ポルトガル発のAJP オフロードを楽しむユーザーに魅力を聞く
取材協力/AJP-MOTOS Japao  取材・撮影・文/モリヤン 構成/DirtRIDE編集部
掲載日:2013年12月20日

新世代オフローダーAJP
その魅力をユーザーに聞く

今、オフロードフリークの中で徐々に存在が大きくなりつつあるメーカー。それはポルトガルが生んだAJPではないだろうか。ナンバー付きの量産車であるのに、まるでホビー感覚でそのスタイルを選択できるセレクトビルドシステムは、画期的な販売方法として注目を浴びている。しかも、そのどれもがカテゴリーの違う優秀なバイクとして成立するのだからさらに興味は深まるばかりだ。

 

エンジンやホイール、サスペンションを選択する事で、自分にとって理想的な1台を作り上げることが出来るAJPだからこそ、その遊び方は無限大に広がるはず。今回は、そんなAJPを日頃から楽しんでいるユーザーに集まってもらい、生の声を聞かせていただいた。

エンジンは125ccと240ccの2種類。基本的にピークパワーを求める仕様ではないので、日本の林道や田舎道をのんびりツーリングするような使い方でもマッチする。

 

 

 

 

 

 

 

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トークセッション

乗ってみなくては解らないAJPの魅力とは

――本格的なオフロードコースで汗を流した8人、その後バイキング形式の昼食を取りながら、愛車の魅力について存分に語っていただいた。

高木 ●今日集まったのは関モータースのお客ばかりだからレース好きが集まっちゃった感じですよね。でもレース参戦すると、自分のモチベーションが上がっていいですよ。

 

畔上 ●僕はレース参戦というよりも、山の中を走っているほうが好きですね。ちょっとトライアル的な走り方というか。でも本格的なトライアラーじゃ、競技色が強すぎてツーリングに使えない。シートに座る前提になっていませんしね。

関 ●AJPはそこがとても優秀なんです。今意見を言われたお二人は、使い方が全然違うわけだけど、同じAJPで楽しんでおられる。仕様はもちろん違いますけどね。

長谷川 ●エンジンがいいですよね。ピークパワーは大きくないけど中速に粘りがあって。

――みなさんレースに参戦されているんですか?

鈴木 ●僕は初心者クラスのレースに出てます。コースが小さいとAJPは有利ですね。一般的な林道や山の中が走りやすいので、広くてスピードの出るコースだと、さすがにハイパワーマシンに置いていかれる。

長谷川 ●まぁそんな時はちょっとくやしいけど、得意分野が違うからね。狭くて過酷なコースだとかなり強いよ。

――AJPを購入するきっかけになったのはどんな事ですか?

鈴木 ●たぶん、僕がこのグループの中では納車1号だと思いますが、これは元々関さんの愛車で、林道ツーリングの途中で少し乗せてもらったら、その軽さや扱いやすさに驚いてしまったんです。そしてその後譲っていただきました。

高木 ●加瀬さんがもうAJPに乗っていて、山で乗せてもらった事がきっかけですね。それで実は、澤畠さんに勧めていたんですよ。AJPは乗りやすくていいよって。そしたら自分がどんどん欲しくなっちゃって、なんと先に買っちゃいました(笑)

畔上 ●僕はトライアラーとどっちにするかかなり迷って、AJPにしました。やっぱり良かったですね。色々使えて汎用性が抜群なんで。

 

 

――その加瀬さんはどうして購入したんですか

加瀬 ●僕は、関さんに勧められたからですよ。絶対に乗りやすいから黙って買えっ!てね(爆笑)

関 ●彼は少年時代から知っている幼馴染というか、学校の後輩なんです。しかもバイク好きでオフロードを楽しむ趣味も同じだから、絶対気に入ると思ってAJPを勧めたんですよ。僕はちゃんと考えているんだからね(笑)

畔上 ●昔はロードバイクばかり乗っていてしばらくブランクの後で大型バイクに復帰したら、とにかく重かった。それで僕はオフロードバイクに乗り換えたんですけど、その時選んだDT125よりも手足のように扱えるという印象が強かったんで、やっぱり試乗してから決めました。山深いけもの道みたいなところを走って行くのが大好きなので、ピークパワーより低い速度域のレスポンスや粘りが欲しかったんですよ。それがAJPにはあったので。

 

長谷川 ●僕は少年時代からずっとバイク乗りだから本当に様々なバイクに乗ってきて、オンもオフも好き。欲を言えばどんなバイクも全部所有したいぐらいです。だからオフロードバイクもAJPの他にヤマハのWR250Rも売らないで持っていますよ。ヤマハは距離の長いツーリング用ですね。ダート好きだから、林道を含むロングツーリングとかだったら、ヤマハを選ぶし、もっとシンプルにオフロードを楽しむ時や、レースなどではAJPを選んでいます。

石毛 ●たぶん僕だけがスモールホイールを装備したAJPに乗っていますが、購入する最大のポイントは自分の体格でも充分乗りこなす事が出来ると実感したからですね。以前は他社の125ccに乗っていたんですが、何しろサスペンションの性能がダメだった。

――どんな所がお気に入りなんでしょう。

石毛 ●やっぱりいろいろなホイールやサスペンションを選んで自分好みのバイクを作る事が出来るところでしょうね。そして、エンジンよりも足回りが高級なところも気に入っています。マルゾッキやザックスなんて、国産車のバイクベースにカスタムしていったら、きっと凄い高額なものになってしまうし、それでバランス良いバイクに仕上がるかどうかもわからない。その点で、AJPはとても優秀なバイクとして最初から仕上がっています。

 

鈴木 ●カラダに優しいバイクですよね。僕のは200ccだから余計にそう感じるのかな。

高木 ●年齢を重ねても乗りやすくて扱いやすい。それだけ言うとなんだかつまらないバイクに思えるかもしれないけれど、優しいバイクだからこそ、コースも林道も笑顔で駆け抜けられるのだと思います。楽しくてしかたがないから、おじさんになってもやめられないんですよ。やめられないから趣味って言うんです。

長谷川 ●優しいだけじゃなくて、瞬発力もあるしね。

澤畠 ●シンプルな空冷エンジンというこだわりも好きですね。珍しいバイクなので、注目度も抜群だし。

――今までトラブルは何かありましたか。

長谷川 ●長く乗っているとクラッチの切れが少し悪くなるよね。みなさん感じませんか?

高木 ●エンジンの違いで、ワイヤーを取り付けているホルダーの形状や強度が違うみたいです。エンジンがヒートしてくると、少し切れに変化が出ますね。200ccも240ccも共通ワイヤーだからかな。

長谷川 ●それから僕は、レース中にキルスイッチが切れてしまった事があって。あれ、モトクロッサーのようなプッシュボタン式ではないから、焦ると気が付かないですよ。それでどんどん抜かれて4位になっちゃった。

石毛 ●じゃ、キルスイッチにすぐ気が付いていたら優勝だったんだ!

長谷川 ●それはわかんないですけど(笑)

――普段使っていて、ここがいいなと思うところがあったら聞かせてください。

澤畠 ●ガソリンタンクがシートの下にあってポリタンなんですけど、ガソリンの残量がひと目で把握出来ていいよね。重心にタンクがあるという事も、もちろんいいんだけど。

 

 

鈴木 ●燃費もなかなか良いですよ。リッター20キロは絶対に下回らないですから。

関 ●タンク容量は7.5リットルだから普段なら120キロ走行したら給油ですね。あまり口元まで入れると、キャップからガス漏れするから気をつけましょう。

――自分のバイクのハード面を改造している人はいますか?

長谷川 ●ファイナルレシオも変更しませんね。

石毛 ●エンジンのレスポンスが良く、粘るもんね。上はあまり回らないけど。

鈴木●200ccって乗りやすいですよ。優しい回りかたで。エンストしにくいし。

畔上●僕のは、フロトフェンダーがダウンタイプにしてあって、タイヤはトライアル用に履き替えています。

――最後に、関さんに聞きたいのですが、AJPはどんな人にお勧めできるバイクなのでしょうか。

関 ●僕の基本的な考え方ですが、あまり背伸びをしてバイクを選ばないようにすべき、という事があります。それはロードバイクでも同じですが、Uターン出来ないような大きなものに乗っても、結局楽しめなくては最後に降りてしまいますよ。オフロードバイクは特にそれは顕著ですね。扱いきれないと大けがにも繋がってしまいます。だから、ちゃんとアクセルを開けられてコントロール出来るバイクなら、どんなレベルの人にでもお勧めできます。オフロードを走る事が大好きなら、AJPはサスペンションやフレームワークに加えて、エンジン特性も優秀なのでライダーを飽きさせないですね。ビギナーでも、かなりのエキスパートライダーでも満足させるという懐の深さが、AJP最大の魅力だと思います。

地球を遊ぶためのカタチ
それがAJPのスタイルだ

開発者は元エンデューロチャンピオン。過酷な条件をすべてクリアして駆け抜ける事が出来なければ、本当の性能とは言えないのがオフロードバイクである。モトクロスやトライアル競技で戦うために設計されたモデルは特化した性能においては優秀だが、汎用性は微塵もない。さまざまなフィールドで楽しもうと考えれば、このAJPの設計理念はとても合理的であるとも言えるのだ。

 

徹底的に軽量化された車体と高級なサスペンション。そして整備性が良くシンプルな空冷エンジン。ガソリンタンクを中央に位置して、始動方法はセルモーター式を採用。そのどれもが地球そのものを楽しむための性能であると言ってよい。AJPはユーザーが自分好みのスタイルにセレクトできる究極のファンバイクだと思う。

 

贅肉のないシェイプされたスタイリングは飽きのこないもの。優秀なオフロードバイクは、土の上が良く似合う。いかにも乗りやすそうなそのシルエットは、絶対に裏切らないというアイデンティティを感じさせるものである。

参加者

石毛 孝志さん(45歳) PR-3 240チャレンジ/スモール

石毛 孝志さん(45歳)
PR-3 240チャレンジ/スモール

16歳からバイクに乗りはじめ、オフロードバイクもロードバイクも様々乗って来たが最近また本格的にオフロード復帰。ヤマハTTR125から乗り換え。

澤畠 哲哉さん(43歳) PR-4 240リミテッド

澤畠 哲哉さん(43歳)
PR-4 240リミテッド

澤畠さんも様々なバイク歴があり、ビッグオフローダーの経験も豊富。基本的に今まではツーリングライダーだったが、AJPを手に入れてからは本格的にオフを走るようになった。

高木 俊且さん(58歳)PR-4 240 リミテッド

高木 俊且さん(58歳)
PR-4 240 リミテッド

最初のバイクはハスラーやDTという今から見ればビンテージオフ。その後バイクから離れていたが、SR400で復帰。大型バイクも経験し、最近本格的にオフロードを楽しむ。

長谷川 俊秀さん(53歳)PR-4 240リミテッド

長谷川 俊秀さん(53歳)
PR-4 240リミテッド

少年時代からバイク好きで、高校にもバイクで通学。原付からどんどんステップアップしていったが、オフロードツーリングに目覚め、レースも参戦するようになる。

鈴木 浩二さん(41歳)PR-4 200 チャレンジグレード・ラージ

鈴木 浩二さん(41歳)
PR-4 200 チャレンジグレード・ラージ

オフ歴は5年目。20歳からバイクに乗るが、30代のころはあまり乗っていなかった。以前はロードばかりでツーリングがメイン。一度オフのイベントに出てから火が付いた。

畔上 佳之さん(46歳)PR-4 200ファングレード・ラージ

畔上 佳之さん(46歳)
PR-4 200ファングレード・ラージ

以前はやはりオンロードモデルのユーザー。しかし重いバイクがイヤになりオフにスイッチ。DT125からの乗り換えだ。山をのんびり走るのが好み。

関 那治さん(45歳)PR-3 125ファン/スモール

関 那治さん(45歳)
PR-3 125ファン/スモール

関モータース社長。少年時代からモトクロスに参戦するほどのオフロードバイク好き。父親から続くショップの大黒柱である。

加瀬 幸一さん(43歳)PR-4 200チャレンジグレード

加瀬 幸一さん(43歳)
PR-4 200チャレンジグレード

オンもオフも様々なモデルを乗り換え、モトクロス専用マシンにも乗ってきた。昨年、YZ125から乗り換え。ほとんど公道は走行せず、コース走行に重点をおいている。