一般的なスポークホイールは、タイヤの内側にチューブを入れて使う必要がある。これは、タイヤをそのままスポークホイールに装着したのでは、リムにワイヤースポークをジョイントするニップル部から、内部の空気が漏れてしまうからだ。
OUTEXのクリアーチューブレスキットは、そんなスポークホイールの隙間にシーリングを施すことで、スポークホイールをチューブレス化できるカスタムパーツだ。
チューブレス化のメリットはいくつもあるが、公道用バイクの場合、最大の魅力は万が一のパンク時に、修理が簡単になることだろう。チューブタイヤの場合、パンク修理の際には一度タイヤをホイールから外し、チューブを取り出して適切な処置を施す必要がある。しかしチューブレス仕様なら、一般的なパンク時にはタイヤを取り外すことなく修理できる。
もちろん、チューブレス化のメリットはこれだけではない。チューブがなくなることで、バネ下重量は前後輪で1kgは軽くなり、バイクの運動性能は向上。タイヤ交換が楽になり、チューブがなくなることでエコにもつながり、タイヤとホイールの密着率が高まることでハンドリングもよくなる。それでいて、スポークホイールのままでのチューブレス化するので、持ち味であるしなやかな乗り心地を損なうこともない。
さて、そんな魅力いっぱいのチューブレス化が実現できる、OUTEXのクリアーチューブレスキットは、モタードレース界ではかなりメジャーな存在。しかしじつは、モタード車ばかりでなく、クラシック系のロードモデルやクルーザー系など、様々なスポークホイール車に対応している。
OUTEXのWEBページでは、対応車種が一覧となっているが、実際にはホイール内側の寸法さえわかれば、すべてのスポークホイールがOUTEXのキットによってチューブレス化できる。もちろん、旧車でも大丈夫だ。
ラインアップにない車種やリムサイズをチューブレス化したい場合、まずは問い合わせてみてほしい。
また、OUTEXのキットを使ったチューブレス化は、比較的ローコストで施工が可能で、スポーク交換時のリペアも可能。しかもキットに使われるテープやシートは、非常に高い耐久性を誇っている。
このため、施工時の金銭負担はそれほど大きくないのに、一度しっかり施工してしまえば、その後は長期間にわたりチューブレスライディングを楽しむことができるのだ。
クリアーチューブレスキットは、OUTEX本社や代理店で施工してもらうこともできるが、ユーザー自身が装着することも可能。製品には画像入りの詳細な説明書も付属しているので、ある程度の器用さがあり、ホイールやタイヤの脱着に慣れているひとなら、それほど難しい作業とは感じないだろう。
施工は、ホイールを単体にし、プレカットニップルテープ、シールテープ、テープを保護するためのクリアーシートを貼るというのが、大まかな手順となる。
施工時の注意点としては、まずホイールの脱脂をしっかりと行うこと。テープを貼る部分に油分が残っていると、テープの接着力が弱まり、エア漏れの原因となる可能性がある。
また、リムの溶接面をサンドペーパーなどでしっかりと整えることも重要。リムメーカーによっては、溶接部の仕上げが粗いこともある。そんな場合は、大変な作業となるが、やはりこれも、エア漏れを防ぐために欠かせない作業だ。
そして、キット施工後のタイヤ装着時には、タイヤを無理にホイールへとはめ込まないこと。これは、タイヤレバーやタイヤそのもので、シートを傷めてしまう可能性があるからだ。タイヤの摩擦力を減らすためにも、通常より多めにビートクリームを使うことをお薦めする。
ところで、OUTEXのクリアーチューブキットは、モタードなどのレースでも数々の実績を残してきた。
たとえば、全日本格式となるmoto1オールスターズの最高峰クラスでは、08年度王者の星野優位選手などが使用。チューブレス化によるバイクの運動性能アップで、数々の勝利に貢献し、同時にこのキットが過酷な環境で使用してもトラブルが発生しない、高い品質であることを証明してみせた。
また、OUTEX代表の中島将登氏も、様々なレースに参戦を続けていて、つい最近もこのキットを使ったバイクで出場したイベントレースで優勝している。
ちなみにOUTEXでは、スポークホイールの長所を生かしたまま剛性を上げるスポークブースターや、フロントまわりのねじれ剛性アップにつながるステムスタビライザーなど、数々のオリジナルアイテムを手がけている。
モタードなどのスポーツ走行を中心にバイクを楽しんでいるユーザーなら、前後タイヤのチューブレス化だけでなく、これらのパーツを組み込むことで、マシンの走行性能を一気にレベルアップさせることを検討してみてもよいだろう。
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