


掲載日:2011年05月18日 試乗インプレ・レビュー
世界選手権エンデューロの覇者として君臨してきたKTM525EXC-Rが新設計エンジンでリニューアル。250と変わらない車格にEXC最大排気量を組み合わせ、最強のエンデューロマシンKTM530EXC-Rが誕生した。比類なきパワーはオフロードライドからツーリングまで、幅広いシチュエーションで強烈な乗り味を提供する。
エンジンはチタン製インテークバルブの採用や、シム、ロッカーアームの軽量化など、各部の見直しで旧525EXC-Rより約500gの軽量化を達成している。また、高剛性クランクシャフトと鍛造ピストンの連携を最適化することで、ビッグシングルとは思えないほど振動を低減。これは525から大きく改善された点のひとつ。加えて先にリニューアルした250EXC-Fとデザイン的に統一されたクランクケースや傾斜したエンジンヘッドカバー、エンジンオイルとミッションオイルの別体式化と、それにともなうオイルレベル窓の新設、ふたつだったオイルフィルターをひとつにして、容易に交換できる位置への移設など、エンジンはまさに生まれ変わったと言っていい。
インモールド・テクノロジーによる一体型シュラウドに包まれたフューエルタンクは、排気量別に専用設計となっている。このおかげで大排気量とは思えないスリムな乗車ポジションや、チョークレバーを引きやすいフューエルコックまわりのデザインが好印象だ。車体がほぼ250同等サイズなので、シート高も250EXC-Fと同じ925mm。ガスキャップは同社07モデルから採用されたバヨネット式となり、スピーディーな脱着の実現と、ホースのねじれを解消した。工具なしでアクセスできるエアクリーナーボックスは、形状変更によってより確実にロックできるようになった。また内部は大型化され、さらにスムーズな吸気を可能としている。
インプレッションはおなじみ、エンデューロ界のレジェンド・石井正美氏。
「530とは思えないマイルドなエンジン、というのが第一印象だね。排気量の大きなバイクにありがちな気難しさがまったくない。低速からやさしくパワーが立ち上がるから、気楽に乗れるよ。それでいて、回すとどこまでもパワーを引き出せる。回転の伸びも良い。トルクを生かして2速、もしくは3速固定のオートマみたいな走り方も楽にできる。
路面グリップの高い場所なら、250より圧倒的にキビキビと走れる。前後サスペンションもよく動くから、軽快さを感じるよ。ただ、ウッズや足場の悪いところでスピードが落ちると、少し重さを感じるね。でも跨った印象は250と同じだから、その重さも250クラスよりちょっとあるくらい。ロックセクションではパワーを抑えて走らせないと、エンジンの出力にタイヤのグリップが負けちゃって滑るね。広大なエリアに持って行ってこそ、このパワーを利用して楽に速く走れるよ。パワーがあるのに扱いやすい特長は、どの回転域でも同じだからね」。
世界選手権で鍛えられたノウハウをフィードバックした530は、KTMのEXC系らしい味つけが印象的なハイパフォーマンスレーサーだ。その実力は、オフロードコースだけでなく、余裕のある排気量を生かして林道ツーリングにも使える。このクセになるモンスターパワーは、4スト250に飽き足らなくなったベテランをも満足させるものだ。
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