鈑金ハンダで鉄板のエクボ修理編

掲載日:2010年06月24日 部位別メンテナンス外装系    

メンテナンス講座

鉄板のエクボ修理に効果のある鈑金ハンダ
ハンダ修理は電気配線だけじゃありません

ペイント直前にタンクを転がして‥‥ とか、上からものを落として小さなエクボを‥‥ といった経験を持つ方もなかにはいるはず。そんなときはパテ埋めで対処できるが、そんな僅かなエクボのためにパテを用意するのが面倒なこともある。そんなときに便利なのが「鈑金ハンダ」である。ハンダというと電気修理を思い浮かべてしまうが、それがすべてではないのだ。実は、ハンダは多目的ツールであり、過去には様々な用途に使われていた。例えば、トタンや金属製のバケツやジョウロやジョウゴを作るときに、鈑金の接合部分には決まってハンダが流し込まれていた。

 

また、60年代以前の話だが、金型技術が進歩する以前は、自動車メーカーのプロダクションラインでもハンダが大活躍していた。ボディーの溶接によりルーフやリアフェンダーの接続部分に発生したデフォーム=凹部分にハンダを流し込み、その後はバフで形状を整え、塗装工程で払い出していた時代があったのだ。そんな作業を専門に行う職人が数名いて、それらの職人の鈑金ハンダ技は、芸術的に美しいものだったらしい。

 

そんな鈑金ハンダでも、タンクのエクボ程度なら直すことができる。仮に、職人並の取り扱いができるのなら、より広範囲の凹を修復することも可能だ。ここでは、シートメタルのテストピースで作業を行ったが、フラックスを塗布し、流した鈑金ハンダは、その密着力がすばらしく、タガネでハツッても簡単に削れたり剥がれ落ちるようなことは無かった。また、凹み直しではなく、シーム溶接や舐め付け溶接周辺からガソリンが滲むような場合も(サビが原因の場合はサビを完全に除去しないと接着しにくい)、この鈑金ハンダを流し込むことで、ガソリン漏れを直すことができる。さらに材質はアルミだが、海外(特に英国製にその傾向が多い)のアルミタンクの場合は、溶接後の圧力検査でエア漏れが発生したような個所を、再度溶接するのではなく、より簡単なアルミハンダ(アルミロウ)で直している事実がある。このように、凹んだ部分の鈑金修理ではなく、機能面を修理するためにも鈑金ハンダが利用できることを忘れずにいてほしい。

作業手順を見てみよう!

鈑金ハンダを行う場合も電気修理のハンダと同様にフラックスを塗布する。鈑金作業なので、作業面全面に薄くフラックスを塗り伸ばすようにするとよい。

鈑金ハンダを行う場合も電気修理のハンダと同様にフラックスを塗布する。鈑金作業なので、作業面全面に薄くフラックスを塗り伸ばすようにするとよい。

フラックスを薄く塗り伸ばしたら、ガストーチで塗布した個所全体を均一に温め、フラックスが変色してブツブツ沸くような感じになるのを待つ。加熱し過ぎに注意しよう。

フラックスを薄く塗り伸ばしたら、ガストーチで塗布した個所全体を均一に温め、フラックスが変色してブツブツ沸くような感じになるのを待つ。加熱し過ぎに注意しよう。

 

鈑金が温まったら電気ハンダとは違う太い鈑金ハンダを凹み部分に寄せ、同時にトーチでハンダ棒を炙る。するとハンダが解けて伸びたり丸まったりする。

鈑金が温まったら電気ハンダとは違う太い鈑金ハンダを凹み部分に寄せ、同時にトーチでハンダ棒を炙る。するとハンダが解けて伸びたり丸まったりする。

温度が最適ならハンダはスーッと流れるが、加熱し過ぎるとハンダは丸まってしまう。火加減を調整しながら作業を進めよう。エクボなら簡単に埋められるはずだ。

温度が最適ならハンダはスーッと流れるが、加熱し過ぎるとハンダは丸まってしまう。火加減を調整しながら作業を進めよう。エクボなら簡単に埋められるはずだ。

 

冷えてハンダが固まった後に大型タガネでハンダを取り除こうとしたが、フラックスがしっかり塗布されていた個所は密着性が高く、簡単には剥がれなかった。

冷えてハンダが固まった後に大型タガネでハンダを取り除こうとしたが、フラックスがしっかり塗布されていた個所は密着性が高く、簡単には剥がれなかった。

 

 

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