

掲載日:2013年04月22日 試乗インプレ・レビュー
取材・写真・文/三上 勝久 写真・取材協力/山下剛・KTM
2001年以来、ダカールラリーで破竹の13連勝を果たしているオーストリアのKTM。世界最大のオフロードバイクメーカーであるKTMが、2002年にダカールラリーを制したLC8 950Rのレプリカマシンとして2003年に初めてリリースしたのがKTM 950アドベンチャーだ。2006年に排気量を拡大した990アドベンチャーにモデルチェンジしたが、今回はシャシーからエンジンまですべて新設計となる後継モデル1190アドベンチャー、1190アドベンチャーRをリリース。今回のインプレッションでは、オフロードの走行性能に焦点を絞ったアドベンチャーRを紹介する。
カラーリングは専用の白/黒、オレンジフレームのみ。ホイールは前後ともスポークタイプだがチューブレス。
さすがに足着きはよくない。スタンダードの1190アドベンチャーに比べ20mm長いストロークのサスペンションとフロント21、リア18インチホイールを採用しているため、シート高も890mmと、エンデューロバイクに近い高さとなっているからだ。とはいえ、初代950アドベンチャーSがサスペンションストローク前後265mm、シート高915mmだった事を考えると、これでも相当「一般的」になったと言える。
身長170cm、体重85kgの僕が跨がると、片足のつま先だけが接地するという感じだ。だが、跨がった状態では車体をコンパクトに感じやすいボディフォルムのため、よほど足着きを優先する人でなければ、許容出来るサイズだと思う。BMW HP-2などに比べれば、はるかにフレンドリーな設計になったと言える。
そのサスペンションは、1190アドベンチャーに装備される電子制御式ではなく、ごく普通のWP製サスペンションが採用されている。前後とももちろんフルアジャスタブルで、リアは工具なしでプリロードを変更出来る外部ノブを備えている。
通常タイプのサスペンションを採用しているので、1190アドベンチャーでは積載量や乗車人数、走行シーンによってサスペンションの特性をスイッチで変更できる機能は廃されている。また、グリップヒーターも標準では装着されていない。シートも高さ調整が可能なセパレートタイプから、体を動かしやすいワンピースタイプへと変更されている。
LEDデイライト、上下2連のヘッドライトなどはスタンダードモデルと同様。スリムな事がフロントビューから分かる。
実際に跨がった時のフィーリングも、スタンダードに比べてやや堅めに感じるスポーティなフィーリングだ。僕の身長と足の長さだと、残念ながら跨がったままだとサイドスタンドをはらえないので、先にサイドスタンドをはらってから『自転車乗り』(片足をステップに乗せて、走り出すと同時に跨がる乗り方)で走り出す。このサイドスタンドはちょっと曲者で、出すのは跨がったままでもカンタンなのだが、はらう時のバネが強いせいか、途中まで戻したところで元に戻ってしまう。足がもうちょっと長ければ問題ないのかもしれないが……。
サスペンションの電子制御システムは廃されているが、MTC(トラクションコントロール)とABSは残されており、ハンドルスイッチで選ぶ事が出来る。トラクションコントロールはストリート、スポーツ、レイン、オフロードの4種類。ABSはストリートとオフロードの2種類で、それぞれ完全にOFFにする事も出来る。なお、ABSのオフロードモードは、フロントのABS作動タイミングが遅く設定され、リアのみABSがOFFになる設定だ。
豊富な純正パワーパーツを使い、道無き道を行くハードツーリング仕様に仕上げる事も可能だし、マシンポテンシャルもそれに相応しい。
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