)まで選択可能。ウインカーやテールまわりといったリーガルキットも用意されている。今回試乗した240リミテッドは、こちらのシステムとは別格の特別仕様となるが、基本的にはセレクト・ビルドシステムで選べる最上級グレードに、オリジナルパーツを加えたものだ。
このシステムにより、マシン本体の価格帯は40万円台前半~60万円台後半となっており、自分のスタイルや楽しみ方だけでなく、おサイフ事情にもやさしい。好みのパーツを選び、自分仕様のマシンを組み上げていく楽しさを十二分に味わえるシステムと言えそうだ。
125cc/240ccのエンジンはどちらも空冷4ストロークで、今回試乗した240と同様、125ccも扱いやすさとトルク感を重視したフィーリング。サスペンションに関してはファングレード/チャレンジグレードを選ぶ方式で、ファングレードではパイオリ製の正立フォーク、チャレンジグレードではマルゾッキ製の倒立フォークとなる。リヤサスに関してはどちらもザックス製だが、ストロークとアジャスト範囲が異なる仕様となっている。
今回の試乗を終えた石井氏の、「正立フォーク+ミニモト仕様で林道ツーリングに行ってみたいね」という言葉が、自分好みに選べる楽しさを物語っているようだった。
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