取材協力/株式会社アイネット 取材・文・写真/野岸 泰之 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2014年7月9日


FEATURE

カッコよさと性能を兼ね備えた
今までにないマフラーを!!

発売以来、キュートなルックスや手軽にカスタムを楽しめる存在として原2ファンの人気を博しているのが、ホンダのグロム。そのグロム向けに、オリジナリティーあふれるダウンマフラーが発売され“一味違う”と話題になっている。それが、株式会社アイネットが発売した『BALSマフラー』だ。アイネットはバイクパーツのネット通販をメインとする会社で、特に海外製の高品質な製品を、リーズナブルな価格でユーザーに提供しているのが特徴。今回は同社の加藤大樹社長に開発の経緯や製品の特徴などを聞くと同時に、BALSマフラーを装着した車両に実際に試乗。その魅力と実力を探るべく、インプレッションも行った。ネット通販で業績を伸ばしているアイネットだが、なぜオリジナルマフラーを開発しよう、と思い立ったのだろうか。

「実は弊社には整備士や開発技術者が在籍していて、カスタムショップメーカーへマフラーのOEM供給を以前より行っていたので、技術やノウハウは持っていたんですよ。また、自社の製品としてもブランド化はしなかったものの、オリジナルパーツとしてマフラーも出していたのです」と加藤さん。グロムを見てその造形に魅せられ、このマシンに似合う、カッコよくて今までにないマフラーをつくりたい、と強く思ったという。

「グロム用のリプレイスマフラーって、ほとんどがアップタイプなんです。私の中ではグロムはドゥカティのディアベルみたいなイメージで、だったらダウンマフラーだろ、と。自分が乗りたくなるようなカッコよさと性能を実現しつつ、グロムといえばアップマフラーという、既成概念を壊したかったんです」

BALSという名前は造語だが、人気アニメ映画のすべてを破壊させる呪文「バルス!」が元だという。そこには従来の価値観を崩壊させる斬新な製品にしたい、という熱い想いが込められているのだ。

「コンセプトは、派手になり過ぎない“大人のカスタム”。ルックスも大切ですが乗って楽しくないと意味がないので、トルクを犠牲にしないよう、エキパイの管長をかせぐためにスパイラル形状としました。もちろん音にもこだわりたいし、軽量化も重要ですから、サイレンサー部分はフルカーボンを採用しました」と加藤氏。

開発にあたっては、同じ千葉で有名なスクーターのカスタムショップ『ORGA』の中込英幸社長が、レース経験などを活かし、技術面を含めて的確なアドバイスやサポートをしてくれたという。その中込氏は「BALSマフラーは計算通りトルク感も出ているし、迫力あるルックスもクール。ローダウン&ロングホイールベース化してもカッコイイと思いますよ」と出来栄えについて太鼓判を押してくれた。では、実際に乗った際のフィーリングはどうだろうか。

グロムといえばアップマフラー、という既成概念をとにかく覆したかったんです、と話す加藤大樹社長。

エキゾーストパイプとサイレンサーはスプリングでガッチリと結合。他のパーツもシンプルで組み付けは容易だ。

IMPRESSION

静かに背中を押してくれるような
トルク&パワーが安心感と走りの楽しさを生む

試乗したのは、マフラー以外にもアイネットのオリジナルパーツが装着されたデモ車両。シートは開発中の参考商品ということだが、全体に派手さを抑えたトーンでまとまっており、まさに渋めの大人カスタム。中でもやはり目立つのはマフラーだ。曲げ部分の芸術的な処理や丁寧に仕上げられた溶接部を見ていると、まるでよく手入れされた金管楽器を見ているような美しさ。その後部を、カーボンのサイレンサー部がキリリと引き締めている。

エンジンに火を入れると、ボボボボ……という、125ccにしては低く、それでいて歯切れのいい音が響く。アイネットの公式HPにある動画の音よりも、実物の方が低音が効いて耳に心地いい。走り出すと、後方から耳ざわりのいい低音が追いかけてくる。低中速域でのトルクの厚みは、はっきりとわかるほど増大した感じではない。ただ、アクセルを開けるとほんのわずかなタイムラグの後に、グッと後ろから押されるような力強さを感じる。これはノーマルにはない安心感だ。バネ下が軽量化されたことによるコーナーの切り返しはヒラヒラと軽快で、ハイグリップタイヤに換装してあることもプラスされ、ノーマルよりもマシンを操る楽しさ、走りの面白さが格段に増している。レーシーな派手さはないが、渋さの中にキラリとセンスが光る、通好みのマフラーと言えそうだ。

十分なエキパイの管長を確保しているため、トルクの落ち込みもなく、力強くて軽快な走りが楽しめる。

  • 後方から見ると、低い位置から跳ね上がり気味に外側に突き出たサイレンサーが、ノーマルとの違いを主張。

  • 乗車状態を真横から見るとスパイラル形状はあまり目立たないが、ステンレスとカーボンのバランスが絶妙だ。

PICKUP PRODUCTS

カッコよさと性能を兼ね備えた
今までにないマフラーを!!

バイクパーツのネット通販で名をはせるアイネットが、激戦区であるホンダグロム用のカスタムマフラーに投入したのがBALSマフラー。アップタイプばかりが目立つ市場に風穴を開けるべく、あえてダウンタイプをチョイス。ステンレス製のエキパイ部を独特のスパイラル形状とすることで、トルク性能をスポイルすることのない管長とデザイン性を両立させている。

サイレンサーはフルカーボン製というハイスペックで、重さはわずか1538gという軽量さを実現した。マフラーが奏でる音は重厚で重低音が効き、なおかつ歯切れのいいもの。変形ヘキサゴン形状という独特の形状とともに、ビッグバイク用に匹敵する高級感を漂わせ、所有欲を刺激する製品となっている。

HONDA GROM aiNET製BALSマフラー
  • デモ車両の全貌。ダウンマフラーは車体下部のボリューム感と迫力が増し、見た目に安定感がある。

  • 真後ろからみたマフラーの張り出しはこの程度。混雑した街中でも気を遣うことはないだろう。

  • マフラーの固定にはタンデムステッププレートのボルト穴などを利用する。位置決めの微調整が可能な余裕がある。

  • 十分なトルクのために管長をかせぐと同時に、デザイン上のポイントにもなっているスパイラル状のエキパイ。美しい……。

  • 「侍巧房」ブランドのグロム用CASフェンダー。素材に3Kカーボン綾織/FRPを採用し、マッチョなイメージを強調する。

  • アルマイト加工を施したグリップエンドを一体化したアルミラバーグリップ。ウェイトもちゃんと入っている。

  • 開発中の参考商品として装着されていたカーボンのタンクカバー。近日発売予定だという。

  • ロースタイルを強調するステルスミラー。3ヶ所の調整部で角度調節は自在。ブルーレンズがまぶしさを軽減。

  • アイネット製のステップ。ラバー部は細身で、ラジアルタイヤのトレッドパターンを模し、レーシーな雰囲気だ。

  • SFR製チェーンは伸びにくく、装着簡単なクリップジョイント式。タイヤは原材料をドイツから輸入した本格ハイグリップ「DURO」を装着。

BRAND INFOMATION

株式会社アイネット

カスタムパーツはもちろんウエアなどの用品類、工具、タイヤまで、バイクに関するものなら何でも揃うネットショップ。オリジナルパーツも多く手掛けている。

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