掲載日:2013年10月18日 ツジケンAMA-SX参戦記
文/辻 健二郎
オフロードライディングで意外と見過ごされがちなのが、フロント周りの適度な剛性感。その重要な性能を維持するのに必要なパーツに、トリプルクランプキットがあります。影の立役者ともいえるこの部分にもツジケン選手のお気に入りがあるようです。
サスペンション性能すらも左右する
XTRIG(エックストリッグ)
『パッ』とオレのマシンを観た時に、“クランプが変わっている”というところは皆さんも大きく関心を惹くところではないかと思います。ホビーライダーだとノーマルのままというのが一般的だと思うので、見た目、性能、価格と色々な点で気になるところですよね。自分は、XTRIG社というドイツメーカーのクランプを好んで使用しています。海外では、特にワールドGP(FIM-MX)で使用しているチームが多く、ワークスをはじめとするたくさんのライダーがXTRIGを使用しています。ここ数年は、USでもレベルの高いライダーから支持され始めたせいか、グレンヘレンなどのローカルレースでも装着している一般ライダーをよく見かけました。自分は、雑誌でのインプレッションがキッカケでXTRIGに非常に興味を持ち始めました。
過去のワークスチーム経験から、ファクトリー車で使っているワンオフなどのクランプはたいへん素晴らしいモノで、スタンダード(ノーマル)のクランプを使った時に「これ程差があるのか」とびっくりした事があり、クランプの重要性は分かっていました。その後、アフターマーケットのクランプを幾つか試してみましたが、正直、よい感覚が記憶にないというのが実情でした。それからは、「買えるもので、あの感覚に近いクランプはないのだろうな」と考えていました。そのきっかけとなったインプレッションでは、期待感ないままマシンを走らせたのですが、非常に良い感覚に驚いた事を憶えています。
その頃はまだあまり知名度は高くなかったXTRIGですが、既にワールドGPでは幾つかのワークスが使用していました。日本では、有限会社テクニクスが取り扱っていて、すぐに色々と聞いた程でした。好みもあるのですが、操作性に影響する剛性感が高い割には、重さ、硬さが出にくく非常に扱い易いクランプです。ひとつポイントがあって、フォークを掴むクランプボルトの締め付けトルクを変化させてしまうとこのクランプの良さを失ってしまうので、自分は指定トルクを守って使用しています。指定トルク値は、もっと締めたくなるような数値ですが、この値はドイツのマイスターが創りだしたベストな値なのでしょう!
輸入代理店を務めるテクニクスの井上様からコメントいただいたので、ここで紹介しておこうと思います。
「ヨーロッパをメインとするWGPモトクロスで多くのレギュラーチームが採用し、アメリカのSXやナショナルでも採用するチームが増えてきいるXTRIG。多くのファクトリーチームが採用するには訳があります。材料、工法に徹底的に拘り高い精度と適度な剛性を追求し、そこから受けられるフォークの的確な作動感とライダーに与える安心感が純正や他のアフターメーカーに比べて群を抜いているのです。ライダーによってはXTRIGを指定してチームが変わっても自身のマシンに装着するライダーいるほど、一度使うと外せないパーツになります。市販されるXTRIGのクランプは、そのようなファクトリーチームが採用しているモノと全く同一の製品です。ファクトリーチームが採用するリアルファクトリーパーツが、XTRIGなのです。」
というように、“リアルファクトリーパーツ”を市販で手に入れられる、という驚異的な魅力もあります。皆さんのマシンにも世界のノウハウ、感覚を取り入れてみてはどうでしょうか!
辻 健二郎
1975年8月8日 山口県徳山市(現 周南市)生まれ
父親の影響で3歳の時にモンキー(ホンダ)を緑地公園で乗せてもらったのが初ライド。週末は、家族みんなが父親のモトクロス練習&レースについて行く。そんな環境下、行った先で山の中を草木や泥にまみれて遊ぶのが日常だった。これが彼のバイクライフの原点になる。自己評価は、ポジティブに捉えると真面目で実直と言われるが、見方を変えれば頑固で自分を曲げない性格、との事。不器用だからスムーズに事が進まないが、この性格を理解してくれる周りに支えられ、モトクロス道を進んで来ている。大好きなボブ・マリーの曲、"JAMMIN'"から名前を取ったバイク仲間との倶楽部も活動中。何事も「enjoy!」が信条。
なお、随時申し込みがあれば個別のスクールを実施しているので、「ツジケンに教わりたい」と思ったライダーはぜひ問い合わせて欲しい。
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