世界最高峰のスクーターレースで示す、イタリアのマロッシ製パーツの実力
    取材協力・写真/Malossi JAPAN 文・構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
    掲載日:2012年6月11日

モータースポーツを愛するイタリアはスクーターレースの世界的な激戦区

MotoGPに参戦するドゥカティや、F1の名門チームとして名を馳せるフェラーリを例にするまでもなく、イタリアは2輪・4輪を問わずモータースポーツへの関心が高く、日本では考えられないほどの情熱を注ぐ国である。イタリアを代表するバイクメーカーを列挙してみても、ドゥカティをはじめ、MVアグスタ、アプリリア、ピアッジオ、マラグーティなどなど、ライダーなら一度は耳にした名称が思い浮かぶ。これほど多彩なメーカーが存在するのも、ひとえにモータースポーツを愛するお国柄ゆえだろう。いずれのメーカーのマシンも共通しているのが「乗って楽しく、見て美しい」点だ。いわゆるヨーロピアンスタイルの本流ともいえるマシンたちであり、そんなマシンが生まれる背景には、イタリアのモータースポーツへの深い理解が無関係ではない。

 

スクーターレースは、そんなイタリアで身近なレースカテゴリーとして国内の各所で世界最高峰の熱い戦いが繰り広げられている。スポーツ走行を視野に入れた、いわゆるスポーツスクーターがリリースされだした80年代より、イタリアではそんな車両を待っていたかのように各地でレースが開催された。そして現在、世界中から注目されるまでに成長したイタリアのスクーターレースを強力に支えている一大パーツメーカーが「マロッシ」である。

日本製パーツに肩を並べるマロッシのモノ作りの姿勢とは

マロッシは、1930年にアルマンド・マロッシによってドゥカティやマラグーティの本拠地でもあるボローニャで産声を上げたパーツメーカーだ。創始者のアルマンドは、幼少時代から機械いじりが大好きだったというエンジニアであり、ボローニャやミラノの航空機やレーシングカーの製造現場で技術を磨き、独立にこぎつけたという。

 

設立当初のマロッシは、バイクの修理などを請け負うのが主な事業だったようだ。今で言うショップの感覚だろうか。アルマンドの人柄と職人としての確かな技術によって、マロッシは少しずつ成長していった。1946年には、アルマンドの長男であるウーゴ・マロッシが組織に加わり、修理や修繕だけでなく、パワーアップパーツの研究・開発・製造へと事業を拡大。1958年には、ドゥカティの性能アップのための吸気マニホールドの製品化に成功。それを皮切りに数多くのオリジナルパーツの開発に着手していったのである。

 

現在は、アルマンドの孫にあたるアンドレア・マロッシが代表として事業をけん引。開発からテスト、生産まで自社内で行い、独創的なパーツ開発と日本製品にも肩を並べる高品質を維持している。なお、現在ではイタリアのバイクメーカーはもちろんのこと、日本のバイクメーカーのモデルにも対応し、のべ76カテゴリーにも及ぶパーツを製造。まさしく世界有数のバイクパーツメーカーへと成長したのである。

メジャーレース「マロッシトロフィー」はマロッシのパーツを鍛え、磨き、強くする

自社での開発&生産を貫くマロッシにとって、サーキットはパーツ開発テストの場であり、さらには耐久性や信頼性を計る実験室でもある。こうした企業理念を考えれば、スクーターレースを主催することは、むしろ自然な成り行きだったのだろう。「マロッシトロフィー」と名づけられたマロッシ主催のスクーターレースは、1988年に第1回が開催されて以来、現在も続く伝統のレースへと成長している。特に注目すべきは改造クラスの存在だ。例えば、現在のマロッシトロフィーには50ccスクーターにマロッシ製の70ccパワーアップパーツを組み込んだ車両が対象となる改造クラスがあるが、こうしたクラスが成立するのは、マロッシのパワーアップパーツの品質と安定性の高さの証明でもあるのだ。そう、マロッシのパーツは、日本はもちろん世界のあらゆるパーツメーカーと比べても、互角以上のレベルに達しているのである。むしろ、ヨーロッパからアジア(もちろん日本メーカーのスクーターも!)まで、あらゆるメーカーのモデルに対応した豊富なラインアップは、世界屈指のボリュームとも言われているほどだ。

 

マロッシのパーツラインアップを見ても明らかなのは、そのほとんどが「走り」に直結したパーツであることだ。個性的な外観を引き立たせるよりも、あくまでも走りを探求した結果の商品群が徹底されている。これは、イタリアンスクーターのベースデザインが美しいことも関係しているのであろうが、やはり、モータースポーツへの情熱を持ったイタリアならではと言える点だ。いずれにしても、マロッシのカタログには「マロッシトロフィー」で鍛えられ、そして結果を出したパーツが並んでいるのである。その性能と実力に少しでも興味が芽生えたならば、多くを聞くよりもまずは実感。ぜひ装着して、一人ひとりがライディングを通じて感じてもらうのがなによりだろう。

 

スクーターレースは原付に限らない!

パワーアップTMAXが激走するビッグスクーターレースも開催

マロッシのスクーターへのこだわりが、原付クラスに留まっていないことも付け加えておこう。ヤマハのTMAXをベース車両として使用するレースも開催しており、ストッククラスとオープンクラスの2クラスで年間5戦のシリーズ戦が繰り広げられている。オープンクラスで使用されるエンジンには、マロッシ560ccシリンダーキットとカムシャフトを使うことが義務とされ、それ以外の改造も可能なハイスペッククラスだ。イタリア国内の5地域のサーキットで開催される国内シリーズ戦で、スクーターレースのトップカテゴリーとして人気を博しているという。

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ドゥカティやマラグーティの故郷としても知られている、ボローニャで誕生したイタリアのパーツメーカー「マロッシ」。スクーターを中心に、日本メーカーのモデルに対応したパーツも豊富であり、それを日本にリリースしているのがマロッシ・ジャパンである。マロッシ・ジャパンのサイトでは、パーツカタログはもちろん、イタリアスクーターレースの最新動画も随時アップされている。